夏だ!フリルの帰省
第39章
3皇子の強引な同居要請で、3皇子と側近2人はミートスの屋敷で暮らすことになった。
その代わりに田んぼ等の、整備に兵士たちを使っていい事となり、サスケたちが使っている訓練所を兵士たちにも開放することになった。
ロケッサは米酒の為だろう、と冷めた顔で呟く・・
フリルとは毎晩電話で話しているが、フリルの心配は尽きない・・貴族大学校ではその話をフリルに尋ねる生徒が多くなって、フリルは少し困惑している。
サリー様からの電話には本当のことを正直に話す。
それでも、互いに心配は募る・・・
数日後、パレス様の遺品が渡される。
身ぎれいなパレス様らしく、戦場でも清潔を保たれていた、しかしその中でもミートスが渡したブーツは流石に汚れが目立つ、ブーツを点検していると、ブーツの中には隠しナイフ、毒などを入れるポケットにはヨーダが特別に作った毒にもなり、解毒にもなる薬がそのまま・・・靴底はもう武器としては活躍ができない程にすり減っている。
そこで、3皇子の側近にミートスは尋ねてみた。
「パレス様が亡くなったのはどのように・・・?」
「はい、パレス様は前線で兵士たちに指示している時、突然苦しまれそのまま・・亡くなりました。軍医によると毒などの匂いもせず、原因不明のようでした。しかし、前日までお元気でいらしたので我々の中には疑いを隠せない者が多いです。そのため、部隊内部ではみんなの疑心暗鬼にもつながり、今回、アルイム領に入る前には一応、身辺調査を行い、信じられる者500人。そして、精鋭部隊とも言えます」
「そうですか・・パレス様・・・突然にですか、だから、ご遺体は、あのようにお綺麗で、本当に、ありがとうございます」
3皇子は屋敷の中に自分の書斎と作戦室、寝室等を勝手に作り、側近たちにも部屋を与え電話も引いた。
しかし、何故か食事はいつもミートス達と一緒に取り、アムミツの隣に座る。アムミツの冷めた顔が親ながら怖いと思う。
アムミツは最近、サリー様の生地で作られた、可愛いドレスを着ている、デザインはミートスが現代風のフリフリとレースをふんだんに使うお嬢様仕様、ロッテさえも作って想像するだけで楽しいと褒めてくれる。
そして、人形のような容姿と、クリクリ動く素敵な目で、街中では動いて話すスーパー人形と称されている。若いお母さんたちはアムミツを真似て、子供にアムミツ風な人形を持たせるのが流行っている・・・
そんな可愛いアムミツに必ず話かけ、酒を飲む・・・
「今日はオルガンの練習はしないの?」
「はい」
本当に簡単な受け答えでも3皇子は嬉しそうに酒を飲む・・・だから、周りの人たちは疑う・・ロリコン?
ロケッサは違う疑惑を向けている。
(父上、あなたも転生された・・人では・・・)
ロケッサはアムミツに聞いたことはない、『前世の3歳年下のヒメではないか?』と、しかし、ロケッサ自身も、誰にも悟られないように生きて行きたい、もしも、ヒメもそうして生きたいとしたら、アムミツの意思を尊重したい。
しかし、父上・・・あなたは露骨すぎる。
夏が来て、フリル達が帰省する。
今回の帰省はサリー様御一行も一緒の帰省する。車は今回は借りられない、1週間の長旅になった。しかしアルイム領に入ってからはすべての街で親切に迎え入れられる。
そして、同行者はもう一人・・フィルム教授も一緒に来た。
サリー様は最初、難色を見せていたが・・フリルがとっても親切でお優しい校長だと説得する、断るのも大人気ないと思い、最終的には承諾した。
しかし・・・しばらくすると・・それは失敗だったと、実感する・・馬車の中は何故かフリルと3人・・そして、二人の難しい会話にはついて行けず、サリー様自身の貴族大学校での成績をしっかり覚えていて、おまけに小言も多い・・・落ち着きなないとか・・もうそんな年・・ああああ・・うるさい!!
