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歴史における通説と私見  作者: 鹿島三塁手
第二章 大暴れ将軍吉宗、その実像と虚像
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私見1 吉宗の闇

 吉宗の将軍就任は、偶然が多すぎます。

 最後に私なりに吉宗の人生の不可思議なことと、享保の改革について述べたいともいます。


 私は御三家は豊臣家の抑えと前述しましたが、紀州家ができたのは実は大坂夏の陣以降です。福島正則が些細なことから、言いがかりをつけられ、広島50万石から川中島4万5000石に左遷になり、その空いた領地に紀州にいた浅野家宗家が入りその後、紀州徳川家がたてられます。豊臣家亡き後の紀州にはなにがあったのでしょう。


 紀州は信長秀吉のころから歳か雑賀(さいか)根来(ねごろ)、そして空海で有名な高野山金剛峰寺こうやさんこんごうぶじなど、独立心の高い勢力が多く存在し、その対応に苦慮しています。

 しかし裏を返せば、その勢力を味方につけると、大きな力になることを意味します。俗にいう忍者や汚れ仕事の実行部隊が出来上がります。そう考えると吉宗の祖父、徳川頼宣が由比小雪の乱の黒幕とみられた事も不思議ではないでしょう。


 まず吉宗が将軍になるまでに、父光貞、長兄綱教、3男頼職、尾張徳川家では、吉通、五郎太と次々に人が亡くなっています。

 綱教はその当時の徳川家と朝廷の血縁の濃さからなる短命、父光貞は次期将軍に推していた綱教の死によるショックと寿命が関係しているように見えます。ただ頼職の死あたりからは、何か不自然なものを感じます。

頼職は兄ほどではなかったでしょうが、文武を鍛錬はしていたでしょう。しかし本当に江戸から紀州まで早馬で移動するでしょうか?父が亡くなれば自分藩主になります。そうして葬儀一切を取り仕切らなければなりません。無理をせず、早篭というのが無難な選択でしょう。其れとも父の臨終に間に合わなくとも当時は「末期養子」も緩和されています。そう考えると早馬はやりすぎです。ですが吉宗が関係していないという証拠もありません、限りなく黒に近いグレーでしょう。


 尾張藩の方はもっと不可思議です。1713年に尾張藩士人が吐血頓死と割腹自殺とあります。吐血後の頓死は病気でもあり得ますが、割腹自殺が続いていることを考えると、私には毒見役が食事で毒死、台所の監督を任せられていた人物が、責任を取って切腹なら話は通ります。藩主の膳に毒が入っていたという可能性がでます。

 同月に謹慎中の母を招いての饗応後に発病とあります、その後急死します。何を発病したのでしょう。その時医師が同席していたのに何もしなかったのも不思議です。2か月前に藩士が、同月に尾張藩の支藩である松平義昌(満62歳)が亡くなっています(彼も吉宗と同じく領地にいかず名古屋と江戸の交代勤務です)。義昌の方は寿命かもしれませんが、藩主の健康には十分気を使っていたと思われる状況での宴席での、藩主の吐血です。

 その後を継いだ嫡子五郎太もその後2か月で満三歳でなくなります。尾張藩も厳重な環境での警備体制だったところでの死です。


 この前後、紀州藩のものが、尾張藩邸周辺をしきりにうかがっているという記録もあり、当時の学者も不審死に対しての、毒殺ではないかとの文書を残しています。そう考えると、8代将軍に吉宗にすることを幕閣が嫌ったとこと、その時期の尾張藩主継友が異常に見えるほど倹約に励んだこと、成瀬や竹腰などの付け家老が消極的だったこと(自分も危ない)の意味にもなり、それを宗春が相続後に知ったとすれば、彼の行動も、吉宗に対する意趣返し(いやがらせ)と見えます。

 それを踏まえて就任時に紀州から連れてきた人数が、吉宗の記録の40人無作為という証言と、田沼意次の父であり吉宗の小姓として江戸に来た田沼尹意行の200人の差(正確な人数はお庭番として連れてきたものいるので明かせないことの意味であり、答えなのではないでしょうか。


 その後も尾張の吉宗系の将軍家、紀州家に対する遺恨となり、幕末の尾張藩主徳川義勝(よしかつ)の兄弟が、紀州家の藩主徳川茂徳(もちなが)、桑名藩主松平定敬(さだあき)、会津藩主松平容保(かたもり)が最後まで幕府寄りであったのに、いち早く新政府軍についた理由というのは穿ちすぎでしょうか。




 どうも私たちのイメージの「暴れ方」でなく、裏工作が得意のような人ですね。まあその部分は吉宗の尊敬した家康に近いのかもしれません。

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