第7話 不良語
PM 1:20
散乱する、教科書やペン類。
ひっくり返った机やイス。
ひびの入った窓。
そこはまるで、嵐の通り過ぎた後のように、静まり返っていた…―――
って。
…ここは、確かに3ーBの教室だよね?
間違いないはずだよ。だって、ちゃんとプレートには…
…無いじゃん、プレート。
…根っこから折れてるよ。
まぁ、すいません。
朝のあの自習騒ぎから、一体どうやったらこんな状況になるのか。
きっと理解できる人なんて、5%もいないでしょうな。
だって、私にも分かんない。
えっ? ナレーターのくせに何やってんだ?
だから、ごめんなさいってば。
まさかこんなことになってるとは、夢にも思わなかったもんだから。
ちょっとラクダとドライブに…
あっ、でも。
ちゃんとお仕事はしますよ。
こんなん、誰かに聞けばいいんだから。
という訳で
幸平! 一体何があったのさ?
「別に…何でもねーよ」
何も無いってことは無いでしょ。
頭から血流してる奴がいうセリフにしては、ちょっときついぜ? それは。
「ホントに、大したことじゃないのよ?」
……。
ちょっと。
美紀ちゃんの笑顔が、いつもの3倍怖いんですけど。
こりゃ絶対。何かあったね。
他あたってみよう。
え〜っと。何処かにいいカモいないかな。
ん?
あんなところに、面白そうなの発見!
グラウンドの隅で、ブルブル震えているリーゼント!
ねぇ、ちょっと君。
「わっ! な、何だよ?」
あらら〜。すんげービビリよう。
全ッ然怖く無かったよ? 今のセリフ。
「だから、何の用かって聞いてんだろ!」
あっ、そうそう。
君さ、何で
リーゼントなの? 今時流行んないよ? そんな髪型。
「はぁ!? そんなん言いに来たのか!」
おっと…
違う違う。つい口が滑って…。
「てことは、本心ではそう思ってるって事か!」
違う違う。…思ってるけど。
そうじゃなくてね。
何で君こんなとこで泣いてんの?
もしかして、3−Bと、何か関係あるんじゃない?
「! まさかテメェ! あそこの回し者か!?」
大丈夫さ。
少なくとも、君に危害は与えないから。
だから。
話してくれるよね?
全部。
…えっと。
大体の話は分かりました。
はぁ〜。
まるでバイオレンス。
健全な高校生にしてはやりすぎだって。
ま、しょうがないかね。
青春だからさ。こんなのも。
つーわけで、皆さんにも分かりやすいよう、
不良語を翻訳して、お話いたします。
って。
別に不良語ってのは、そんなに聞きにくいもんじゃないんだけどね。
ただリーゼント君、声震えまくってたから。
耳障りっしょ? そのまんまじゃ。