チンアナゴを手懐けろっ!
有栖川幸恵は、前のめりになるJC・JKを前に、更に熱弁を振るった――
「皆さん、おとこがボディ・タッチをして来たらどうですか?」
「スケベ、いやらしいっ!」
「キショいっ!」
「そうですね。でも、それが素敵なおとこ。意中の人だったら、どうですか?」
「トキメくっ!」
「嬉しいっ!」
「はぁ――い。そうですね。その手を使うのですっ!」
‶ ザワザワザワザワザワザワ、ザワザワザワザワザワザワ ″
「先ず第一に、意中のおとこを見かけたら、左後方の死角に入ります。そして、さりげなく近づいて、いきなり左腕に抱き着くのです」
‶ ザワザワザワザワザワザワ、ザワザワザワザワザワザワ ″
「先生、そんな事をしたら、驚かせてしまいませんか?」
「はい。良い所に気が付きました。驚くと云う事は……つまり?」
「えっ? ドキッとする……」
「そうですっ! 吊り橋効果ですっ!」
‶ オオオオ――――――――――――ォッ! ″
「そして、この時に、重要なポイントを申し上げます」
‶ メモメモ、メモメモ、メモメモ、メモメモ ″
「ここで重要なのは、バスト・トップをクリティカル・ヒットさせつつ、横乳を密着させてホールドする事ですっ!」
‶ ウォオオオオ―――――――――――――――――――――ォッ! ″
「盛り上がって参りました。更に詳細にご説明致しますと、脳が認知して行動するまでの0.3秒が肝要なのです」
「先生、マジで恋するのは五秒前じゃないんですか?」
「違います。それに、情報が、ちょっと古いですね。良いですか皆さん。抱き着かれたおとこは『今のは……この感触は、おっぱいだっ!』と気付くのに、0.3秒掛かります。しかし、この刺激は脳だけでは有りません」
‶ ザワザワザワザワザワザワ、ザワザワザワザワザワザワ ″
「なんと、0.07秒で、股間のチンアナゴの方が先に反応するのですっ!}
‶ オオオオ――――――――――――ォッ! ″
「七海ちゃん、もう帰ろうよ」
「今、良い所なんよ」
「チンアナゴがウケているだけだよっ!」
めぐみの言う通り、JC・JKはチンアナゴをググりつつ、メモを取っていた――
「先生、反応が早いと、どうなるんですか?」
「良い質問です。チンアナゴが半起ちになると、おとこは、それを悟られまいと腰を屈めがちになります」
‶ メモメモ、メモメモ、メモメモ、メモメモ ″
「でも、先生。いきなり抱き着いて、もし、引かれたら、どうすれば良いんですか?」
「はぁい、可愛い質問ですねぇ。もし、相手が嫌悪感を示す様なら……脈無しですっ! そして、ゴメンゴメンと言って、冗談のフリをすれば良いのです。あくまでも、無防備を装う事こそ、肝要なのです」
‶ オオオオ――――――――――――ォッ! ″
「先生っ! その後は、どうすれば良いんですか?」
「チンアナゴが、暴れたりしませんか?」
「おっほっほ。興味津々ですね? その後は、簡単です。もう相手は、正常な判断が出来ませんから。素敵な女性が隣に居ても、目に入りません。只々、貴方との関係を深める事しか頭に無くなるのです」
‶ ウォオ―――――オオオ――――――――――――ォッ! ″
「そして、相手が求めて来たら、受け入れて下さい」
‶ ザワザワザワザワザワザワ、ザワザワザワザワザワザワ ″
「先生、受け入れるって、まさか……」
「入れちゃうんですかぁ?」
‶ キャァ――――――――――――――――――――――――ッ! ″
「皆さん、御静粛に。違います。慌ててはいけません」
有栖川幸恵は、チョークを持つと、黒板に小気味良い音を立てながらスラスラと書いた――
‶ タンタン、シュッシュ、タタンタン、スゥ——、タタタン、タンッ! ″
一、おっぱいを揉ませるのは三十秒!
二、乳首を吸うのは十五秒!
三、おパンティの中に手を入れさせるのは五秒!
‶ メモメモ、メモメモ、メモメモ、メモメモ ″
「良いですか、皆さん。おっぱいは三十秒以上揉ませると、興奮して後始末が大変になります。ですから、乳首を吸わせても、十五秒でブレイクっ! 離れて下さいね」
‶ ウォオ―――――オオオ――――――――――――ォッ! ″
「そして、おパンティの中に手を入れさせても良いのです。しかし、湿り具合を感じさせたら終了です。指を入れさせるなど、以ての外ですよ」
‶ メモメモ、メモメモ、メモメモ、メモメモ ″
「先生、そんなに焦らしたら、チンアナゴが、可哀想じゃ有りませんか?」
「いいえ。おんなの優しさから気を許すと、直ぐに調子に乗るのが、おとこですからねぇ。チンアナゴに、情けは無用っ!」
「でも……」
「勢い・雰囲気・気分に流され、身を任せたら……女の負け。地獄行きなのですっ! 焦らす事で、あなた以外のおんなの存在が消えるのですっ!」
‶ ウォオ―――――オオオ――――――――――――ォッ! ″
「最後に、もし、皆さんの意中のおとこが、女子に人気のあるイケメンの場合は、尚の事、拒む事、焦らす事が肝要なのです。おとこの正常な判断力を鈍らせ、チンアナゴをコントロールする術こそ、令和を生きる女子に必須なのですっ!」
‶ パチパチパチパチ、パチパチパチパチ、パチパチパチパチ、パチパチパチ ″
大盛況の内に、おとこ教室は終わった。会場を出たJC・JK達は、会話が弾んで楽しそうだった。そして、奇声を発したかと思うと、猛然と駆け出して行った――
「うわぁ……あの元気、見習いたい」
「な。めぐみお姉ちゃんも、タメになったろ?」
「なる分け無いでしょっ!」
「でも、まだまだ続くんよね」
「マジか?」
「めぐみさん、こんばんは」
めぐみは、突然、声を掛けられ振り向くと、そこに、沙織の姿が有った――
「沙織さん? どうして、こんな所に……」
「どうしてって? 『おとこ教室』を覗きに来たんですよっ!」
「はら。めぐみお姉ちゃんだけが、遅れてるんよ。ねっ!」
「ねっ!」
「あっシは、七海って言うんよ。お姉ちゃんは?」
「初めまして。私は、滝沢沙織。よろしくね、七海ちゃん」
「なぁ——んか、ふたりとも意気投合してるし。沙織さんには無用の教室ですよ」
「あはは。そうなんですよ。相手も居ないし。でも、何でも挑戦ですっ! 思い立ったら、直ぐに行動するのが良いって」
「あぁ、あんなインチキ占い師の云う事を、あんまり、真に受けない方が良いですよ」
「でも、何か楽しいんですよ。それで、良いじゃないですか?」
「そうだおっ! めぐみお姉ちゃんは、理屈っぺぇ――んだおっ!」
「ぺぇ――んだって、面白い。良い感じっ!」
めぐみは、七海と沙織が爆笑しながら肩を組んで、歌を歌いながら歩いて行くのを、呆然と見送っていた――
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