校舎との別れ【春の詩企画】
中学の卒業式の思い出です。思い出すとむずがゆい…
誰もいない 教室の
カーテンに揺られた 夕光が
たゆたう机に 座ってた
黒板の「さよなら」は 寂しげに
君も行くのかと笑ってた
春がきたぞと桃の香が
桜を起こす校舎外
さざなみのように去って行く
卒業証書の笑い声
カーネーションは胸ポケット
がらんどうの教室を
抜けて出て行く6時過ぎ
七不思議の廊下を抜けて
電灯切れかけ階段降りて
一足だけの下駄箱に
ひと房寄り添うチューリップ
夕日は沈んだ椿の向こう
灯りの消えた校舎を後ろ
募る明るい悲しみに
私は門を駆け抜ける
桃の香りに誘われた
桜の花がひと蕾
二度とはこない校門で
風に笑われ揺れている…
本作は「春の詩企画」参加作品です。
企画の概要については下記URLをご覧ください。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2230859/(志茂塚ゆり活動報告)