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ニュー・タイプがいっぱい。

 喜多美神社は神聖な空気と賑やかな声に包まれていた――


「めぐみさん、明けましておめでとう御座いますっ! 今年もよろしくお願いします」


「あっ、総長……じゃなくて、美織さん。明けましておめでとう御座います。こちらこそ、よろしくお願いします」


「めぐみさん、明けましておめでとう御座います」


「あら? 耕太さんも一緒ですか。仲が良いですね」


「私たち結婚することになったの。それで……」


「えぇ―っ、おめでとう御座います。知らなかったです。七海ちゃん、何も言ってなかったし……」


「七海には『内緒にしておいて』って、頼んでいたの。きちんと報告しようと思って、ふたりで話し合って……それで……」


「そう云う事かぁ。でも、そんなに畏まって報告する事でもないと思いますけど?」


「実はね、出来ちゃったの」


「オレ達のベイビーが今、おなかの中に居るんですよ」


「マジで? うわぁ―――っ! おめでとう御座いますっ! やりましたねっ!」


「『ヤリましたね』なんて……そんな恥ずかしい事、言わないで下さいよ……」


 〝 あ――っはっはっはっはっは ″



 その後、藤田和彦と佐藤麻実が颯太を連れてやって来て、入籍と新しい命を授かった報告をし、須藤玲子と村山達也、木村克也と江藤静香も子宝に恵まれた事をめぐみに報告した――



「うーん、この調子だと山岸沙織に桜井和俊、それから丸山耕平と小原麗華の二人も時間の問題だなぁ。今年は出産ラッシュだよ……」


「めぐみ姐さん。その子供達、全てがニュータイプと存じます」


「えっ、全部? ピースケちゃん。それマジ?」


「マジもマジ。大マジで御座います」


「ふーん。そーなんだぁ」


「『そーなんだぁ』じゃ有りませんよっ! 新しい日本の夜明けなのです。ついに真世紀の始まりなのです」


「まぁ、目出度い事には変わりないよね……あははは」



 仕事を終えためぐみとピースケは帰りに何時ものカフェに立ち寄ると、そこに和樹と駿が居た――



「おーい、めぐみちゃん。こっち、こっち」


「あら? 駿さんに和樹さん。こんばんは」


「こんばんは。良いタイミングで会えたね。ピースケちゃんに聞きたい事が有るんだ」


「おいピースケ、きちんと仕事して居るか? めぐみさん、迷惑掛けていないかいい?」


「迷惑だなんて、とんでも無い。皆、大助かりで頼りにしているのよ」


「エッヘン。兄貴、昨日までの僕とは違うのです。人に頼られ信頼されて伸張著しいのです」


「ほう。そりゃぁ、良かった。まぁ、お前みたいな奴でも利用価値が有るって事は良く分かったよ」


「ピースケちゃん、早速なんだけど教えてほしい事が有るんだ。大谷家に調査に入った研究者の消息が不明なんだよ」


「フッフッフ。駿先輩、W・S・U・Sに関わって消息不明になった人なら枚挙に暇が有りませんよ。さてさて……何時頃から消息不明なんですか?」


「あぁ……おそらく半年位前なんだけど……」


「ふーむ。半年前ならきっとその研究者は施設内に軟禁されていますね」


「施設内に? でも、どうして軟禁されているんだい?」


「用済みなら抹殺されています。口止めもしかり。利用価値が有るから軟禁されてるのです……恐らく、大谷家から持ち出したのは当主の血液です。その血液から培養した成分を抽出し動物実験をしたのでしょう」


「それで、今も研究を……?」


「はい。軟禁状態で研究を続けさせられているに違いありません。八岐大蛇の恐ろしさを知ってしまった以上、もう、後には戻れませんから」


「よし、分かったっ! その研究者を奪還するために組織に潜入するぞっ!」


「いいえ。待って下さい、和樹兄貴。分かっていませんねぇ。そんな簡単に連れ出せる訳が有りませんよ」


「ピースケちゃん、どうして連れ出せないって分かるんだい? めぐみちゃんと僕が職員に憑依すれば潜入は簡単だよ」


「そぅそぅ。私だって人間の中に入る事位は出来るんだから」


「はーあぁ、やれやれ。駿先輩とめぐみ姐さんが憑依して潜入して会う事が出来ても、彼を連れ出す事は出来ませんよ。厳重なセキュリティを突破して彼を連れ出す事は出来ません」


「おいっ! ピースケ、じゃあ、どうすれば良いんだっ!」


「和樹兄貴、冷静に。冷静に。大声を出すから、皆、驚いてこっちを見ているじゃないですか」


「ねぇ、ピースケちゃん。連れ出す事が出来なくても会って話を聞くだけでも良くない?」


「めぐみ姐さん。職員と研究者の会話も録音されていますし、監視カメラが回っていますから、不審な行動が有れば直ぐに他の職員が飛んで来ます」


「打つ手無しかぁ……」


「いいえ。打つ手は有ります。研究者が外に出なくてはいけない状況を作るのです」


「それは、つまり……」


「はい。研究者に紹介状を書き、調査を依頼した歴史学者の関田正彦氏を利用するのです。彼からの調査依頼であれば、断る事は出来ません、不審に思われますからね。公明正大な組織と云う世間体を逆利用するのです」


「うーむ。昨日までのお前とは別人の様だ……ピースケ、お前、中々やるじゃないか」


「分かって貰えて嬉しいです」


「ねぇ、ピースケちゃん。その歴史学者の関田正彦氏を利用するって言っても、具体的にどーするの?」


「めぐみ姐さん。研究者の名前は大和田健三。関田氏は調査の結果をまだ受け取っていません。ですから、W・S・U・Sに連絡するのは時間の問題と言えます。そして、その時に大和田を呼び出して、直接会う様に仕向けるのです。そうすれば必ず外出しますから」


「ははーん、なるほど。そこで同行して監視している職員達を煙に巻くって訳だね」


「流石、駿先輩。理解が早いですね」


「めぐみちゃん、和樹ちゃん。関田氏の事は僕に任せて。ピースケちゃん、何か動きが有ったら直ぐに連絡するよ」


「分かりました。僕の方も新しい情報が有れば直ぐに連絡します」




 こうして、何時ものカフェで四人の神様のミーティングは終了した――






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