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そして悪女の被害者令嬢はいなくなった ~歌劇「悪女」ができるまで~  作者: 粟飯原勘一
第2章 帝国編 ~テイト・シャンティ・ランデブー~
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6.マチルダ① ~カトリーヌ・ベネディクトの侍女~

さて第2章スタートです。

まずはカトリーヌの忠実な侍女・マチルダ視点から。

 

 カトリーヌ様は聡明で美しい方だった。

 それを伯爵である父は理解しなかった。

 

 ベネディクト伯爵家一家の悲劇から時間を戻し、領地視察に行くといって家を後にしたカトリーヌ様はどこに行ったかというと。

 乗合馬車を乗り継ぎ、カトリーヌ様と私・侍女のマチルダはベネディクト伯爵領に向かう際に乗る、レゼド侯爵家の最寄りの馬車停留所にたどり着いた。

 装いは普段の伯爵令嬢のようなものではなく、裕福な平民のような装いである。

 というのも、ベネディクト伯爵家にはもう戻る気もなかったのでカトリーヌ様が貴族令嬢だと思われないような装いにしていた。

「…カトリーヌ様、いらっしゃいませ」

 いつものようにレゼド侯爵家の門衛さんにそう声をかけられ、笑顔で会釈して中に入る。

「おや、カトリーヌ様。

 いらっしゃいませ…旦那様を読んでまいりますのでこちらで」

「ありがとう、ダグラスさん」

 応対してくれたのは私とも顔見知りの執事、ダグラスさんで、エントランスの隣にある応接室にいつも通り案内された。

「カトリーヌ! よく来たな!

 マチルダも久しいな!」

「お祖父さま、ええ、ごきげんよう」

「侯爵様、ご無沙汰しております」

 カトリーヌ様に続いて私も頭を下げる。

 

 そして今回カトリーヌ様がここを訪れた理由をカトリーヌ様が侯爵様に説明した。

「…なんと…」

 言葉を失ったレゼド侯爵様はそのまま座っていたソファーの後ろによりかかる。

「…ええ、なので、しばらくベネディクト家(あのいえ)に戻らず、仕事でも探そうかと思いまして。

 その道中、そういえば、とお祖父様が別荘の管理人をお探しだったと思い出しまして」

「確かにそれは探しているが…カトリーヌに別荘の掃除などさせられん…うーむ…。

 …そうか…あの家と縁を切るなら…」

 レゼド侯爵は頭を抱えてぶつぶつ言いだした。

 そしてやがて何かに気づいたように顔を上げる。

「…カトリーヌ。

 今回もしばらくここにいるんだろう?」

「…そうですわね。

 この後行方をくらますつもりですので…」

「…だったら明日、少し話そう。

 私はこれから少し出てくる…客間を準備させるからくつろいでいてくれ」

 そういってレゼド侯爵様は専属の馭者さんに声をかけてどこかへ出かけていきました。

 

 レゼド侯爵様が屋敷へ戻られたのはそれから数時間後。

 後々聞いてみれば、ここから馬車を飛ばしても二時間ほどかかるベネディクト伯爵領迄行って戻ってきたそうです。

 レゼド侯爵領とは隣接していて、一日二本、乗合馬車が出るような近場ではありますが、日帰りというのはレゼド侯爵様のお年を考えると結構大変そうで…事実、帰ってきてからは少しお疲れのようです。

「やぁ!カトリーヌ! 久しぶりだね!

 マチルダも会いたかったよ!」

「タフィ? なんでここに?」

 そんなレゼド侯爵様が戻られたときに一緒に馬車から出てきたのが、ベネディクト伯爵領の代官・先代ミスト男爵の補佐としてカトリーヌも選抜にかかわった、代官補佐官のタフィリアであった。

「…カトリーヌ、いいか、君の今後について儂から一つ提案がある」

「お祖父様…なんですか改まって…」

 思いつめたような侯爵様の様子にカトリーヌ様も慌てたような顔をする。

 

「カトリーヌ・ベネディクトには死んでもらいたい」

 

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