《奈落》内部初日2
「いったい誰が何のために?」
「まあ、アイツでしょうね。アルフとか言う暗殺者です。」
「だよね…。」
「大方、迷子にさせて事故死…って所ですか。坊ちゃま。
周囲の警戒は怠りなくお願い致します。
まだ何か仕掛けてくるかも知れません。」
「わかったよ。帰り道は大丈夫だよね?」
「問題有りません。分岐は全て左を選びました。
右の壁に沿って行けば簡単に出れます。」
「やっぱりその為に左ばっかりだったんだね。」
そう、最初に左の分岐を選んでから全て左を選んで来た。
だから目印が無くても問題はないのだ。さすがマチルダ。
俺達は道に迷う事無く歩んでいく。
2つほど分岐を超えたあたりでマチルダが足を止めた。
「坊ちゃま、この先の広い空間から音がします。
恐らく何か居ます。」
「了解。気をつけて進むよ。」
少しペースを落として静かに歩みを進める。
広い空間の手間まで来て中を覗き込む。
「な、なんだこりゃ。!?モンスターだらけだ!」
「坊ちゃま、お静かに!気づかれてしまいます。
これはモンスタールーム化していますね。来る時は
何も無かったのに…なぜ…。」
「モンスタールーム?いったい何匹居るんだ?」
この広い空間にモンスターがひしめきあってる。
さっきは何もないただの広い空間だったのに。
ダンジョンでは良くある事なのだろうか。
「ダンジョンでは良くあるの?」
「いえ、滅多に遭遇しません。たまに出来る魔力溜まりなどの影響でモンスターが大量発生したりはしますが…ここには
それも無かったです。恐らくは人為的に仕組まれたのだと…」
「人為的にできるの?」
「はい。魔石を砕いてモンスターの好む香りの草と混ぜ
お香の様に燃やせばモンスターを集める事ができます。」
なるほど、モンスターを集める事は出来るのか。
「しかし、それはあくまでモンスターの数が
少ない外で討伐対象のモンスターを呼び寄せる時に使う技で
モンスターの多いダンジョン内でやるのは自殺行為です。」
本格的に狙われてるって事だよな。行方不明の冒険者も同じ様な手にかかったのかもしれない。
「どうする?全部倒しちゃう?」
「そうですね〜…敵は30前後居ますね。坊ちゃまと
私なら倒せるとは思います。ですがそれは後回しに
しましょう。」
「後回し?ならどうするの?」
「私に考えがあります。この時間ならまだ犯人もダンジョン
の中に居るはずですので…ゴニョゴニョ○✕□△。」
「なるほど!」
〜〜〜暗殺者 アルフ視点〜〜〜
「ハァハァハァハァ、ここまで来ればモンスターは
来ないだろ…。全くしぶとい貴族様だ。
さっさと迷子になってモンスターの餌にでも
なってくれればいいものを。」
アルフは馬車の中での睡眠薬作戦が失敗して
プランBに切り替えて動いていた。
プランAは既に失敗した睡眠薬で眠らせて捕らえる作戦だ。
捕らえられなかったのでプランBに作戦変更だ。
プランBはダンジョン内で迷子にさせて疲弊させてモンスター
に殺させる作成だ。迷子は失敗したのでモンスターをぶつけるだけの作成になった。この作戦なら一級冒険者と言っても
間違いない疲弊させられる。あわよくばモンスターに
やられてくれるかもしれない。
淡い期待をしながらお香に火を付けて自分は走って逃げた所だ。ダイチの拠点にある荷物にも火を付けた。
ダイチ達は半日分の食料と最低限の荷物しかないはずだ。
例え切り抜けたとしても間違いなく疲弊した状態で街に戻ろうとする。
歩けば2日ほどかかる。疲れ果てた所に夜襲をかける。
これで間違いなく殺れるはずだ。これがプランCだ。
まあ、もう2箇所ほどモンスタールームを作る。
数の力は強力だ。念には念を入れる。
長年の経験上、プランCはやらずに済むはずだ。
アレフはその後モンスタールームを2ヶ所作り
ダンジョンの出口へと向かった。
もちろん分岐の目印を消したり、違う場所に書いたり
小さな罠も仕掛けて行く。
前に来た一級冒険者はプランAでぐっすりだったのにな。
毎回あんな感じなら助かるんだが…。
前回がラッキーなだけで腐っても一級だ。油断は
命取りだな。プランCの準備も抜かりなくしないとな。
そんな事を考えながらダンジョンから外に出た。
「ふ〜やっと外だ。さてまだ時間はかなり余裕が
有るはずだ。今のうちプランCの準備をしてから
入口の監視だな。先に腹ごしらえをしてお………うっ?」
「静かにしろ。騒ぐなよ。そのまま武器を捨てろ。」
アレフの首には剣が当てられていた。
「だ、誰だ?!なんのつもりだ?か、金なら無いぜ!」
「貴様、ギレトだな?」
「な!?お前さん…誰の差金だ。俺をギレトだと分かって
んなら俺を雇っている組織に狙われる覚悟も出来てるんだろうな?」
「当たり前だ。貴様らなど恐れるに足らず。」
「おいおい…天照の恐ろしさを
知らねーのか?やつらは人間が抗える強さじゃないんだよ!
必ず後悔する事になるぞ。」
「そうか?まあいい。ところで何故貴様は冒険者を
狙っている?死にたくなければ答えろ。」




