表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成長素質オール1の雑魚だったが裏スキルのおかげで世界最強  作者: 掘削名人
第二章 冒険者ギルド
4/59

冒険者の登録

冒険者ギルドに着いたカイン。成長素質がオール1でも冒険者になることができるのだろうか?

 冒険者ギルドに入ると、沢山の人達がいて賑わっていた。大きなカウンターの受付があり、そこには職員が数名おり、それぞれの職員の前に、ある程度の列ができていた。受付の上には、天井から簡易的な看板が下がっていた。どうやら、ギルドに来た目的別に対当する職員を分けているのだろう。

 看板は、それぞれ、『クエスト関連』、『鑑定関連』、『登録関連』の3つだ。俺はまだ冒険者ではないから、登録関連のところへ行くといいだろう。 

 登録関連の職員の前の列に並ぶと、すぐに俺の順番が回ってきた。


「いらっしゃいませ。まずは身分証を見せてください。」


 職員にそう言われて、俺は身分証を職員に渡した。身分証を受け取った職員は、俺の身分証を機械に読み取り、すぐに俺に身分証を返してきた。


「もう、身分証はいいのか?」


 あまりにも早く身分証を返されたのだから、俺は職員に確認のために質問をした。


「ああ、始めての方ですね。ここは、あくまでも冒険者ギルドの入所受付です。治安管理のために、ここへ来た方達の入退室管理をしているんです。

 それでは、左側へお進みください。まずは、冒険者としての登録をお願いいたします。」


 受付の職員は答えるように俺の質問に答え、左側へと手を向けた。左を向くと、上の階へ続く階段が見える。俺は案内に従い、左側にある階段を上った。

 階段を上ると、少し開けたフロアがあり、奥に複数の窓口があった。すでに何人かの人間が窓口にいて職員と話をしている。俺は、窓口が空くまで、この区域を観察して待つことにした。

 俺が上ってきた階段とは別に、空間の反対側にもう一つ階段がある。下りの階段だ。登録を終えた者達は皆、この階段を下りているようだ。

 なるほど、あの階段は、おそらくクエストを受けることが出来るフロアに続いているのだろう。なんて効率のいい内部構造なのだろうか。

 それほど忙しいということなのだろう。忙しいということは、やはり冒険者は人気の仕事ということになる。人気があるということは、それだけ大きな富を得ることが出来る可能性が高いのだろう。大いに期待できるな。


「次の方、どうぞ。」


 ようやく職員に呼ばれた俺は、窓口の方へと向かった。


「冒険者の登録ですね。まずは、身分証を預かります。お願いいたします。」


 職員に言われた通りに俺は身分証を渡した。職員は答えるように身分証を機械に読み取り、パソコンの画面を見ていた。


「カイン様ですね。それでは、冒険者の登録を行います。カイン様は、どのような冒険者になりたいですか?」


 正直、職員の質問の意味が分からない。どのような冒険者とは、どういうことだろうか?冒険者にも、種類があるのだろうか?


「すまない。どのような冒険者とは、どういう意味なんだ?」


 俺はすぐに職員に質問を返した。すると職員は、やや顔をしかめながら説明を始めた。


「カイン様、あなたがどんな冒険者になりたいか、ということですよ。ここに来る方達は皆、ある程度の目標を持って冒険者になりに来ているの

です。

 自分が何が出来るのか、自分自身の成長素質を頭に入れ、何が得意で何が不得意か、それを踏まえて、ここへ来ているのです。」


 職員の説明で、なんとなく分かった。自分の得意不得意を伝えるのではない。どんな職業に就きたいか、ということなんだ。

 この窓口では、職業の選択もしているということなのか。だが俺は、得意なことなど何もないのだ。今はただ、レベルを2に上げることしか頭にないのだ。俺はそのまま職員に伝えることにした。


「ああ、すまない。とにかく、俺はレベルを2にしたいんだ。どうすれば危険をおかすことなく、レベルを上げることが出来る?」


 俺の質問を聞いた職員は、明らかに、意味が分からない、という表情をしていた。


「レベルをあげたい、ですか?」


「ああ、そうだ。」


「はあ。あなたは、まだレベル1なのですね?」


 職員はそう言うと、パソコンを操作し始めた。どうやら、俺の身分証のデータを見ようとしてるのだろう。少しして、職員はかなり驚き、操作の手を止めた。


「か、カイン様、こ、こ、これって?」


 職員が驚くのは当然だ、なんせ、成長素質がオール1なんだ。身分証のデータを見たから、俺の成長素質が分かったのだろう。


「ああ、そうだ。俺の成長素質は、オール1だ。もちろん、生命力も1。だから、モンスターと戦うことだって出来ない。でも、どうにかしてレベルを上げたいんだ。

 俺は、裏スキルの診断も受けたから、そのデータに裏スキルも掲載してあるだろう?

