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明日から、本気出すから。

 めぐみは拝殿に昇殿すると、本殿に直行した――



「おぉ、めぐみちゃんっ! 良く来たのぉ。ゆっくりして行くが良いぞ」


「ちょっと、オッサンっ! 何、暢気な事を言っているのよっ! あんたの娘が大変な事をしでかしたの。責任取ってよっ!」


「珠美の事は諦メロン」


「ふざけてるの? 日本全国食糧難なのよっ! 何の関係も無い、何の罪もない人々が苦しんでいるのよ? サッサと連絡してよっ!」


「わしが電話をしても出てくれないんじゃよ……」


「ったく、親の癖に、どぉーしようもねぇなぁっ! 連絡先を教えて、私が直接話すからっ!」


 ‶ ピ・ポ・パ・ポ・ピ・ピ・ポン ″


「あー、もしもし、珠美? めぐみだけど」


「おぁ? めぐみ? チッ、クソ親父、番号教えやがったな。で? 何だ?」


「何だじゃ、ねぇ――――んだよっ! 日本全国食糧難でパニックだろぉ―がぁっ! さっさと元に戻しなっ!」


「嫌だね」


「あんだと? もっぺん……」


「こっちはニュースを観て笑いが止まんないよ。中国からの食料品もノルウェーからのサーモンも、南米からのチキンもオージー・ビーフもアメ牛も豚も全部ストップだぁ。国内の冷蔵庫は機能停止で食料品は全て土に還って行く……我ながら自分の神力に感動するわっ! アッハッハッハ」


「珠美っ! お前、正気か? 三人の男達だけに罰を当てれば、それで済む事だろーがっ! 反省して謝罪したいって、今、男達が此処へ来ているの。一億二千万人を餓死させる気? もう、気は済んだでしょうがっ!」


「へへぇーんだっ! 大日本帝国農業連合の農産物を購入して居る人達カスタマーは痛くも痒くもねぇんだよっ! バーカ、バーカッ!」


「依怙贔屓すんなっ! 差別すんなっ! 何の罪もない人達まで巻き添えにすんなっ!」


「おいっ! めぐみ。お前、舐めた口聞いてんじゃねぇよ。依怙贔屓も差別も神である私には一切、関係無ぇからっ! この私を怒らせたらどうなるか……きっちり、ケジメ付けさせっから。手前ぇは、すっこんでろっ!」


 ‶ ガチャ、プッ。 ツ―、ツ―、ツ―、ツ―、ツ―、ツ― ″


「あ――ぁっ、切りやがったなぁ……『この私を怒らせたらどうなるか』だぁ、こっちのセリフだぁ――――――あっ!!」


「めぐみちゃん……冷静にな。落ち着いて……」


「この親にして、この子有り……かぁ。役立たずの、クソ親父っ!」


 


 めぐみは本殿を出て、授与所に向かった。すると目に飛び込んで来たのはピースケと三人の男が仲良く談笑している姿だった――



「あっ! めぐみ姐さん、どうでした?」


「どうもこうも無いわよっ! クソ親父は着信拒否、珠美は交渉拒否っ!」


「めぐみ姐さんでも、ダメですかぁ……」


 それを聞いた三人の男は、がっくりと肩を落とした――


「そうですか……まぁ、土台無理な話だったのです……分かりました。やるべき事はやりましたから、綺麗サッパリ諦めます。めぐみ様。ご迷惑をお掛けした上、余計なお願いまでして申し訳ありませんでした。有難う御座いました」


「ちょっとあんた達、悔しくないのっ! 珠美の奴、何から何まで食材を台無しにしやがって、しかも、大日本帝国農業連合のカスタマーだけは守ろうだなんて、許せないわっ! ピースケちゃん、今、何時?」


「そぉーね、大体ねーぇ。十時十分前です」


「昨日、珠美が来たのは何時?」


「十時半から十一時ですけど……」


「よぉーしっ! 時を戻そうっ!」


 めぐみはクロノ・ウォッチの時間を二十四時間前に戻し、ボタンを押した――


「ポチッとな」



 小豆茶を淹れて、リビングのソファーで寛いでいた珠美は、突然トラックの運転席に戻った――


「ん? やけに固いし狭いと思ったら、ソファーじゃねぇ――しっ! 運転席だし。これは、一体どう云う事だ? 今日は配達の日じゃないのに……」


 珠美は昨日給油したガソリンスタンドの伝票が無い事に気が付いた――


「あれれ? 昨日に戻っている? まさか……そんな事は無いよ……日にちを間違えているのは私か?」



 喜多美神社に到着して、何時もの様に農産物の販売を終えて、後片付けをしていた――


「おかしい……何かがおかしい……気のせいだろうか……」


「おっと、珠美っ! 帰るのは早い。まだ話が有るんだよっ!」


「うっ、めぐみ? さては、お前の仕業かっ!」


「勿論ですよっ! さぁ、あんた達。きっちりナシ付けな」


 めぐみに連れらて来ていた、黒服の三人組は珠美に許しを乞う為、跪き謝罪をした――


「ははぁ―――っ! 珠美様、知らぬ事とは言え、昨日の無礼な態度、言動をお許し下さいませぇ―――――――えっ!」


「ざけんなっ! 絶対ぇ、許さねぇからっ! 見せしめだから、諦めなっ!」


「ねぇ、珠美。この人たちは地球外生命体なのよ。人間に擬態しているだけなのっ! 罰が当たるなんて、知る由もない 宇・宙・人 なのよ」


「おぁ? 関係ねぇだろうがっ! 人間として活動している以上、例外は認めませんよぉ――だっ!」


「あっそ。そっちがそう来るなら、こっちは何度でも時間を戻して、天罰を無効化するだけだから」


「ちょっ、おま、それ法律違反だかんな『神法第五条、神様の天罰は、如何なる理由が有ろうとも妨害してはならない』そんな事も知らねぇ―のかよっ!」


「残念でしたぁ。時間を戻すのは妨害には当たりませんので。まぁ、天の国も八百万の神々も『バグっている』としか思わないし、その原因は、あんただから。追及されて困るのは珠美っ! お前なんだよっ!」


「ちくしょう、ふざけやがって、頭に来たっ! こうしてやるっ、食らえっ!」


 珠美は必殺高速ビンタを繰り出した。だが、めぐみは顎を引きスウェーバックで躱した――


「何っ? この私の、高速ビンタを躱した奴は初めてだ……」


「ふふんっ、チョロい、チョロい。よの余裕なんでぇ――すっ。見切ってまぁ――すっ!」


 珠美は『明日から、本気出す』タイプだったが、本気を出すのは何時?『今でしょ』と心の声に導かれ、ついに本気を出す時が来た事を悟った――







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