第15話 笑い声
PM 10:26
人気のない所。
静かに並ぶ古い倉庫の群。
ここは、もう使われていないらしい。
掃除のされていない床や壁は、
蜘蛛の巣や、鼠の死骸で多い尽くされている。
もう、人との縁を切った場所。
この倉庫は、二度と使われる事は無いはずだった。
しかし…―――
ーブハハハハー
ーケケケケケ-
確かに聞こえてくる、奇妙な音。
…気味の悪い笑い声。
こんな奇声を上げるモノなど決まっていた。
人間以外にありえない。
「うまくいったようだな。」
暗い部屋の一番奥。
足を組んで座るその男が、この何人も居る連中の頭らしい。
「はい。問題ありません。」
そう答えるのは、若い茶髪の男。
「クッ…クク…。相変わらず、バカな奴等だぜ。」
「全くですね、何度同じ手に乗るのか。」
室内に、男共の気色悪い笑い声が響く。
「この前やったのは…並木、とか言ったか?」
「ええ。並木幸平。将来が有望と言われていた奴です。」
「そいつも最後には、サッカー出来なくなったんだって?」
「未だに部員ではあるようですが、活動には参加してませんね。」
「ハッ! ザマー見やがれってんだ。この俺様差し置いて、偉そうにしてるからだよ。」
「ごもっとも。」
…何なのこの声。
ものすっごぉ〜く、嫌な気分になるわね。
そんな会話を、何故私に聞かせるか。
そこが一番の問題だったりしないかな?
ねぇ幸平君、私を怒らせたいのかな?
「…知らねぇよ。お前が勝手についてきたんだろうが。」
つー訳で、
制服姿の幸平君、鉄パイプ何て危ないもの持ち出して、
かなりおっかない形相で、倉庫の扉を睨んでいます。
…なんかおっぱじめる気だよ、この人。
ひぇ〜。
ん〜、でもでも、
…注意すべきは、時間ね、時間。
え〜、ただ今、
PM10:30
なり。
…良い子は真似しちゃ駄目だぞ?