第6話 墓参り
AM 9:45
ちょっと。
どーゆうこと? ねぇ、どーゆうことよ!?
一日、丸々、帰りのホームルームまで、全部自習って。
一体どーゆーこと!?
そりゃね、前回確かに言いましたよ?
『明日の一時限目は…とりあえず自習!』って。
言いましたけど…。
それは、日本史の三上が急に実家へ、墓参りに行っちゃったもんだから。
仕方な〜く。だった訳ですよ。
なのに。
今日、来てみたら…。
教師全員、墓参りに行っちゃったって、どうゆうことですか!
ちょっと、校長!
「いいじゃないですか。生徒達も今日くらいはゆっくり羽を伸ばしてもらえば。」
そういうことじゃないでしょ!
アンタ、教師達に一体どんな指導してんのよ?
「先生方には、いつも明るく、元気で、健やかに。自分の個性を生かした、素直な子に育ってほしいと…」
―バコッ―
…おい、コラ。相手は、幼稚園児じゃねんだぞ?
なーにが、素直な子に、だ。
だから、みんな勝手に墓参り行っちゃうんだよ!
つーか、そんなわざわざ墓参りなんて行く訳ないじゃない!
絶対、嘘じゃん!
「いえいえ。皆さんとってもご先祖様思いなんですよ。」
ご先祖様より、生徒諸君だろうが!
「まあまあ。 さてと、それでは私も墓参りに…。」
―ドゴッ―
…行かせません。
「今日は一日、自習なんだってね。」
所変わって、ここは3-Bの教室。
さすがの生徒達も、一日自習なんて驚くよねぇ…。
「つーかさ。」
うんうん。
「これって…」
うんうん。
「超ラッキーじゃん!?」
―ズルッ―
「よっしゃー! 一日遊び放題!」
コラー! 君達、仮にも高校3年生なんだよ?
受験生なんだよ? もっと自覚持てよ〜。
「まぁ、いいんじゃん?」
おっ、幸平じゃん。(アンタ、このクラスだったのね。)
「そうそう。たまには羽伸ばそうよ。」
えっ、美紀ちゃんまで…。(校長と同じ事言ってるよ…)
ハァ〜…。
仕方ない。
ほんじゃ、まぁ。
今日だけ特別、許可しましょう。
理事長の、この私が。
…えっ?
ナレーターが理事長って、マズイんじゃないかって?
いいのいいの。これの作者ってばもう、ホッケ〜ンとなってるから。
理事長がナレーターだろうと、校長がまだ20代だろうと。
全く、気にしませんから!
ハッハッハ…。
つーことで、今日は一日自習だよ!