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それって、あなたの感想ですよね?

 めぐみはピースケの大声に驚ろいて辺りを見回した――


「馬鹿ねぇ、そんな大声を出したら、こんな所に身を隠した意味がないでしょ」


「だ、だって、め、めぐみ姐さん……ブ、ブライトォ、ソォ――――――ドォ――――っ!」


「お前は歌舞伎役者か? 大袈裟ねぇ。ブライト・ソードは使う予定ナシ!」


「めぐみ姐さん、ブライト・ソードが何なのか分かっていませんね?」


「はぁ? 知っているわよ。光る刀でしょう」


「ほら、分かっていない。ブライト・ソードは十拳剣とつかのつるぎ天叢雲剣あまのむらくものつるぎも超えた、賢者の剣なのです」


「ふーん。そんな物を使わなきゃなんないのね。私が? ウンザリだわ」


「あ。もしかすると、偽物かもしれませんね。めぐみ姐さんがブライト・ソードを持つなんて考えられないですよ」


「あ。馬鹿にしている。偽物な分け無いでしょうっ! そう書いてあるんだからさぁ」


 めぐみが腕を組んで睨むと、ピースケは焦った――


「いやっ、馬鹿になんかしていませんよ。でも、本来、ブライト・ソードの授与は八百万の神々を集めて盛大な式典が行われるはずなので……宅急便で来るなんて……有り得ませんよ」


「そーなんだ。ピースケちゃん詳しいね。私は使う事が無い方が良いから、偽物でも良いけどね」


「いえ。断定は出来ませんよ『もしかしたら』と言ったまでで……そんな事より、めぐみ姐さん、どうして、作戦会議の時に言ってくれなかったのですか? バトル・スーツにクロノ・ウォッチ、ブライト・ソードが有れば向かうところ敵無しじゃないですか? 和樹兄貴も駿先輩も心を痛めずに済んだのになぁ……」


「……ゴメン。ってか、何時の間にか私が悪者になっているっ!」




 ―― W・S・U・S本部 研究棟 地下室


「金田先生、これは一体、どう云う事でしょうか?」


「うーむ。コレじゃ、話にならないな。完全に無毒化されて、大蛇オロチが只の蛇になってしまっている」


 ‶ ニョロニョロ。ニュロッ? ニョロニョロニョロロッ! ″


「どうでも良い事だが、何かしゃべっているみたいで……蛇。可愛いな」


「金田先生もそう思いますか? 此処では不謹慎だと思いましたので言わなかったのですが、実は僕も、そう思っていまして、家で爬虫類を飼っているんです」


「ほう。もっぱらトカゲだな?」


「正解ですっ!」


「君は所謂、爬虫類ヲタだな?」


「いやー、バレちゃいました? トカゲ一筋だったのですが、此処で大蛇オロチの飼育をしている内に、なんだか情が移ってしまったんです。可愛いなぁ……って」


「恐らく、この子達は持ち帰っても大丈夫だろう。欲しければ持って帰りなさい」


「本当ですかっ! 有難う御座いますっ!」


「所長には私の方から言っておくよ。大切に育てなさい」


「はいっ!」


 

 ―― 所長室


 ‶ コンッ、コンッ、コンッ ″


「金田です」


「入り給え」


 ‶ ガチャッ、ウイ――――ンッ、プッシュー ″


「所長、早速ですが飼っていた大蛇オロチが、只の蛇になってしまいましたので、研究員の塚本君に持ち帰らせる事にしました。よろしいですね?」


「あぁ、良いだろう。しかし、原因は分かったのかね?」


「いいえ。大蛇が短期間に痩せ細ってしまいましたので、何かの手違いが有ったのではないかと思いまして、設備などを調べたのですが……エサも温度の管理も通常通りで異常は有りません。不思議な事に、大帝国ホテルで会食をした日の記録だけ消えているのです。私には、あの日の記憶が有りませんので……」


「…………」


「所長、何か御存じではありませんか?」


「いいや。何も心当たりは無いね……」


「そうですか。それ以外の大蛇オロチの繁殖は順調ですので、どうぞ御安心下さい。では。失礼します」


 南方は金田が部屋を出て行くと、監視していたマックスを呼んだ――


「マックス、金田の行動に異変は無いか?」


「ハイ。カネダノ、ノウハニ、ミダレハ、イッサイ、アリマセンデシタ。ムシロ、ドウヨウ、シテイルノハ、ウソヲ、ツイテイル、ショチョウノ、ホウデス」


「あっはっは。こりゃあ、一本取られたな。マックス、お前は実に賢い『あの日の記憶が無い』と言われた時、ほんの一瞬では有るが、疑いの心を持ってしまった。それを見抜くとは見事だ」


「オホメ、イタダキ、コウエイデス。サキホド、キタミジンジャニ、ウゴキガ、アリマシタ」


「何?! 鯉乃めぐみの件だな。報告してくれ」


「ハイ。ピースケトノ、カイワヲ、ボウジュ、シマシタ」


「でかしたぞマックス! それで、何が有ったのだ?}


「ハイ。コイノメグミハ、ブライト・ソードヲ、スデニ、シュトクズミデス」


「何っ! マックス、既に詰んでいる可能性が否定出来ない原因はそれだっ! くそぅっ! 天国主大神アメクニヌシノオオカミめっ! 先回りしたな……」


「ショチョウ。ブライト・ソードノ、ジョウホウガ、アリマセン。ナニカ、シッテ、イルノデスカ?」


「あぁ、知っているとも。ブライト・ソードは最強の賢者の剣なのだ……」


「ソノ、ハカイリョクハ、ドレクライ、ナノデショウカ?」


「ブライト・ソードの破壊力は最大かつ最強……抜けば、その眩しさに目が潰れ、一振りするだけで相手を粉々にする切れ味を持っていると伝えられている。八岐大蛇ヤマタノオロチなどバラバラになってしまうだろう。剣としての威力もさることながら、使い手次第で更にその輝きを増すことから『賢者の剣』と伝えられているのだ……」


「リョウカイシマシタ。ブライト・ソードヲ、ムリョクカスル、タイサクヲ、カンガエマス……」


 マックスは暫く考え込み、そして、結論を出した――


「ショチョウ、イマ、ワレワレニ、デキルコトハ、トクシュナ、ゴーグルヲ、ツクルコト。ソレイガイ、アリマセン」


「うーむ……ゴーグルは装着が手間な上、目立ち過ぎる。せめてサングラスにしてくれ」


「リョウカイシマシタ。ダイシキュウ、テハイシマス」


「頼んだぞマックス」


 マックスは『頼んだぞ』と言った南方が、心中では『所詮AIロボットの考えることはその位の事だ』と諦めている事を悟った――


 一方の南方はゴーグルやサングラスをする事は、防御と同時に自らの攻撃も封じる事を悟り、作戦変更を余儀なくされていた――










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