今世も丸投げ
第49章
またハル国に春がやって来た。
まだ、ミートスが寝たきりだった時に、サリー様はやって来た。
「ミートス様・・・私・・・どう、謝ったら許してもらえるかがわからない・・どうしたらいいのか・・」
「ごめんなさい、ごめんなさい・・全部、私のせいです。私の・・・・・ううううううう・・・」
「サリー様・・・サリー様のせいではありません。絶対に違います。泣かないで・・・サリー様もお辛いのはわかっていますから・・・お父様、執事・・・サリー様、大丈夫です。元気になったらまた麻雀しましょう。サリー様・・・・・泣かないで・・・」と言ってまた寝ていた頃、王都では次の作戦が始まっていた。
未だに姿を現さない南北の宰相の資産を、すべて押さえ、身分をはく奪した。
シン国王は他国にも力を見せ、もしも、この二人を匿う場合はそれなりの制裁を与えると通告していた。国内外に居場所をなくし、財力を剥ぎ、ついでに貴族制度を見直した。
身分制度がある為に、この国は伸びて行かないと実感し、すべての貴族の身分の保証をやめた。
アルイム領のミートスの働かざる者、食うべからず方式を採用した。しかし、すぐ貴族に働くように仕向けるのも無理で、産業、工業、農業の出資を募った。小さな商店も資金が足りない所には出資ができて、経済を動かして国を大きくしていった。
南の宰相は最後には親族に売られて、捕まったが、北の宰相は未だに見つからなかった。
「北の宰相はどこに行ったのか?有力な情報は上がって来ないのか?」
「はい、国が出した懸賞金の事は全国に行き渡っていて、それでも情報がないとすると・・・国外か・・すでに死亡している可能性があります」
「イヤ・・・彼ほどの人間が・・・逃亡や死亡するわけない・・・一体、どこに・・」
「国王、テール侯爵がお見えです」
「義父・・・どうして・・・・」
「どうぞ、お入り下さい」
「国王、失礼します。実は北の宰相の件で参りました」
「何か情報が入りましたか?」
「はい、彼はやはり・・・サンシン国に取り入るようです。グルガシ国が、彼を、一番最初に切り捨てたのが、予想外だったらしく、今はサンシン国の境界辺りに潜んでいるのではないかと、聞きました」
「誰に??」
「はい、彼の子供たちです」
「子供たちはすべて母親が違います。今までは互いに会うこともなく、連絡さえもしていないようでしたが・・・今回の謀反の為、彼らも結束しなければ生きてはいけないと、腹を括ったのでしょう。サリー様の件もありましたし・・・」
「彼女は一番身分の低い母親の子で、5番目です。そして父親には最後まで利用されて・・そして、自分たちも明日からは貴族ではありません。前政権ではもちろん死罪になるが、今回はサリー様のお力でどうにか生きられます。でも、彼らにも守る子孫がいます。北の宰相の家の中を、隅から隅まで調べて、やっと、地下の部屋に参謀室を見つけました」
「そこには、サンシン国の事が記されていました」
「----でも、それを信じて私がその地に向かうことはできない・・もし、罠であったら??」
「はい、そうです。ですから、私が軍を率いて参ります」
「しかし・・・義父・・・」
「????はい?」
「い・い・いえ、テール伯爵・・もしもの事があったら、ご家族が嘆くのではないでしょうか?」
「いや、私には嫡男もいますし、私も身分制度には、限界があると日々感じていました。しかしながら、今、国王を助けるのはその貴族たちでもあると、思っていただきたいのも本心です。本当に、矛盾していますが・・」
「はい、すべての貴族が汚職や私利私欲に侵されているとは思っていないのですが・・・私の代ではどうなるのかとも心配しています」
「国王はお若いが利発でいらっしゃる。そして正直だ。もしも、出陣の折には私の事も少し頭に置いて頂けないでしょうか?」
「まず、サンシン国の記載されていた物を預かり、研究させて頂けないでしょうか?」
「もちろんです。ここにあります」
「後は、北の宰相の嫡男を呼んで事情を聴きます。今日はありがとうございました」
