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  作者: 二葉 サナエ
15/20

第14話 俯き顔

AM 9:50

「おいっ並木!」

「んだよ?」

「先公から聞いただろ? あのこと。」

「…あぁ。」

「…お前、何か知らないか。」

「何かって?」

「だから! 犯人についてだよ!」

「…俺を疑ってんのか。」

「ばっ! ちげーよ!」

「あっそ。…俺は、何も知らない。」

「でもお前は…」

「しつけーよ! 俺は、もう関係ねーだろ!?」




AM 8:55

「え〜、既に知っている者も多いと思うが…」

おもむろに話し始めた担任の岡崎こと、じいちゃん先生。

「今朝、サッカー部の部室が荒らされているのが見つかった。」

やはり知っている者が多かったのか、驚きの声をあげる者は殆どいなかった。

「犯人はまだ分かっていない。」

そりゃそうだろう。

「まぁ、部室があんな状況だ。サッカー部も、しばらく休部となるらしい。」

それじゃあ…

「もしかしたら、今度の大会は棄権となるかもしれないな。」

………。

「以上だ。誰か、犯人についての情報等あれば、必ず報告するように。」

そうして、先生が教室を出ようとした時だった。

一人の男子生徒が、勢いよく立ち上がる。

「岡崎!」

「…何だ?」

振り返った担任の目は、その歳を彷彿とさせないほど鋭く尖っている。

この人は、何か知っている…。

しかし男子生徒も、その教師の視線の矢をもろともせずに話し続ける。

「その犯人だけど、調べるまでもないだろう?」

「…どういう意味だ?」

「それは、あんた等の方が良く分かってる筈だ。」

「…分からんな。」

そう言うときびすを返し、再び教室を出ようとする。

その背中に、尚も論を唱え続けるのは、納得のいかない顔。

「また…あんた等はまた、目を瞑るのか!」

「………。」

「岡崎!」

「お前も少しは大人になれ。…並木。」

―バタンッ―

担任が扉の向こうに消え、後に残されたのは、

重たい空気と、唇をかみ締める幸平の俯き顔だけ。




AM 7:50

「並木先輩!」

幸平は、登校早々、知らない女子に呼び止められた。

「………何?」

相当不機嫌そうな顔をしていたのだろう。

彼女達が、慌てて謝罪してくる。

「あっ、すいません! 私達、2年なんですけど…。」

「2年? 何か用?」

ぶっきらぼうな奴。

「あの…並木先輩って、米坂先輩と仲いいですよね?」

「…は? 何お前等、アイツの知り合い?」

「知り合い…と言うか、家が近所なんです…。」

「へぇ。」

「それで。並木先輩なら、今 米坂先輩が何処にいるか知ってるんじゃないかと思って…」

唐突にそんな事言われて、幸平も少々驚き顔。

「……? 知らないけど。」

「そうですか…。」

「もうすぐ来るんじゃねーの?」

「いえ…それが、家に帰ってきてないらしいんです。」

「………。」

どういうことだろ…


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