第9話 裏切り
AM 11:45
「ったくよ! そんなんだから、裏切られるんだよ!」
あれからずっと、何やかんやで言い争いをしていた2人だが、さすがに疲れてきたようだ。
「はぁ?」
「お前がいつもそんなんだから、あいつはお前の事、信用できなかったんだよ!」
幸平の顔色が、一瞬にして変わる。
「どういう意味だよ?」
「お前…あの事、忘れたわけじゃねぇよな?」
―バンッ―
「だったら何?」
相手の胸倉を掴み、目で睨み付ける。
「お前が忘れたって、他の連中は忘れないぜ? 絶対に。」
「けっ。」
胸倉を掴む手を離し、その場を立ち去ろうとする幸平。
その後姿に、尚も庄司は語りかける。
「テメー、反省する気は無いんだな?」
そのセリフに、立ち止まってふっと、鼻で笑ってみせる。
「反省? 何で俺が、そんなもんしなきゃなんねーんだよ」
「ざけんなよ!」
庄司が幸平に飛び掛る。
それを軽々と交わし、逆に膝蹴りを入れようとした時…
「やめて!」
教室中に響くような大きな声で二人を制したのは、黒髪のストレートヘアだった。
「は?」
喧嘩を止められ、いきりだった庄司が美紀を睨みつける。
「ここは、喧嘩をするための場所じゃありません。学校は、勉強をするための所です。」
静かに、正論を唱える少女。
「なめんなよ?いい子ぶりやがって。怪我してーのか? あ゛!?」
しかし、庄司の剣幕にも、美紀は全くひるむ様子は無かった。
「今すぐここから出て行きなさい。」
あくまで静かな、命令口調。
「嫌だといったら?」
「言わせません。」
「上等だコラ!」
庄司が、次は美紀に殴りかかる。周りの生徒が息を呑んだ。
「待て!」
幸平が何とか食い止めようとしたが
「手出し無用。」
と。
余計なおせっかいだ。って事らしい。
そして、次の瞬間。
目を開けていられないくらいの、突風が吹き、庄司が後方へと吹っ飛んだ。
誰もが、事の成り行きについていけず、唖然とする。
「さぁ、さっさと自分の教室へお戻りなさい。まだ痛い目にあいたいのですか。」
やっとの事で起き上がった庄司は、
「覚えてろよ!」
との、負け犬の遠吠えを残し、逃げ出していった…―――