第4話 プール
AM 9:20
グラウンドには、高校生達の掛け声が響いている。
本日一時限目は体育なり。
そして、男子は陸上ということで、ひたすら走り続けている。
では、女子は?
「ズルイよな〜。なんで女子だけプールなんだよ!」
「俺もプール入りて〜!」
そう。女子は夏の醍醐味、プールなのだ!
もちろん、男女一緒にプールなんてベタな事はいたしません。
ほ〜ら、女の子達の楽しそーな笑い声が、聞こえてき…
…あれ? 聞こえこないないね? 何でよ、幸平君?
「あ〜、うちの学校、プールは屋上にあるから。」
へー。そりゃまた高いとこに造ったわね〜。きっと建築費も相当高かったでしょうよ。
てか、ここは市立高校だよね? 同じ“シリツ”でも、“私立”じゃないからね。
まぁ、いいや。とりあえず、屋上へGO!
雲一つ無い青空。澄み渡る空気。
マリンブルーの水が、ダイヤのように輝いている。
真っ白な砂浜には、南国を思わせる草花が鮮やかに茂り、所々、フルーツをつけた木々もある。
あぁ…ここは何処?
ハワイ? ソロモン? フィジー? それとも…
「屋上です。」
…ですよね〜、校長。
だって今、階段上ってきたんだもん。中央棟の階段上って、ドア開けたんだもん。
なのに、イキナリ南国のビーチとか着いちゃったら、これもう違う物語になっちゃうよ?
未来からやってきた、ネコ型ロボットとかのお話になっちゃうよ?
近づいてるかもしれないけど…。
一応、一線越えちゃいけないところは超えないように気をつけてるのさ!
偉いっしょ?
…自分で自分誉めても嬉しくネーヨ。グスン
エーン! 美紀ちゃ〜ん!
「キャー! 美紀ちゃーん!」
「すっごーい!」
? 何? 心の叫びが聞こえちゃった?
なわけ無いじゃん。これナレーションだし。聞こえちゃまずい訳だし。
「ほう、流石ですな。米坂君。」
やっぱそー思う? だって美紀ちゃん昔は…。
って。校長、アンタいつからそこにいるのよ。
「フッフッフッ…。校長はいつでもあなたの傍に…」
イヤ〜! 恐いよ〜! 誰か助けておくれ!
PM 0:30
一時限目から、跳んで飛んで、もうお昼。
本日も売店に向かうお二人さん。
「つか、何でお前んとこ弁当作ってこねーの?」
素朴な疑問。
「並木君とこは?」
質問に質問で返すなってのに。
「うちは共働きだし。」
そうそう。ママも忙しいのよ。
「そっか。大変だね。」
「で、お前んとこは?」
「…うち、作る人いないんだ。」
あれ?何だか…
「ふ〜ん。」
そこをさらっと流すな、青少年よ!
また飛んで、もうパン買ってきて、今その帰り
「あっ。私、校長室行かなきゃ。」
何よ突然。
「なんで?」
「何か、転校の手続きでちょっと…。」
色々あるのね。
「じゃ、行くか。」
えっ、あの校長のとこ行くの? やだよ〜。
「何処だっけ?校長室って。」
知らないな〜。
「ん? 屋上。」
「へ〜。」
校長。ホント怒りますよ。