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地上より宙へ。

 マックスは、南方の指示に従い、管制室に入ると衛星の打ち上げを実行した――



 〝 シュバッ、シュバッ、シュバッ、シュバッ、シュバッ、シュバッ、シュバァ—―――――――――――――――――――ッ! ″



 その数は数百万機以上。地上から花火の様に絶え間なく打ち上げられ、都内では新しいテーマパークでも出来たのかと大騒ぎになった。それは、東は三浦半島、西は伊豆半島からも見える程だった――


「父さん、早速、首相官邸から連絡ありました」


「分かった」


「あの、岸井田総理が、直々に……」


「マックス。狼狽える必要などない」


 一時間後、岸井田総理がW・S・U・S本部に到着した――


「ちょっと、南方ちゃん。どーなってるの?」


「どうなっているのかと、申されましても、届け出は済んでおりますが?」


「だって、もう、何時間も……未だに打ち上げ続けているなんて、有り得ないでしょう? おびただしい数じゃないかって……」


「他国からの干渉が有ったと?」


「いやっ、そ、それはだなぁ、具体的には、言えないんだが……」


「総理。開発が完了次第、順次、打ち上げる事で了承を得ているのです。まぁ、恐らく『軍事転用出来るのではないか』という疑いの目を向けられる事も承知しておりますので、我々は、何時でも査察を受け入れますと申し伝えてあります」


「あぁ、そうなんだよねぇ。それは、分かっているんだが、本当に、大丈夫なの?」


「総理。この衛星は、世界に類を見ない、我が国が独自に開発した、最新のテクノロジーの結晶なのです。画期的と言えましょう」


「そんなに、凄いの? だけど、何であんなに? 国民は『ドラゴン花火みたい』とか『流星群の様だ』って、大騒ぎになっているよ」


「数が多い理由は、超小型化を達成したからなのです。大きな物を打ち上げるためのエネルギ―損失を考えて下さい。その上、現在の紙芝居の様な天気図では、異常気象や気象兵器に対応出来ません。耐用年数から考えてもコスト高なのです。この最新の衛星は太陽光のエネルギーで稼働し続けるのです」


「じゃあ、太陽が有る限り、動き続けるって事?」


「その通りです。それこそが。気象衛星アマテラスなのです」


「うわぁ、日本の未来は明るいなあっ! 南方ちゃん」



 W・S・U・Sに動きが有れば、件の影の軍団にも動きが有った――


「何? 神棚にあの『御札』を置いただと?」


「はっ、今直ぐにでも、持って参る様にと……」


「待てっ!」


「しかし、親方様。あの『御札』が手に入れば、アマテラスの隠れ家が分かるはずでは……」


「どうも、気に入らぬな……」


「と、申しますと?」


「女子高生は『命に代えても守ると神に誓った物、絶対に渡しませんっ!』と申したのであろう?」


「はっ」


「それを神棚に置き、近衛兵なら、誰でも盗み出せる状況を、あえて作ったと考えるのが道理」


「つまり、囮と云う事……あれは、罠だと? しかし、その様な事を、あの女子高生が企むとは考えられません。我らの所在を突き止めた所で、戦う兵隊が居ないのですから……」


「確かにな。だが、あの女子高生が企んだ事ではないと云う事は、つまり、他の誰かが、企んだと云う事だ」


「まさかっ!」


「その、まさかだ。『遊び人のスーさん』とやらの、入れ知恵であろう……」


「どの様にしたら良い物か、御指示を頂きたく存じます」


「近衛兵たちには、神棚の『御札』には、手を付けぬ様にと、申し渡せ」


「はっ!」


 知らぬ顔の半兵衛に、知らぬ顔で対抗する影の軍団。だが、素戔嗚尊スサノオノミコトは、その手の内を見切っていた――


「あの、スーさん、近衛兵は、誰一人として、手を出しませんでした」


「スー殿。もしや……此方の見当違いでは?」


「間違っちゃいませんぜ。ふんっ、こっちの罠と見当を付けて、手を出さねぇと来やがった。まぁ、これで奴らは、身動きが取れなくなったって事だ。面白くなって来たぜ」


 素戔嗚尊スサノオノミコトは、ミカと長老と一緒に居る所を見られると、後々面倒になると考え、ふたりと別れて寝蔵に帰って行った――


「さぁて、サッサと戻って、飯食って寝るとしようか。しかし、本殿の固い床で寝るのも飽きちまったなぁ……」


 只ならぬ殺気を察知していた親方は、素戔嗚尊スサノオノミコトの予想に反して、既に、刺客を放っていた――



 〝 ササササ、ササササ、ササササ、ササササ、ササササッ! ″



「何者だっ!?」



 〝 シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ! ″



「おっととっと、そりゃっ!」



 〝 ストンストン、ストン、ストスト、ストンッ! ″



「姿を見せず、風きり音しか聞こえやしねぇ。今時、吹き矢とは。随分、古風だねぇ」



 〝 シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ! ″



「あらよっと、そりゃあっ!」



 〝 ストンストン、ストン、ストスト、ストンッ! ″



 素戔嗚尊スサノオノミコトは、バク天、バク宙、八艘飛びで、軽々と矢を躱した――


「この間の、お礼参りかぁ。おうっ! テメエ達が、何者かは分かって居るんだぜ。姿を見せなっ! 見せないなら、こっちから行くぜっ!」


 素戔嗚尊スサノオノミコトは、懐から棒手裏剣を取り出すと、松並木の上に居た三人を仕留めた――



 〝 ギャァ—―――――――――—―――ッ! ドサ、ドサ、ドサッ! ″



「さぁて、次はどいつだい? 掛かって来なっ!」


 正体がバレている以上、隠れていても埒が明かないと、草むらから、次々と現れた影の軍団・別動隊。その数、二十名以上——


「おいおい、粋じゃないねぇ。おいらひとりに、そりゃぁ、あんまりだぜ」


「フッ、手裏剣が、弾丸の様に眉間を貫くとは……お前、大した腕だな。殺すには惜しい男だ……だが、生かしておく訳には行かぬ、死ねっ!」


「ほい、ほい、ほいっと。ほいさっさだぁ。槍で、おいらを、ひと突きにしようなんて、随分と足下を見られたもんだぁ。人を見くびっちゃ、いけないぜっ!」


 男は、槍で素戔嗚尊スサノオノミコトの喉を突こうとしたが、一瞬で、躱され、その槍を奪われてしまった――


「へっへっへ。良いかい? 槍ってぇのはなぁ、こうやって、使うんだよっ!」



 〝 ブォ——オン、ブォ―—オン、ブォ——オン、ブォ―—オン、ブォ—―――――――――ォオンッ! ″



 素戔嗚尊スサノオノミコトは、取り上げた槍の石突付近を持つと、大きく円を描く様に振り回した――






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