「陛下、あなたは国王です。礼は必要ない」
「・・・・・・・・」
「ホリー、ロケッサに電話してくれ! 」
「ロケッサ、ミートスさんの具合はどう?」
「はい、毎日、寝て、薬を飲んでいますが、今は温泉療法と言って、温泉で汗を流して水分を大量に飲んで汗で毒を出しています。温泉があって良かったです」
「状態が落ち着いてきて何よりです。それで相談だが・・・北の宰相がどうやらサンシン国に頼ろうとしていると、テール伯爵が・・・おっしゃって・・・ご自身で出陣したいと申されて・・・どうする???」
「おじい様・・・相変わらず・・・・」
「どうせ、少し考えさせて下さい。とか言って、私に振るつもりですよね」
「-----どうだろう・・・今の国内の戦闘能力はアルイム領が一番勝っているのは明白。自慢の軍隊を出陣させるのは?」
「-----ヒメがなんと言うか・・・母上の体も心配ですし・・・しかし、おじい様も心配で・・・その情報は誰からですか?」
「北の宰相の嫡男のドントルらしい・・自分たちの家族を守りたい一心での裏切り・・・」
「ーーーこちらでも会議を開いて返事します」
「いつも、すまない・・・前世の分も謝っておくから、すまない・・・・」
(はぁ~~、いっつも、丸投げ・・・。)
アルイム領の屋敷、
「お母様の状態も随分、落ち着いてきた・・・ウウン(咳)・・・今日、国王から連絡があり、北の宰相がサンシン国の境界の近くに潜んで、サンシン国と連絡を取っているのではないかと言う情報が・・・」
「テール伯爵よりあったと・・・・」
アムミツが、
「おじい様・・・・」
「ウウン(咳)・・国王がそこに向かうのは危険があり、国軍が王都からいなくなると、王都も危険になる・・それで・・・」
アムミツが、
「まさか・・また?アルイムの力を必要としているのですか?」
「アムミツ・・・」
「これはドントルからの情報で五分五分の信用だから・・国王も自ら向かうには危険があると・・・」
「ドントル兄の情報ですか?」
サリーはずっと、青い顔をして考えている。いくら具合の悪いミートスが許す、許すと言っても後ろめたい・・・それはサントラ商会のサントラや従業員たちも同じである。
一同はどうしたら必ず安全に北の宰相を捕らえることを考え始めている。
アムミツが、
「お兄様は受けるのですか?」
「それ以外、無いと思っている」
「一度、アルイム領の軍隊を出したら、また、次も要請がきます。その次も・・ずっと、きっとそうです。断りましょう」
「------」
「しかし、うちが出ないと、テール伯爵が出陣するとおっしゃっているらしい・・・」
「・・・・・・」
(言葉にならない・・・なんて、父上・・卑怯者・・・)
「その情報とサンシン国との境界の地図はありますか?」
「今、王都から車でこちらに向かっているからもう少ししたら到着するはずだ」
「今回のこと、ミートス様に告げるのですか?」
「いや、お体の事もある、なるべく言いたくない・・・・・」
「バッサムは今回は屋敷に残ってもらう・・・・長期戦になったらアルイム領の行政にも影響がでる」
その時、
「お願いがあります。私も連れて行ってください」
サリー様が名乗りを上げる。
「絶対、迷惑は掛けません。裏切りません。お役に立ちたいです」
「しかし・・・君の父親・・・」
「父親とは一度も思ったことはありません。お願いします」
「うーーん、戦場は不自由も多い、それでも構わないのなら・・・・」
「私たちも行きます。前にミートス様よりご注文があった大型のバスと言うものが出来上がっています。1台でここに居る全員を運べます」
「後はトラックが何台か出せます」サントラが立ち上がり話す。
「では、今回はトラックに組み立てるハシゴを数台のせて、高い場所からまずは潜伏先をサスケとチョロたちに探して貰おう、潜伏先が特定出来たら、少し相手の動きを見る。もしも、サンシン国が北の宰相と接触を持ったら、その証拠をつかみ、その後は奇襲する。
奇襲の方法は追って話す。




