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時間の無駄など有りません。

 めぐみはレンタカーの中で唖然としている駿と和樹に呆れていた――


「まったく、いざと云う時に男は役に立たないわねぇ。もう大丈夫よっ!」


「めぐみちゃん、今のは……何だい?」


「あぁ、元旦に神官から届いた新兵器なの」


「オレのライトニング・サンダー・ボルトを躱したと云うのに……なんて威力だ」


「ちょ、めぐみお姉ちゃん、今のは何よぉ……人が死んでんじゃんよぉーっ! ヤバいよ……ヤバいよ……」


「あら? 七海ちゃん見ちゃった? 巫女の任務なのよ。気にしなくて良いからねっ!」


 めぐみは左腕のクロノ・ウォッチのボタンに指を掛けるとポチ、ポチと押した。すると、消滅したピースケが実体となって現れ、死んでいた金田哲也が蘇った――


「ここは……何処だ……何故こんな……」


「ここは大帝国ホテルの地下駐車場。あなたはレプティリアンに乗っ取られていたの」


「めぐみ姐さんっ! 僕は助かったのですね? 信じられませんよ。良かったぁ」


「め、め、めぐみお姉ちゃん……ピースケが現れたかと思ったら、死んでいたおじさんが起き上ったよ……何したんよぉ……」


「心配しないで大丈夫だから。えーっと、後は七海ちゃんの時間を戻せば記憶も消えると……ポチっとな」


 めぐみがボタンを押すと七海は化粧室でお直しをしている時点に戻った。そして、金田の意識がはっきりとし始めていた――


「どこのどなたか存じませんが、レプティリアンの事をご存じなのですね……私がレプティリアンに乗っ取られていただなんて……てっきり、食い殺されたのだと思っていましたよ……」


「あなたの国籍を乗っ取って、あなたに成りすまし、人間として活動していたのです」


「人間として……? そうだったのかっ! 人口減少に依る労働者不足をレプティリアンによって補うと聞いていたのに……私は騙されたのだっ! 許せんっ!」


 金田は立ち上がると、直ぐに組織に戻ろうとした――


「待ってっ! お怒りはご尤もですけど、問題はコレからです。組織に戻って感情をぶちまけたら始末されるか、もう一度、食われるかの二択ですっ!」


「えぇ。分かっていますよ、組織の事は。あなたより……ずっとね」


「どうする気?」


「幸い、私にはチップは埋め込まれていないのです、何食わぬ顔をして、いつも通りにW・S・U・S・に行きます。何も無かった事にしてね……」


「それは、とても危険ですよ」


「しかし、そうするしか有りません。同じ事ですから……このまま逃亡すれば、秘密を知る私を口封じに殺しに来るでしょう。どうせ殺されるのです」


「そうですか。覚悟が出来ているんですね。それなら、コレをお持ち下さい」


 めぐみは金田にポケットから取り出した物を渡した――


「御守り……?」


「はい。その御守りが、あなたを守ってくれます。それと、何かあったら喜多美神社へ来て下さい。私はそこで巫女をしている、鯉乃めぐみと申します」


「鯉乃めぐみ……さん。分かりました、あなたは命の恩人だ。それでは、私は帰ります。さようなら」


 金田はW・S・U・Sのラージ、ローンチ共にプロジェクト・リーダーだったのは、その研究の成果を高く評価されたものだと信じていた。しかし、実験用のマウスと同様に、使い捨てに過ぎない事を悟り、去って行く後ろ姿はとても小さかった――



「めぐみお姉ちゃん、お待たせっ! ラメラメ、きゃはっ!」


「遅ぇーよっ!『きゃはっ』とか言って、キラキラ・メイクかよっ!」


「うっふふーんつ!」


「ケッ、鼻毛出ってから」


「えっ! 嘘っ!」


「嘘だよん。可愛いよ、七海ちゃん」


「あんがと。でもその言葉、駿ちゃんに言って欲しいんよねぇー」


「はいはい。帰ろう」


 帰りの車中では、運転する駿と助手席の七海がイチャイチャして二人の世界にどっぷりと浸っていて、後部座席の和樹は終始無言でピースケは饒舌だった。めぐみは次のターンでW・S・U・Sがどんな反撃を仕掛けてくるのか予測しつつ、戦略を練っていた――



―― W・S・U・S本部 指令室


 ‶ ウゥ――――ッツ、ビィイ、ビィイ、ビィイ、ビィイ、ビィイ、ビィイ、ビィイ、ビィイ、ビィイッツ! ″


「所長っ! 大変です。緊急事態です」


「一体、何事だっ! アラートを止めろっ!」



 館内にはアラートのサイレンが鳴り響き、会話も儘ならなかった――


「何っ!? 金田が殺されただとっ!」


「はいっ! 戻って来たレプティリアン・ジュニア達の話では、女にやられたと……」


「女……エニシムスビノミコトの仕業だな……マックスっ! 今すぐデータを出してくれっ!」


「ハイ。カシコマリマシタ。エニシムスビノミコトハ、カミ・ナンバー51251461107デス。エンムスビノカミ。アリトアラユル……」


「それは聞いた。ありとあらゆる物の縁を結ぶ力以外の、攻撃力を調べてくれ」


「ハイ。カシコマリマシタ。エニシムスビノミコトハ、エンヲ、ムスブタメノ、アラユル、ブキノ、シヨウキョカヲ、シュトク……ヨテイ」


「取得予定? しかし、それならレプティリアンの攻撃をどうやって躱したのだ?」


「ハイ。エニシムスビノミコトハ、レプティリアンノ、モウドクヲ、バトル・スーツデ、ボウギョシマシタ」


「既にバトル・スーツを支給されているのか……マックス、レプティリアンが殺された原因を知りたい。いったい何の武器を使ったのだ?」


「レーザーガンヲ、シヨウシタ、モヨウデス」


天国主大神アメクニヌシノオオカミめ、先回りしたな……クソッ!」


「所長っ! 金田が殺されてしまった以上、この先の繁殖と国籍乗っ取り計画が不可能になってしまいます、どうしたら良いのでしょう……」


「うろたえるなっ! 大和田を利用しろ」


「しかし、大和田がこれ以上、我々の計画を知ったら……」


「ドラッグと電気ショックを与えて洗脳するのだ。金田も死んだ事だし、抵抗するようなら始末してしまえ」


「御意っ!」



 イレギュラーな出来事に本部がザワついているその時、研究室のドアが開き、そこには、死んだはずの金田哲也が立っていた――








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