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W・S・U・Sの闇。

 和樹は真正面からガチンコ勝負をして南方を倒した後、将を失ったレプティリアンをども退治すれば良いと考えていた――


「和樹兄貴は正攻法で南方を倒すおつもりでしょうが、そうは行きません。レプティリアンだけでなく、W・S・U・Sの職員達は権威ですから、政治家とのパイプも太いのです」


「クソッ、何だ何だっ! 職員? 政治家? そんなものなんだっ! 日和やがって、臆病風に吹かれて下を向いていてはダメだ。やる前から諦めていたのでは、話にならんっ!」


「諦めていませんが、和樹兄貴が思っている程、簡単な相手ではありませんよ……南方は、これまで散々、失敗をして学習をしています」


「この俺が、学習していないとでも思っているのかっ!」


 ピースケは熱い男気の一本槍で、戦いに挑もうとする和樹に半ば呆れていた――


「はぁ? 兄貴の学習は結果が出ていますか? 出ていませんよね。南方は力だけでも知力だけでも勝てないと云う事を嫌って程、知っているんですよっ!」


「ケッ、最弱神の癖に生意気だぞっ!」


「強い者が生き残るのではありません、変化に対応出来る者が生き残るのです。そのくらい、学習して下さいっ!」


「ピースケっ! お前、このオレにっ……」


 和樹が拳を振り上げると、めぐみが仲裁に入った――


「止めてっ! 和樹さんはそうやって我を失う所が有るからダメなの。敵に見透かされているわ。足を掬われるだけよ……」


「和樹ちゃん、ピースケちゃんの言う通りだよ。こちらの攻め手は読まれているし、何より、和樹ちゃんとガチで勝負したら勝てない事を前提に作戦を練っているのだからね。見す見すやられに行く様なものだよ……」


「仮に南方とガチンコ勝負をして倒しても、直ぐに復活しますよ」


「そりゃあ、建御名方神タケミナカタノカミを消し去る事は不可能だもんね……」


「はい。元々、レプティリアンは只の子分でした。人間の傍に行き、弱い心に付け込んで……欲望に忠実に従う人間を作り出していました。しかし、途中で真人間に戻ったり、逮捕されて刑務所に入ったり、殺されたりと非常に効率が悪かったのです。それで奴等は効率を重視したのです」


「ふーむ。それで、いよいよ団体組織を乗っ取ると?」


「えぇ。でも、その前に必要だったのが国籍だったのです。我々が地上に来て戸籍も保証人も居ない事で不自由な様に、人間社会の生活に入り込んで、人間をコントロールして支配するために、国籍乗っ取りを考え付いたのです」


「なるほど……レプティリアンでは間接的に支配する事しか出来無いからね」


「ピースケちゃん、でも、どうやってそんな事を……?」


「レプティリアンを進化させ、人間を頭から丸呑みにして同化するのです」


「じゃあ、それが、あの金田哲也だったと……」


「はい。和樹兄貴と出会う前に、僕は地上で生活費を得るために『楽で直ぐに現金ゲンナマ』のキャッチ・コピーの高額バイトに応募したのです、そこで出会ったのが金田哲也なのです。僕が名刺を持っていたのはそう云う事です」


「ピースケちゃん、闇バイトをしていたの?」


「めぐみ姐さん、年齢・性別・経験不問。履歴書不要で即決採用で即金なんて、他に有りませんよ。まぁ、闇バイトと言うほどの事は有りませんでしたよ。人間の理性を破壊し、欲望に従う強欲な人間を作るだけの作業です」


「充分、闇だっつーのっ!」


「いやぁ、言葉が足りませんでた。理性で抑え込んでいる欲望に火を付けるって感じですかね。頭数で日当が支払われましたから、だから、レプティリアンのおおよその人数が分かるのです。でも『欲望に忠実に生きることは、とっても人間らしいじゃないかっ!』と却って健康的な人が増えたり、成功者まで出て奴等の思惑通りには行かなかったのです」


「ピースケっ! お前がライトニング・サンダー・ボルトを躱したのも奴等の力だったのだな?」


「はい。それでも、僕は新人で不慣れだったので……逃げ遅れて逮捕され、今日に至ったのです」


「ピースケちゃん、それで関田の発見と大和田の研究がトリガーとなって、レプティリアンは進化したんだね?」


「はい。流石、駿先輩、理解が早いです。それが、八岐大蛇ヤマタノオロチプロジェクトです」



 ‶ 八岐大蛇ヤマタノオロチプロジェクト――――っ!? ″



「はい。僕は関田の依頼も、大和田の研究も知りませんし、ましてや、W・S・U・Sのボスが建御名方神タケミナカタノカミだったなんて……考えた事も有りませんでした。闇バイトで知り合った仲間達は、八岐大蛇ヤマタノオロチのDNAを配合したドラッグを手にれるために必死で働いていたのです。そして、手に入れた暁には『オレ達は真人間になれるんだ』と言っていました。今、思えば彼奴らはレプティリアンだったのです。只のヒト型爬虫類から大蛇オロチに進化するプロジェクトが進行中だったのです」


「ふんっ! その数、何万だろうと、このオレが退治して見せるっ!」


「和樹ちゃん。いくら和樹ちゃんが強くても無理だって……そんな事、出来やしないよ……十拳剣とつかのつるぎ天叢雲剣あまのむらくものつるぎも持っていないのだから」


「駿先輩。持っていたところで、多勢に無勢。戦力もさることながら、戦略も強かです」


「ピースケっ! お前と言う奴は、本当にどっちの味方なんだ? 強かな戦略とやらを知っているのなら、対策を練るのがお前の役割だろっ! 相手を誉めそやしてどうするっ!」


「褒めているのでは有りません。僕たちも戦略を練らなければ、戦う事の出来ない相手だと言っているのです」


「ねぇ、ピースケちゃん。戦略って言っても、どうすれば良いの? 私に何か出来る事は?」


「めぐみ姐さん、W・S・U・Sは日本の全ての先端技術を握っています」


「そして、当然、政財界との繋がりも深いって事だね?」


「はい……」


「ピースケちゃんはW・S・U・Sを潰そうと考えているの?」


「いやぁ……それが、未だ分からないのです。実はW・S・U・Sの活動を取材していた新聞記者とノンフィクション・ライターが行方不明になっていまして……」


「その二人は、消された……と?」


「はぁ……殺されたかどうかは定かでは有りません。ですが、取材していたのは関田と大和田の八岐大蛇ヤマタノオロチの研究とは全く関係の無い、量子コンピューターに関係した事で。僕は、良くある談合か贈賄くらいに考えていましたが……どうも違うのではないかと……思い始めているのです」


 さっきまで、怒りに打ち震えていた和樹は、ピースケの話を聞いて行く内に冷静になり、ガチンコ勝負などと言う甘い話では無い事を悟った――





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