5人の王子
「ゆーか!!王子たちがサッカーしてるって!!
見に行かない??」
昼休み。
校庭が騒がしいと思ったら、いつもの例の王子たちだ。
そう、この高校には5人の王子がいる。
3年生組
三浦 翼
・一言で言うと「王子たちのつっこみ&リーダー」
・運動神経はイマイチ。
・面白いけど人見知りらしい。
・小学生レベルの漢字が読めないバカ
・でもなぜかモテる
春野 風太 通称 ハル
・一言で言うと「面白い人」
・運動神経◎
・何種類ものスベリギャグを持ってるらしい
・見た目はとんでもないバカだが実質かしこいらしい
・実は何を考えてるかわからない不思議くん
2年生組
前田 章太 通称 前ちょ
・一言で言うと「優しい人」
・学年1位を数回とっているくらいかしこい
・いらだつ天然
・実は1番周りを見て気遣っている
・ホモ?という噂も
矢杉 祐
・一言で言うと「一般的にかっこいい」
・だいたいなんでもできる
・週3のペースで告られる
・女遊びが激しい
・王子たちといるとドM
1年生組
高野 俊
・一言で言うと「大食い」
・ピュアな天然
・天然ながらも毒舌
・変態
というのが自称「王子追っかけ隊隊長」の遠野 奈津の王子プロフィールの内容だ。
ちなみに私は私のプロフィールも作っている奈津のノートの内容によると・・・
小柴 悠香 高校2年生
・バカに見える天才
・たちの悪い天然
・運動神経ナシ
・極度の男嫌い
・・・らしい
自分で付け加えるとすると
今はわけあって山にテント暮らし。
私はお母さんと不倫相手の子だった。
お父さん・・・になるはずだった人は、お母さんより元の奥さんを選んで私たちを捨てた。
女で1つで育ててくれたお母さんも、事故で昨年に他界してしまった。
親戚とかかわりがなかったから、お金もなくバイトをしながらテントで暮らし始めた。
私が男の人を受け付けなくなったのも、この顔も知らないお父さんの影響なのかも。
「ゆーか!!何ぼーっとしてんの??
王子見に行こうよ!」
奈津がパンっと私の目の前で手を叩く。
「え、えっと・・・私、王子はちょっと・・・・」
「もうっ。
ゆーかはほんとに男がだめなんだから!
遠くから見るだけなんだから、大丈夫だよ!」
そう言って奈津に手をひかれ、確かに女の子たちがたくさんいて近づけないだろうと思って、仕方なく校庭に向かった。
「キャーーーーーー!!
はるーーー!かっこいいっ」
「翼さまあーーー!
がんばってーーっ」
「俊くーーん、こっち向いてー!!」
「前ちょー!かわいいーー!」
「祐ーー!それ勝ったらデートだからねー!」
校庭に出るなり、黄色い歓声につつまれる。
「やっぱりかっこいいよねえ。」
隣で奈津もうっとりしてる。
こういうのをかっこいい・・・って言うのかな。
男の人には何の感情も抱かない。
「奈津、あそこのベンチに座ってるね。」
女の子たちがにぎわってる中に入っていけなくて、近くにあるベンチで奈津を待つことにした。
「小柴さん??
体調悪いの?」
ベンチでぼーっとしてると、うしろからいきなり声をかけられた。
「・・・あ、へ!?
前田くん!?」
声をかけてきたのは、まさに王子の1人の前田 章太くんだった。
「なんで、こんなところにいらっしゃるんですか??」
「ちょっとケガしちゃって。
ってか、敬語キャラなの?」
前田くんは笑いながら隣に腰掛ける。
「あ、えっと・・・男の人の前だとなぜか敬語に・・・
あの、絆創膏持ってますよ?」
ポケットの中から絆創膏を取り出す。
「そうなんだ。かわいいねー。
でも僕女の子っぽいから平気じゃない?
身長もちっちゃいんだー。
絆創膏もらっていい??
ありがとう!」
ほんとだ。
確かに、前田くんとは敬語ながらも普通に話せてる。
「じゃあ、僕行くね!!
よかったらサッカー見に来て!!」
前田くんはそう言って校庭に戻っていった。