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再会!元カレはカリスマ社長。

 応接室の周囲は集まった生徒達でごった返していて「ワイワイ、ガヤガヤ」と騒がしかった。


 話題はもちろん「乙女ちゃんの元カレ? カリスマ社長と男女の関係なの?」と興味本位の憶測から「ビジネスに決まっているわ、どうせ只の友達でしょう」と云う冷めた決め付けまで様々だった。


 誰かが「もしも、プロポーズだったらどうする?」と言った次の瞬間「キャー、ヒューヒャー!」と大合唱になって、ザワついた――


「うぉっふぉん! 皆さん、お静かに!」乙女ちゃんの鶴の一声に、生徒達は静まり返った。そして、一歩、また一歩と歩みを進めるとモーゼの十戒の様に自然に通路が開けて、応接室のドアの前に立った。


 固唾を飲んで見守る生徒達を一瞥すると「クラブ活動に戻りなさい」と優しく言った。


「コッツ コッツ コッツ」とドアをノックをして「倉持です、入ります」と声を掛けると「はい、どうぞ」と中から懐かしい声が聞こえて来た。


「失礼します」と言ってドアを開けると、二人は久しぶりの再会を果たした。


 津村とめぐみは起立して待っていて、陽菜が正対すると礼をした。


 そして、お互いに「こんにちは、お久しぶり」とぎこちない挨拶を交わした後、隣りを気にする陽菜を察して紹介をした「彼女は秘書の鯉乃めぐみさんです」そう言うと、めぐみが「初めまして、鯉乃めぐみと申します、宜しくお願い致します」と言って最敬礼をした。そして「こちらが幼馴染の倉持陽菜さん」と紹介をした。陽菜は「こちらこそ。よろしくね」そう言うと、ふたりを着席させた。


 冷めたお茶と空いた急須を片付けると改めてお茶を淹れ直した。そして、静かに着席した――

 

 すると、互いの瞳の中に鏡の様に自分が映っていた――


 言葉はもう要らなかった――



 見つめ合って居ては埒が明かないので、めぐみは沈黙を破って話した――


「仕事で初めて高知に参りました。とても美しい所ですね」


 陽菜は見透かして聞いた――


「仕事で来るなら前もって連絡する武史ちゃんが、突然、学校に来るなんてどういう風の吹き回しかしら?」


「社長が幼馴染が近くにいると言うので、それならば是非お会いするべきではと私が……」


 津村は少し照れ臭そうに言った――


「いやぁ、その、本当に、仕事で来たんだよ、それで、会ってきちんと話をしようと思ってね」


 めぐみは「余計な事を言ってしまった!」と反省をしたが、限られた時間の中でやるべき事をやらねばならなかった。ケータイの様な物を取り出し、アプリを起動すると測定を始めた。すると「505Error」とエラー・コードが出た。


 陽菜は取り繕うふたりが面白くなって来た――


「仕事って……何のお仕事なの? ジャンプ・スーツを着た秘書なんて聞いた事が無いわ。それにめぐみさん、ケータイを出して弄るのはマナー違反ではないかしら?」そう言って微笑んだ。


 津村は笑って誤魔化そうとした――


「海岸沿いの不動産物件を視察に行って……汚れる可能性が有るからね。だから偶々こんな格好をしているだけだよ、着替えて来なかっただけで、あははは……」


 陽菜は更に追及した――


「どこの物件? そんな特殊部隊の様な格好で仕事をするの? 宿泊先は何処?」


 津村は聞かれる事が分かっていたので自信たっぷりに「サザン・スカイ・ホテルだよ」そう言って、ひと安心して横目で見ると、めぐみの顔色が蒼褪めていた。


「ちょっと、失礼」と言って起立すると、応接室の隅に連れて行き、陽菜に背を向けて「何かあったのか?」と確認すると、見た事の無いエラー・コードが出た事、そのエラーコードに対処する方法の確認をするため、神官と連絡を取りたいと云う事だった。


 津村は何気なく席に戻ると唐突に話し始めた――


「陽菜ちゃん、あの時の事なんだけど誤解なんだ……」と言いかけた時、陽菜が右手の人差し指を口元に当て「シー」そして、その指で廊下の方を指して、生徒達が聞き耳を立てている事をジェスチャーで伝えた。津村は手で口を塞いだ。


 すると、めぐみが謝罪と提案をした――


「倉持先生、取引先からの緊急メールが有り、ケータイを弄った事をお許しください。そして、私から提案をさせて下さい。此処では話せない事や、つもる話も有ると思いますので、この後、お二人で夕食を御一緒して、その時にゆっくりとお話しをされては如何でしょうか?」


 ふたりは無言で俯いて少し頬が赤くなっていた――


 まるでお見合いの様な状況になり、めぐみはわざとらしく「如何ですかー? 倉持先生の都合が悪ければ、仕方がありませんが――あっ、予定は入ってますよねぇ? 当然ですよねぇーっ」


 それを聞いて、津村は焦って陽菜の顔を見上げると「大丈夫です。予定なんてありませんから」と返事があって「ほっ」とした。


 めぐみが透かさず強い口調で「それでは、場所と時間は、こちらで決めさて頂き

ます。後ほど御連絡致しますので、連絡先を」


 そう言って、津村とケータイの連絡先を交換させて事なきを得た――


 しかし、この部屋を一歩出ると、生徒達の好奇の目に晒される事が予測されたので、陽菜が「うぉっふぉん!」と咳払いをして、ドアを「ガチャッ」と開けると、気配を察知した生徒達は、一斉に廊下を走り去って姿を消していた――


 津村とめぐみはスリッパを靴に履き替えて駐車場へ向かった。陽菜はふたりを見送るために外へ出た。


 生徒達は三人の光景を窓から「じっ」と眺めていた。女子高のせいなのか、彼女達が倉持先生を見る目は百八十度変わってしまった――





「面白かった!」



「続きが気になる、読みたい!」



「二人の人間は今後どうなるのっ……!」



と思ったら



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