セーラー服で機関銃。
組員は目の前の在り得ない光景に言葉が出なかった。そして、スーゥッと短刀が目の前を横切ると、意識を失った――
「今宵の国光は血に飢えている……」
めぐみは短刀の血を払うと集中管理室のモニターを確認した。すると、二階には銃火器を揃えた武器庫と組の構成員が何十人も待機している事が分かった。そして、高倉が三階の大広間に居る事が確認出来た――
「ふーん、二階で銃撃戦になる事は必至ね……三階の組員達の脱出経路を絶たないと逃げられてしまう可能性があるから……えっと、これかっ! ポチっと」
侵入、脱出が出来ない全館ロック・ボタンを押した――
「これで良しっ!」
しかし、モニターには門番の交代のために組員が二階から降りて来てしまい、セーラー服姿で機関銃を担ぎ、手には弾薬と三脚を持って向かって来るふたりと鉢合わせしてしまった――
「何だてめえはっ!」
「キャァ――――――ッ!」
組員が拳銃で狙いを付けて引き金を引こうとした瞬間、フロアの電源が落ちて真っ暗闇になった。組員達は迎撃態勢になり、ひとりは集中管理室に向い、もうひとりが二階に報告に行こうとした――
「スパッ」「ドバァ――――――ッツ」
組員の頸動脈を国光が切り裂くと大量の血が噴き出した――
めぐみは一階に居る組員達を音も無く静かに葬り去った。そして、集中管理室に戻るとフロアの電源を入れ、階段の扉をロックすると、三人でエレベーターに向った――
「ふたりとも、エレベーターの扉が開いたら左から右へ水平射撃するっ! 良いわねっ!」
「はいっ!」
「ティン、ト――ン!」
静かに、ゆっくりとエレベーターの扉が開くと、そこからは人では無くグロスフスMG42機関銃の銃身が出て来た――
「ん? おい、何だありゃ……」
組員達の目の前に現れたのは三脚に機関銃を据え、左右にはセーラー服姿の小女と射撃の態勢を整えて狙っている巫女装束のめぐみだった――
組員達に戦慄が走った。だが、銃を構える間も無く、めぐみが水平射撃を開始した――
「ズギャアァァァァァ―――――――――――――――――ンッ!」
「ドッダッダッダッダッダッダッダッダダッダダッダダッダッダッダッダッダッダッダダッダダッダ――ンッ! ドッダッダッダッダッダッダッダッダダッダダッダ――――ンッ!!」
「ギャア――――――――――――ッ!」「ウゲェ――ッ!」「ウァゥッ!」
「ドッダッダッダッダッダッダッダッダダッダダッダダッダッダッダッダッダッダッダダッダダッダ――ンッ! ドッダッダッダッダッダッダッダッダダッダダッダ――――ンッ!!」
「銃身交換! 銃弾装填!」
「はいっ! 完了しましたっ!」
「ドッダッダッダッダッダッダッダ―――ンッ」
「ふうっ。残りの隠れている奴らを成敗するっ! 私は小烏丸で仕留めるから、援護射撃をヨロシクっ!」
「はいっ! 了解しましたっ!」
めぐみは小烏丸を抜くと低く構えながら前進していった――
「クソッ! サッサとしねぇかっ! 全員吹っ飛ばしてやるっ!」
武器庫から組員が自動小銃とバズーカ砲を持ち出して、装備すると自動小銃が火を噴いた――
「バッバッバッバッバッバ――ッ!」
めぐみが囮になって引き付け、八艘飛びで背後に回ると片っ端から切り落としたが、自動小銃の弾丸が双子の巫女のセーラー服のリボンと肩を掠めた――
「大切な服なのにぃ――――っ! 絶対、許しませんっ!」
「クソガキ共! 死にやがれっ!」
ソファアとサイドボードの間から組員が立ち上がり、バズーカ砲が狙いを定めた瞬間、めぐみが正面から袈裟切りにして事なきを得た――
「ふうっ。ここは終了ね。さて、いよいよ、最後の仕上げ。高倉さんを救出して全員、皆殺しよっ! 良いわねっ! タマとっちゃる……」
「へいっ、めぐみ姐さんっ!」
三階では下の騒ぎに気付いていたが、身動きが出来なかった――
「待て、高倉! いや……待って下さい、高倉さん、お願いだぁ、落ち着いてくれよっ……」
「フッフ、仁義のねぇ、テメェらが約束を守るなんて、ハナから思っちゃいねぇーよっ! 最後の打ち上げ花火だ……盛大にやってやるからよぉ、覚悟しなっ!」
そこにはシャツを脱ぎ身体中に晒しでダイナマイトを巻き付けた高倉が居た――
「ティン、ト――ン!」
高倉が一瞬、背後のエレベーターに気を取られると、すかさず若頭が自動小銃を構えた――
だが、めぐみがエレベターから飛び出し、前転して高倉の背後に回り倒して伏せると、グロスフスMG42機関銃が火を噴いた――
「ズギャアァァァァァ―――――――――――――――――ンッ!」
「ドッダッダッダッダッダッダッダッダダッダダッダダッダッダッダッダッダッダッダダッダダッダ――ンッ! ドッダッダッダッダッダッダッダッダダッダダッダ――――ンッ!!」
「バッバッバッバッバッバ――ッ!」
弾丸の飛び交う中にめぐみが飛び込んで行き、若頭の腕が機関銃で撃たれてもげて床に落ち、その首をめぐみが切り落とすと生首が宙に舞い、更にその生首を機関銃が打ち落とした――
大理石の床を若頭の脳ミソがつるーんっと滑って、親分の足元で止まった――
「うぅおぇ―――――っ、お前たちの要求は飲むから、助けてくれ……なっ、頼むっ!」
「フッフッフ、役者よのぉ……命乞いの真似事なんて、その手には乗らねぇよっ! 此処に居る巫女さんが言う様に、悪行は恨みとなって消える事ぁ、ねんだっ! 始末してやるから、覚悟しやがれっ!」
大広間の大きな柱の陰に誠真会の組員が隠れていて、高倉とめぐみに銃口を向けているのを確認するとニヤリと笑った――
「高倉、極道ってのはよぉ、道を極めるからこそ極道って言うんだぁ、神も仏も関係ねぇっ!」
めぐみの瞳の奥が光った――
すると、その場に居た誠真会の組員の数珠が切れて、大理石床に落ちた――
「パチンッ、パチ、パチ、パチ、パチ……」
「そこだっ!」
「ズギャアァァァァァ―――――――――――――――――ンッ!」
「ドッダッダッダッダッダッダッダッダダッダダッダダッダッダッダッダッダッダッダダッダダッダ――ンッ! ドッダッダッダッダッダッダッダッダダッダダッダ――――ンッ!!」
「カ・イ・カ・ン――――――!」
機関銃のスモークが立ち込める中、双子の巫女は見事に仕留め、皆殺しが完了した――