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そして悪女の被害者令嬢はいなくなった ~歌劇「悪女」ができるまで~  作者: 粟飯原勘一
第2章 帝国編 ~テイト・シャンティ・ランデブー~
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8. ライス辺境伯② ~王国辺境伯~

 

「…なんだと?」

「…ベネディクト伯爵(バカ者)か…その後妻(売女)か、それとも、息のかかった(質の悪い)使用人か…。

 いずれにしても、誰かがあの子に暴行しているらしい。

 おそらく、事態を把握しているのは、暴行を加えた連中と、ルイーザ本人、そしてマチルダだけで…伯爵家執事のレイモンドはルイーザ側と思われているのか、事実を把握できておらず告発できなかったそうだ」

「…そうか…」

 俺はそうつぶやくと、執事を呼ぶ。

「カレンを呼んでくれ」

「…かしこまりました」

 

 カレンはうちの中で、夫人や母の侍女兼護衛を務める【女子護衛隊】と辺境伯領で呼ばれている女性騎士を束ねる長だ。

 辺境伯領の孤児院で、ガキ大将的な立ち位置になっていたところを俺の目に留まって、同じ孤児院でも腕に覚えがある子供数名とともに保護してこの屋敷で護衛隊を編成した。

 今では孤児院では腕に覚えがある子供を保護すると、辺境伯家で護衛として雇うようにになったが、カレンはその最初のひとりだ。

 

「…失礼します、何かありましたか、旦那様」

「おぉ、来たな…侯爵、うちの女性騎士のまとめ役、カレンだ。

 カレン、俺が昔世話になったレゼド侯爵だ」

「よろしくお願いいたします、カレンと申します。

 旦那様の元、この屋敷にいらっしゃる女性の護衛や身の回りのお世話をさせていただいている侍女・護衛を束ねております」

「あぁ、宜しく、カレン嬢」

 侯爵とカレンがあいさつを交わすと俺はすぐに本題に入る。

「カレン、すまないが、今日ここに来たルイーザ嬢の身体検査を頼みたい。

 体に痣、消えなさそうな傷などがあったら、報告してくれ」

「…御意」

 そういってカレンは部屋を出た。

 

 一時間ほど侯爵と、ルイーザ嬢の母であるルイーザの思い出話をしていると、カレンが部屋に戻ってきた。

「…旦那様、侯爵様、失礼いたします。

 旦那様のおっしゃる通り、無数のあざ、傷がありました」

「そうか…」

 レゼド侯爵は目を伏せ、やはりか…とつぶやいた。

「記録は取ったかね?」

「もちろんでございます」

 カレンが恭しく礼をする。

 のちに俺はこれを基にベネディクト家でイメルダという後妻と、その娘の父親で馭者を名乗っている破落戸を逮捕することになるのだが、それこそがベネディクト伯爵家の終焉の第一歩になる。

 

「…さて、ライス、私はもう寝よう。

 明日は君は国境の町に向かうのだったね」

「ああ、ルイーザ嬢とタフィ殿()を送らなければいけないからな」

「…そうか、ところで」

 レゼドの爺さんはそういって、わずかに目を細める。

 

「タフィ殿のことはいつ気づいた?」

 

「…フン、俺は対帝国特化型の辺境伯だ。

 一目で気づいたよ」

「…なるほどな。

 では、休むとしよう…」

「…ああ、よく休んでくれ」

 そういって侯爵は部屋を辞した。

「…カレン」

「はい」

 控えていたカレンに声をかけると、すぐに返事が返ってきた。

「明日は、国境までお嬢さん方を送ったら…侯爵を送ってくる。

 そのまましばらく家を空けることになりそうだ…」

「…承知しました…」

 家を空ける、俺がそういったとき、この家を守るのはカレンと彼女の部下である女性騎士隊である。

 男性騎士は辺境伯の護衛と俺がいないことで手薄になる領都の警備に向かうため、家を守るために領地で女性を募集してメイドの仕事を手伝いながら有事には戦うことのできる騎士隊として育てた、その隊長がカレンだ。

 

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