屋敷に着いて、ミートスの熱烈歓迎を受ける。みんながニコニコして挨拶を交わし、その後ろの3皇子に緊張する。
屋敷に入り、
フィルム校長は「皇子、皇室交遊論についての論文の提出がまだです。このままでは退学になります。この夏休みの間に完成させて、私に提出するように・・」
「校長先生がなぜ・・アルイム領にお出でですか?もしかして、私の論文のため・・??」
「それは、一番、君が知っているだろう!王都に戻らず、ここで高見の見物か!1皇子が姿を現し、2皇子は装うのをヤメた、それは・・・国王の病状が良くないと国民に知らせているのと同じではないか?」
「その後はどうするつもりなのか?どちらが勝っても最後にはここに攻めてくるのは誰でもわかる。その時・・君はミートスやロケッサの友愛を利用しているなら私はそれを止めたい」
「校長、私がここに居る理由は、誰にもわからないと思います。でも、後悔したくない為にここに居るのは確かです」
しばらく二人は対峙している。
トントン、ミートスがやって来て、
「フィルム教授、お住まいはいつもの所がよろしいですか?それとも、こちらにお部屋をご用意しましょうか?」
「あっちの、屋敷でいいよ、温室も近いから・・」
「サリー様はこちらで前に使っておられた部屋でよろしいですか?」
「------」
サリー様は悩む・・・温泉の泥パックは今回の一番の楽しみ・・しかし、ここには3皇子が・・・別宅にはフィルム校長が・・・どっちも嫌だ!!
「わたくし・・アリエルの家で良いです」
アリエルが答える。
「サリー様、私はこの屋敷にほとんど住んでいますよ」
「では、いつもそこは空室ですね。そこに荷物を運び、日中はこちらで過ごします。あなた、家を建て替えたとおっしゃってましたでしょう。新築だけど・・住んでいないと・・・」
そう!アリエルは自分でも認める金持ちになっていた。薬局と化粧品、最近ではサリー様の生地で作った洋服や小物、ついでにカフェも併設させたスーパーマーケットのような巨大店舗を持っている。街一番の金持ちと自負している。
王都で訪れたサリー家をたいそう気に入り、自宅はサリー様家を真似て作った、ヨーダも別に家を買い、サムと一緒に暮らしている。
「でも、私の家・・・サリー様家を真似て作りましたので少し恥ずかしいです・・・トホホ・・」
「あら、それでは是非、拝見しなくでは・・ハハハハハ」
サリー様一行はさっさとアリエル家に移動していった。途中でサスケとチョロに出くわし・・話しかける。
「あら、あなたたち・・・どの辺に住んでいるの?」
二人はオドオドしながら答える。
「あちらの別宅に住んでいます。教授の荷物を取りに来ました」
「そう、わたくし、しばらくアリエルの屋敷にいますので、明日にでも来るように・・いいもの見せてあげるから・・」
「はい・・・明日、伺います」二人はなぜかサリー様が苦手で・・・少しビビっている。
「あなた達」
「はい・・・」オドオドしている。
「もしかして、フィルム校長と住んでいるの?」
「フィルム・・教授??・・えーーーと一緒です」
「そう・・校長と住んで、あの字・・・ふふふ・・・いいわ、必ず明日来るのよ!」
「はい、必ず、伺います」
しかしながら、サリー様は、二人を、気に入っている。
ミートスはフリルが無事に帰って来て嬉しくて仕方がない。
フリルの部屋に来て話している。顔には心配ないと満面の笑み・・でも、フリルは・・
「さっき、大声でフィルム校長が話したのは皆への警告ですよね」
「そうね、でもね、最近は政治のことは、ロケッサにお任せなの、彼が領主だし、頭も切れる、信頼しているから・・私は街の事、領民、家族の事だけを考えてのが精一杯で、バッサムは、両方を調整してくれて、すごいなとは思うけど・・」
「そうですね、バッサム家令はロケッサとミートス様の両方の信頼を得て大変ですね・・ふふふ」
「でも、学校でも、街中でも今はピリピリしています。学校の貴族たちも2分されて、同数な感じです。そして、まだ15歳の3皇子を支持している人は見かけませんが・・」
「あら、楽しい・・誰も3皇子を支持してないとなると・・アルイム領は3皇子を応援しましょう」




