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  作者: 二葉 サナエ
9/20

第8話 ロン毛

AM 11:30

その日は、一日中授業が無いってんだから、皆浮かれまくっていた。

朝っぱらから南国ビーチへ出かけていた連中や。

朝っぱらから弁当食ってる連中や。

朝っぱらから喧嘩を始めた連中もいた。



「はぁ? テメェ、それはこの前返しただろ?」

あら。こちらでも早速始まったみたい。

「嘘つくなよボケ! 俺は返してもらった記憶なんて無い!」

物の貸し借りは、トラブルの元になるからやめなさいって、いつも言ってるのにねぇ…。

「ふざけんなよ? 返したっつったら返したんだよ!」

「返されてないって言ってんだろ!」

―バシッ―

「やりやがったな!」

おっと、取っ組み合い始めちゃったよ…。

てかさ、そのくらいで怒るなよなぁ。

全く。今時の子は血の気が多くて困るわ。

「お前も十分、今時の子だろうが。」

あっ、バレた?

つーか幸平君。

ボーっと見てないで、止めなさいよ。この二人。

「やだよ。」

なんでさー? 教室めちゃくちゃになっちゃうじゃん。

「めんどくセー。」

……。

アンタそれでも男の子?

ちゃんと玉ついてんの?

「……。」

…しまった。つい。

いやね、二人ともこのままじゃ怪我しちゃうでしょ。

「いつもの事じゃん。」

そんなにしょっちゅう喧嘩してるんだ。あの二人…。



(えっ? 何で回想シーンに、ナレーターが出てくるのかって?

 まぁ、そんな細かいところ気にしないでよ。

 この方が説明しやすいのさ。)



もう、ずべこべ言わず止めて来い!

「しゃーねーな」

ふぅ。これで何とかなるかな。

「おい! その辺でやめとけって。」

そうだよ! やめなさい!

「は? 何だよ。邪魔すんじゃねぇ!」

「つーかさ。幸平にも、あれ貸してたたよな?」

えっ?

「……そうだっけ?」

ちょっと! 何よ、もう!

アンタも何か借りててたの!?

「えっ、いや、あれもう返したじゃん?」

………。

「だから。返されてねぇって言ってんだろ!」

―ゲシッ―

(何よ、―ゲシッ―って…)

「ってーな! そんくらいで怒ってんじゃねーよ!」

あーあ。

火に油注いじゃったみたいだね。

「そのくらいって何だ! あれスッゲー高いんだぞ!」

そんなの人に貸すなよな。

「だから、ちゃんと金払ったじゃん!」

金取ってたのかい…。

―ゲシッ―

―ブシッ―

「痛い…痛いって。」

ん?

あっ! ロン毛!

ちょっと2人とも! 足! 足元!

ロン毛踏んでる! 最初の不良が一人だけ泣いてる!

聞いてんの? 幸平とリーゼント君!

「ふざけんな!」

「自分の毛の世話も出来ないような、間抜けは知らねー!」

…可哀想なロン毛君。

それ多分抜けるよ?

ただでさえ、そのヘアスタイルで痛んでるのに。

それ以上引っ張ったら。

間違えなく。

寿命が来る前に、毛根が力尽きちゃうよ。

可哀想に…。



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