 とにかく、レベル2にさえ成れさえすれば、何か起きるはずなんだ。」


 俺の言葉を聞いても、職員は、驚いたままだった。完全にパソコンを操作する手が止まっている。まあ、成長素質がオール1の奴など、今まで見たことはなかったのだろう。そんな奴は過去にいたはずない。


「し、少々お待ちください。」


 職員はそう言って持ち場を離れて奥へ言ってしまった。少しして、いかにもベテランの中年男性が窓口に来た。

 中年の職員は、パソコンの画面から俺の身分証のデータを確認して、俺にこう言った。


「カイン様。あなたでは冒険者になれない。すぐに命を落とすぞ。冒険者になることを諦め、ビーラムへ帰ることを勧める。」


 冒険者になることを反対してきたのだ。まあ、そう言われることは想像はしていた。でも、諦めてたまるか。とにかくレベルを2に上げる。その方歩を聞き出して、冒険者にもなるんだ。


「いくら言われても、俺は冒険者になる。モンスターを倒すことは難しいかもしれないが、それでも冒険者になりたい。実際、モンスターと戦わない冒険者もいるだろう?」


 俺の反論に、中年の職員は、すぐに言い返してきた。


「カイン様。あなたの言う通り、モンスターと戦わない冒険者は確かにいます。ですが、それは、あくまでも、自分からモンスターと戦いに行かないだけです。当然、モンスターが襲ってきたら応戦しています。当然、モンスターと戦えば、多少の傷は出来ます。HPが1しかないあなたは、他の者は多少の傷で済むことさえも命取りになるんです。あなたも分かっているでしょう。」


「そんなことは分かっている。俺が聞きたいのは、モンスターを倒さなくても経験値を得る方法がないか、ということだ。」


 中年の職員の説得に全く応じず、レベルを上げる方法を聞く姿勢を崩さない俺を見て、中年の職員は根負けしたようだ。俺の質問に答えてくれた。


「カイン様、そこまで意志が固いのなら、もう止めません。冒険者の登録をさせてもらいますね。

 カイン様の言う通り、モンスターを直接倒さなくても経験値を得る方法は確かにあります。大まかに言うと、2つの方法があります。

 1つ目は、パーティーによる経験値を得る方法です。パーティーメンバーの誰かがモンスターを倒すことで、同じパーティーメンバーも経験値を得ることが出来ます。ですが、パーティーメンバーが得ることが出来る経験値は、約半分になってしまいます。

 2つ目は、道具を生成することで、僅かに経験値を得ることが出来ます。」


 中年の職員の答えに、俺が知りたかった情報があった。道具の生成。これこそが、俺がレベルを上げることが出来る方法なのだ。


「なるほど。道具を生成すれば、経験値を得ることが出来るのか。その方法で行きたいと思う。だから、俺は道具を生成する冒険者になりたい。」


とりあえず、今は、一つの可能性が生まれたことが嬉しかった。


「カイン様、いいですか?道具の生成で得ることが出来る経験値は、本当に僅かしかないんです。あくまでもセロではないというだけ。レベルを2に上げるだけでも、どれくらいの量を生成する必要があるか、我々でも分からないのです。」


「ゼロではないんだろ?ならば、少しだけでも前進出来るんだ。やるしかないだろう?」


「はあ、分かりました。それでは、職業を選択してください。道具の生成に関するの職業は、2つあります。

 それは、『薬師』と『鍛冶職人』です。

 私としては、『薬師』をお勧めします。何故なら、1つの道具を生成する時間は、薬のほうが断然早いからです。カイン様は、レベルを道具の生成のみで上げるおつもりなのでしょう。それなら、どんどんと薬を作って数を稼ぐべきです。」


 中年の職員の提案を、俺は受け入れることにした。戦闘に向いている花形の職業でないが、今は仕方がない。今重要なのは、レベルを2に上げることなのだから。


「ああ、それでいい。職業は『薬師』にする。」


 こうして俺は冒険者になることができた。職業は、『薬師』だ。ようやく、スタートラインに立つことが出来たのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