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許されざる者。

 南方は計画の狂いを修正する方法を必死で考えた。国譲りまで、あと一歩の所まで来て小さな誤差が大きな亀裂になっている事に焦っていた――


「君たちの考えは良く分かった。私が誤解をしていたようだ……申し訳ない。しかし、君達よりも劣る遺伝子の人間になりたいだなんて、思ってもみなかったのだ」


「ほーら、見ろっ! しっぽを出しやがったっ! 真人間にしてやるなんて最初から嘘だったんだっ!」


「おい、南方さんよぉ。あんた、俺達をペテンに掛けたんだな」


「あんた、最初っから騙すつもりで、俺達を利用したんだな……」


「違うっ! 騙すつもりなんてを、これっぽちも無い。君たちは人間以上の存在として社会生活を送れるように、ちゃんと待遇を用意していたのだ。人間以上の暮らしが出来るのだ、それを……」


「ふざけるなっ! 人間以上でも以下でもねぇ、真人間になる約束だぁっ!」


「裏切者っ!」


「待てっ! 落ち着いてくれ、話し合えば分かる」


「ペテン師が、話合えば分かるだとよぉ……とんだお笑い草だぜ、ぺッツ。おい、皆。こうなったら、全員に招集を掛けろっ!」



 ‶ オオォ――――――――――――――――ゥッ!!! ″



「おい、君達。何をする気だ?」 


「南方さんよぉ、死に場所なら幾らでも用意してやるって言っていたよなぁ……その、死に場所ってぇのは、此処でどうだい?」


「早まるな、馬鹿な真似は止めろっ!」


「馬鹿な真似だろうがアホな事だろうがよぉ、死に場所くらいは自分で決めさせて貰うぜっ! あんたの世話にはならねぇよっ!」



 W・S・U・S本部の周囲は人間に成りすましたレプティリアンで覆いつくされ、何が起きたのか中の様子を窺い知る事さえ出来ないほどで、市民は見守るだけだった。そして、代表が集まった皆に向けて声明を発表した――


「諸君、諸君の中に人間以上の能力を維持しつつ、社会生活を営みたい者が居れば名乗り出てくれ。南方所長は国籍を用意するそうだ」


 代表の提案に誰ひとりとして名乗り出るものは居なかった――


「結論を言おう。我々は『真人間』になる事は出来ないっ! 最早、これ迄だっ!」


「代表、これ迄と言ったって、俺達は死ぬ事さえ許されない身だ。このままじゃあ、あんまりだぜっ!」


 集まったレプティリアン達は絶望した。しかし、暫くすると何処からともなく声が聞こえて、その声は大きなうねりを生んで行った――


 ‶ 実力行使だっ! 本部粉砕! 本部粉砕! 本部粉砕! 南方所長は自決せよっ! 裏切者に死をっ! 本部粉砕! 本部粉砕! 本部粉砕! 南方を吊るせっ! ″


 レプティリアン達が暴れ出し、コントロール室を破壊して、ロックされていた扉が開くと大挙して研究室に雪崩れ込み、更なる破壊を始めて収集が付かなくなった。そして、とうとうW・S・U・S本部に火の手が上がった――



 

 喜多美神社は神聖な空気と静寂に包まれていた――


「紗耶香さん、めぐみさん、ピースケさん。キリの良い所で手を止めて、三時のお茶にしましょう」


「はぁーい」


「もう三時かぁ……早いなぁ」


「本当ですね、もう少しで今日も恙無く終わるって事ですね」


「気が早いっちゅーのっ! まだまだ仕事は有るから覚悟なさい」


「分かってますよ。あはは」


 社務所で休憩をしていると、臨時ニュースでW・S・U・S本部のボヤ騒ぎが伝えられた――


「W・S・U・S本部って……南方の?」


「めぐみ姐さん、此れは大変な事態の様です。映っているのは……」


 ピースケは、めぐみに耳打ちした――


「えぇっ! レプティリアンですって?!」


「人間に成りすましていても僕には面識が有りますからね。恐らく、お払い箱になった彼らが、W・S・U・S本部を襲撃したに違いありません」


「ふーん。まぁ、私には関係なさそうね」


「そうは行きませんよ。めぐみ姐さんは南方と和樹兄貴を和解させなくてはいけないのですから」


「え、そこに直結する問題なの? はぁ、仕方ないなぁ……」



 めぐみがケータイを取り出して天の国のアプリを開くと、直ぐにchatGPTの画面に切り替わった――



 ‶ ピロリロロン ピンッ! ようこそ、chatGPTへ! さぁ、新しい時代の扉を、今直ぐ開けようっ! ″



 ‶ はぁ――い、Navigatorのぉ『巫女twin’z』でぇ――――――すっ! ″


「あんた達に聞きたい事が有るの。レプティリアンが南方を襲っているみたいなんだけど、このまま放置したらどーなんの?」


 ‶ はぁ――い、えっと、ですねっ。レプティリアンはぁ、地球外生命体なのでぇ、南方様のぉ、神力はぁ、一切、通じません。なのでぇ、助けに行って―――――ぇ、下さいっ ″


「ちょっと、最後にターンして『下さいっ』とかポーズを決めて言うの止めれ。ってか、私が助けに行くの?」


‶ はぁ――い、えっと、えっと、ですねっ。レプティリアンの怒りを鎮めてぇ、南方様を助けてあげてぇ、借りを作ってぇ――――――――――っ、恩を売る ″


「セコイ手ねぇ。それが神様のやる事か? 大体、何をすれば怒りを鎮められるのよ」


‶ はぁ――い、えっと、えっと、えっと、ですねっ。レプティリアンの怒りを鎮める方法はぁ、人間に生まれ変わらせてぇ――――――っ、あげる事です ″


「え? どうやって? 私が何をするのよ」


‶ はぁ――い、えっと、ですねっ。それはぁ、出生に関係する事なのでぇ、駿様にぃ、聞いて下さいませぇ―――――――――っ ″


「おい、chatGPT。クルクル回りやがって『駿さんに聞け』は無ぇだろ――がっ!」

 

 ‶ はぁ――い、Navigatorのぉ『巫女twin’z』でぇ――――――すっ! ″


「リフレインしやがった。腹立つわぁ……もう良いわよっ! とにかく駿さんに連絡すっから」



 めぐみは直ぐに駿に連絡をした――


「あ、もしもし駿さん。めぐみです」


「やぁ、めぐみちゃん久しぶり。元気かい?」


「お陰様で私は元気です。そんな事より、W・S・U・S本部が大変な事になっているの」


「あぁ。そうみたいだね。ニュースで見たよ。それで?」


「レプティリアン達が南方を襲撃しているみたいなの。彼等の怒りを鎮めるためには、人間に生まれ変わらせる必要が有るの。どうしても、駿さんの力が必要なの。お願い、助けて」


「ふーむ……分かった。後でW・S・U・S本部の近くで待ち合わせをしよう」


「ありがとう。また後で連絡します。じゃあね」



 めぐみは、遂に南方と顔を合わせ直接対決になる事を覚悟し、武者震いをしていた――





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