第12話 独り言
そうです。
今日の私が、こんなにも機嫌が悪いのは。
全て、あのバカ校長のせいなのです。
そりゃね、私だって。
普段なら、こーんなバカな事しませんよ。
感情に任せて自分の思ってる事、ペラペラ口に出しちゃうような
浅はかな真似、いたしません。
でも、今日ばかりは…。
目の前の、妖怪【厚化粧でその上ピンクミニスカな年増女】を
そのまま放置しとくなんて、できなかったんです。
だって…、あんな事があった後だもの…。
それは、昨日…というか、正確には今日の2時頃。
私は、酒に酔いつぶれておりました。
(そのお陰で、独り言じみた発言が、随分と多かったみたいだけど…。)
AM 2:10
はぁ〜。
えっ、何で理事長なのに校長何とかできないのかって?
そりゃね、私だってできるもんなら、とっくにあいつをワインの樽にでも突っ込んで、大砲で南極にでも発射してるわよ。でもさ〜…
学校経営ってそんな楽なモンじゃないのよ?
いくら私が理事長だって…
一番偉いからって…
出来ることと出来ないことがあるんだからぁ…
ううっ…
「泣くのを我慢するのはよくないですよ。」
えっ…
「さぁ、私の胸で、たっぷり泣いてください。」
校長…アンタってやつは…
「さ、経費のことはとりあえず忘れましょ。」
うん…
って。ちょいとお待ち。
相手はあの校長よ?
金の亡者よ?
自分のあの悪趣味のためには、手段を選ばないようなやつよ?
つーかさ、なんで私が経費のことで悩んでるって…
あー!
じゃ、やっぱりあんただったのね!
学校の経費盗んだの!
「ばれちゃいましたか。」
『ばれちゃいましたか。』じゃネーヨ!
ふざけんなよ。それで私はずいぶんと悩んでたんだぞ!
どうしてくれんだ!
「エヘッ」
『エヘッ』じゃない!
お前、いっぺんペンギンにその頭、食ってもらってこい!
と、こういう訳です。
(少々分かりにくいかもしれませんが、そこは酔っ払いだったんで、勘弁してください。)
それより、酷いでしょ? 校長のやつ。
話に出てくる経費って野は、学校の運動部用のものだったんですけど。
それを、理事長室の、超厳重な警備を潜り抜けて、まんまと手に入れてやがったんですよ?
しかも、それを校長室のサウナ建築費に使おうとしていたんだから!
ホント、許せないっての!
あれなくしたせいで、私は教員達にも、PTAにも
その他、もっと上のお偉いさんがたにも
こっぴどく叱られたんですからね!?
『君が理事長でありながら、何てことだ!』
『ちゃんと管理していたのかね!?』
『そんなんだから、学食が造れないんだわ!』
『どう責任を取るつもりだ!』
と。
そりゃ、もう。
めっちゃうるさかったんだから!
お陰で私はノイローゼ寸前。
普段飲まないウイスキーにまで、手を出しちゃった訳さ。
そんな時、犯人が分かって。
私はもう、地獄の沙汰にでもなったんじゃないかってくらい怒りましたよ。
まるで、般若みたいな顔してね。
それでも収まりきらなかった鬱憤が、
松野ばーちゃんの一件に、繋がってしまった訳です。
ま、これだと、
ばーちゃんは、ただのとばっちりを受けた被害者ってことになりますけど。
それは、鏡に映る自分の姿と、校長が悪いんだという事を理解して、
どうか、化けて出るような事だけは無いよう、お願い致します。
では、今日はこの辺で。
(何分、二日酔いが酷くてねぇ…)