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ラッキーメイカー ~勇者パーティーを追放されたので、美少女と旅をします~  作者: 竹間単


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●6


「取引……ですか」


 魔王と取引だなんて嫌な予感しかしない。美味しい話に見せかけて、契約した後に俺が不利になるような類の話かもしれない。用心しなくては。


「取引内容は簡単じゃ。お主は妾と一緒に旅をするだけでよい」


「それって俺に得がありませんよね?」


 魔王リディアは取引と言ったが、実のところ「一緒に旅をするなら命だけは助けてやるぞ」という脅しなのかもしれない。


「これは脅しではない。取引じゃ。しかもお主にかなり得のある内容じゃぞ」


「今のところ一切の得を感じませんが」


「行き先はお主が決めてよい」


 魔王リディアはすごい特典だろうと言いたげな顔をしているが、俺はそもそも旅がしたいわけではない。行き先を決められるとしても、取引に応じようとは思わない。


「そんなものは得でも何でもないと思います」


「行き先は、ユニークスキルを奪う呪いのアイテムがある場所でもよいぞ」


「だからそんなものは得でも何でも……なんですって!?」


 俺は素っ頓狂な声を上げた。

 ユニークスキルを奪う呪いのアイテムが存在している!?


「妾は呪いのアイテムコレクターではない。ゆえにそういったものが存在するかは知らん。しかし存在しないとも限らぬであろう?」


 魔王リディアは曖昧な物言いをしたが、考えてみると確かにそういったアイテムが存在する可能性はある。

 アイテムに偶然そういった呪いが発生した可能性も考えられるし、強いユニークスキルを持つ相手に殺された者の恨みが呪いとなった可能性もある。強いユニークスキルを持つ相手に勝つために、あえて生み出された呪いのアイテムが存在する可能性だってある。


「そういったものは大抵、ダンジョンの中にあるが……お主一人で入手できるのか?」


 魔王リディアがにやにやと笑っている。完全に俺の足元を見ているようだ。


「確かに俺一人でダンジョンに潜るのはリスクが大きいですが……」


 魔王リディアと一緒に旅をするとなると、話が変わってくる。

 なんと言っても魔王だ。ダンジョンなんて簡単にクリア出来てしまうだろう。


「ダンジョンでも何でも、一緒に行ってやろうではないか。妾がいれば百人力どころの話ではないぞ?」


 確かにそうだ。百人の人間を引き連れるよりも、魔王一人の方がずっと強いだろう。

 しかしその反面、裏切られたら俺は瞬殺される。


「やっと見つけた旅の仲間を殺すわけがなかろう。妾を勇者と一緒にするとは、無礼なのじゃ」


 ……そうだった。勇者パーティーに入った俺は、勇者たちに裏切られ続けていた。ということは、魔王と組まずに人間の仲間と組んでダンジョンに挑んだとしても、裏切られる可能性はある。

 それを思うと、相手が魔王でも人間でも、裏切られる確率は変わらないのかもしれない。


「確率は変わるのじゃ。妾と組んだ場合、裏切られる確率はゼロパーセントじゃからのう。ワッハッハ」


「うーん……」


 魔王リディアの胡散臭い言葉はさておき。

 どちらでも裏切られる可能性があるなら、強い魔王リディアと一緒に旅をした方が良いのかもしれない。


「ようやく妾とともに旅をする気になったか」


「契約期間はどのくらいですか。俺はあなたと何年一緒に旅をすればいいんですか」


「期間などどうでもよいではないか。旅は楽しいぞ。いつまでもしたくなるくらいに、な」


「じゃあ、目的の呪いのアイテムが見つかるまでというのはどうですか」


 俺の言葉を聞いた魔王リディアは、よよよと嘆きのポーズをとった。


「自分の用が済んだら妾のことをポイするつもりか? ヤリ捨てとは酷いのじゃ」


「あっ、いえ、そういうわけでは……」


 そんなつもりはなかったが、今のはそういう風に受け取られてもおかしくない物言いだったかもしれない。


「……というか、その外見で下品なことを言わないでくださいってば!」


「背徳感があるであろう?」


「そんなものは求めてません!」


 俺が叫ぶと、魔王リディアはやれやれと肩をすくめた。


「契約期間の話じゃが。考えてもみるのじゃ。目的のアイテムが見つかるまでなんて契約にしたら、妾がわざと目的のアイテムがありそうなダンジョンを隠すに決まっておるであろう」


 確かに。この魔王ならそういった小賢しいことをやりそうだ。


「じゃあ契約期間はどうしますか」


「ナシでいいじゃろう」


「ナシは困りますよ!?」


 期限が無かったら、無事にユニークスキルを消した後も、魔王リディアの旅に付き合わされることになってしまう。人間の寿命は、魔王のそれよりもずっと短いはずだ。お爺さんになっても旅に連れ回されるなんて、新手の拷問だ。


「ふむ。では、期限は一年でどうじゃ」


「そんなに短くていいんですか!?」


 さすがにそれは、あまりにも俺に有利な契約だ。それでは一年間、魔王リディアを自由にダンジョンへ引っ張って行って、俺の求めているアイテム探しをしていいことになる。その上、早々に目的のアイテムが見つかったとしても、一年間だけ一緒に旅をすればそれで終わりだ。


「一年で契約は終わるが、その後も妾と旅を続けたいと思ったら、契約に関係無く一緒に旅をすればよい」


 こんなに俺に有利な契約を、結ばない選択肢があるだろうか。いや、ない。

 俺は魔王リディアの小さな手を握った。


「では、契約をしましょう」


「よし、契約成立じゃ。これから仲良くするとしよう、旅の仲間よ」


 特に契約書を交わすこともなく、口約束だけで契約は完了した。

 それでいいのかとも思ったが、魔王リディアからすれば、俺が契約を破ったら殺せばいいだけだから契約書など必要ないのだろう。それを思うと、契約書を作成したところで、魔王リディアが殺すと決めた瞬間に俺は殺されるのだから、俺としても契約書を作ることにあまり意味はない。




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