一級冒険者
ギルドマスターが倒れた瞬間、周りから歓声が
上がった。
2〜30人位だろうか、冒険者と思わしき人たちが
拍手と歓声を上げていた。いつの間に集まっていたのか。
ギルドマスターに駆け寄る人達もいた。この訓練場の
救護班らしい。
ギルドマスターに回復魔法をかけていた。一応俺も使えるが
今は救護班に任せよう。
「さすが坊ちゃま、ギルドマスターを倒すとは
前代未聞です。」
「いやいや、マチルダさん?貴方の策略ですよね?
こんな所で本気出しちゃったじゃないか。」
マチルダは相変わらずの笑顔…
「ところで坊ちゃま。あの技は初めて見ましたね。
とても興味深いですね〜。」
目が、目が怖いってば、マチルダさん。
「ボウズ!見事にやられたぞ!わっはっは!」
ギルドマスターが起き上がりこちらに話かけてきた。
「すいません。少し力み過ぎました。大丈夫ですか?」
「なんのなんの!こちとら何年冒険者やってると
思ってんだ!わっはっは!」
なんか急にイカツさが取れたな。試合が終われば
ノーサイドってやつか。悪い人じゃなさそうだな。
「いや〜こんな楽しい試合が出来るとは思わなかったぞ!
マチルダと戦った10年前を思い出したぞ!
あれもなかなか楽しかった。」
なるほど、ギルドマスターはバトルジャンキーだな…。
強い人と戦うのが楽しくて仕方ない様だ。
「十年前はどちらが勝ったんですか?」
「もちろん俺が勝ったさ。まあ、それ以降マチルダは
ギルドに顔を出さなくなったがな。」
「あのときは自分の限界を超える事が出来ずにいました。
結果、冒険者を諦めてしまいましたが…。
しかし、そのおかげで坊ちゃまに出会えて
自分の限界も超える事が出来ました。
今ならギルドマスター、貴方に負けませんよ?」
「おお?ならもういっちょやるか!」
「ストップ!ストップ!ギルドマスターさんは今さっき
俺の雷撃を食らったばっかりでしょ?まだ痺れが
残ってるはずだよね?」
「そうか、自己紹介もしていなかったな。
俺はここのギルドマスターをしている
ダーツ・マイトだ。
確かに手足に違和感があるな。」
「ダーツさん、マチルダの言っている事もあながち間違いじゃ
ないです。なんせ、俺はマチルダに勝った事が
一度も有りませんからね。俺よりは強いです。」
「なら余計に戦ってみたいところだな。」
「私は望むと頃です。」
「まあ、ここはボウズの顔を立ててそうゆう事に
しといてやろう!わっはっは!」
ふ〜ひとまずこれ以上の騒ぎは回避出来た様だ。
「とにかくボウズは合格だが、ここじゃあなんだ
付いて来い。応接室に案内する。」
俺はギルドマスターもとい、ダーツさんに付いていった。
「ココだ。まあ座ってくれ。今茶をもってこさせる。
それとボウズ!冒険者カードを更新する。
少し貸してくれ。」
そう言って、さっき貰ったばかりのカードをダーツさんに
渡した。
それを持ってダーツは部屋を出た。
「坊ちゃま、改めて昇格おめでとうございます。
これで一級からの飛び級スタートですので
明日は予定通りに近くのダンジョン《奈落》に
入る事ができますね。」
「え?」
「ん?」
「ん?」
「どうしました?」
「今の言い方だと、一級しかダンジョンに入れない
みたいな言い方だよね?」
「いえいえ、《奈落》には一級しか入れないだけで
ダンジョンには等級制限をクリアしていれば一級じゃなくても入れますよ。」
「ふむふむ、するってーとあれかい?マチルダさん。
ダンジョン行きたいって俺が言った時に俺が一級試験受けるの確定してたわけね??」
「いえいえ。坊ちゃまがご褒美が欲しいと仰った時です。」
すげー前から画策してたー!!
「ああ、そうなんだ…あの…一言言ってくれても
いいんじゃない?」
「それは坊ちゃまの好きな…サプライズ!」
「やかましいわ!いつ好きって言った!
今日は謎のサプライズのおかげで散々だよ!」
「ぼ、坊ちゃま…最近は随分と私に厳しくあたられますね…
小さい頃は無言で手を握り、応援してくれていたのに…
シクシク…」
「赤ちゃんの時話だよねそれ?無言じゃなくて
まだ喋れなかっただけだからね?
昔話持ってきてもサプライズの件誤魔化されないよ?」
「チッ、」
「舌打ちした!?ねえ?今舌打ちしたよね?
俺、一応ご主人様なんだけど?」
「気のせいです。」
「ぐぬぬぬ」
マチルダは色んな意味でたくましくなっていた。
俺との距離感も俺は気に入っている。
だって世話係の人がさ、ずっと居たらしんどいよ?
他人がずっとそばで控えてるんだよ?四六時中。
気を使うし。だったら友達になって楽しく会話出来る
方がいいや。って思ってマチルダに友達になってって
言ったら
「それは流石に無理でございます。」
って即答されたよ。じゃあもっと砕けた感じで話さないかっ
てところから始めたんだけど、マチルダは敬語は絶対に
譲れないらしい。敬語を使わないとメイド失格だし、
何よりメイド一人躾けられないのか?って主人が舐められる
らしい。だから敬語のまま、砕けた感じで、友達の様に
思いやり、母の様な優しさを持ったメイドになるそうな。
その結果がこのサプライズだ!
う〜ん。何処で間違えた…。
「入るぞ!」
そんな事考えてたらダーツさんが帰ってきた。




