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10_三秒前に戻りたい


 愉快な音楽とともに俺のクッパがゴールを通過する。


「よっしゃー逆転勝ち!」


「あー負けたー。もう一回やって!」


 彩がしかめっ面を引っ提げ、こちらを振り向く。

 ふわぁっ、と懐かしい匂いが振りかれる。


「しょーがねーなぁ。まぁ、次も俺が勝つけどな」


「今度は負けないもん!」

 彩が体勢を戻す。誰しもが何度も嗅いだ経験があるであろう実家の枕の臭いが、振り撒かれる。


 スタートダッシュに成功する。



           □




「よっし! また俺の勝ちぃぃぃぃぃ! あっぶねー」


「あぁ! ハナ差でさされたぁ。もう一回!」


「どんどんこいや。次の罰ゲームは、そうだな。裸踊りでもしてもらおっかな!」


「じゃあ、彩が勝ったら右手だけ深爪にしてもらおっと!」

 なぜまた見た目以上にダメージのある罰を。



           □



「いーーーーーヤッホーーーーーーーー!! 俺の三連勝!! いいのかな彩、どんどん罰ゲームがたまっていってるぞ? 裸踊りしながら夕焼け小焼けを歌いながら綱渡りしてもらうぞ? できんのか? やれんのか?」


「うぅ。次は絶対負けないもん! 彩が勝ったらこれまでの罰ゲーム免除&一日左を向いて過ごしてもらうもん!」

 またしても現実味のある酷な罰を。彩、お前の心はどうなってるんだ?


「望むところよ! じゃあ、俺が勝ったら、そうだな。今度は学校にでも行ってもらおうかな!」






 返事はない。







 調子に乗りすぎた。







 水を打ったような部屋に、ピノキオの声だけが聞こえた。






 この状況を打開するため、俺はこのレース、わざと負けることを決意した。







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