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愛犬を愛しすぎたら、人間になって愛を伝えに来ました  作者: 鳶雫
一章 僕が変人ですか…?
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(4)

 あれ、そういえばタケノコっていいんだっけ?ポケットからスマホを取り出して調べる。あぁ…あんまり良くないかも?!急に体調を壊す要因には成りえないし…一応様子見かな?

 「タケノコって駄目だったらしい」

 「え?そうなの?」

 「中毒とかはないけど…消化があんまり出来ないみたい?」

 「あら…様子見ね」

 「?」

 ひまわりは食べることに夢中だった。これでおなかを壊さないのであれば…なんでも食べて大丈夫だろう。一応人間?だし…。というか、消化とかどうなってるんだろ?体は…おっと。これ以上は思い出したらいけない記憶だ。

 「ごちそうさまでした」

 一息ついて席を立ちあがると、ひまわりが既に見当たらなかった。どこに行った?きょろきょろあたりを見回す。扉が開いてる…リビングから出たのかな?歩いて向かうと玄関の方から「なん…?!誰?!」という声が聞こえた。ああ…父さんが帰ってきた…。

 「寄人…この子はどちら様?友達かな?」

 「う~んと、なんて説明すればいいのかな?」

 「ひまわりだよ、パパ!」

 父さんは目を見開いたまま動かなくなってしまった。そりゃそうだ…死んだはずの犬が人間になるだなんて現実に起こるはずがないもんな…。父さんは数分そのまま動かなかったが、急に動き出してひまわりの頭を撫でる。

 「そうか、ひまわりなのか!良い子にしてたか?」

 「うん!」

 「え、飲み込み早すぎない?!」

 「そうか~?まあ、こういう事もあるんじゃないか?」

 「ないない!聞いたことないでしょ?」

 「それもそうだな!」

 父さんは笑い飛ばしてそのままひまわりを連れてリビングに入っていく。え、これって僕がおかしいのか?いやいや、え?人生経験の差なのかな。犬が人間になる人生経験が何度もあってたまるか!

 とりあえず…風呂にでも入ろう。一回考えをリセットしないと…。脱衣所に向かい服を脱いで湯舟に浸かる。はぁ…身に染みるな。でも…これからどうするべきなんだろう。母さんと父さんは受け入れているけど…このまま家族が一人増える、よね。一人で考えててもどうにもならないか。

 体と頭を洗ってゆっくりしていたら、風呂場の扉が勢いよく開かれる。何事だ?え、ひまわり?人間の姿で一緒にお風呂は流石にダメだって!僕は咄嗟に後ろを向いて見えないようにした。

 「え、ちょっと?!」

 「寄人、ひまわりも一緒に入りたかったのに!」

 「う、うん…今は犬じゃないから…」

 「なんで?だめなの?」

 「う~ん…どうなの?」

 元は犬だから大丈夫なんだけど…今は人間の姿をしているし、こっちの気分的に何か悪いことをしている気がしてしまうから。ちょっと追い詰められてるよ…。

 「寄人?元気ない?」

 「いや、元気だから!大丈夫!」

 「そう?こっち向いてよ!」

 ひまわりが回り込んで来ようとする。必死に回避して、そのまま風呂を後にした。母さんはどこだ…母さんに任せよう。

 「母さん、ひまわりの事任せていい?」

 「あら、ひまわりちゃんが二人で入りたいって言ったのに?」

 「いや…女の子の姿していると流石に…」

 「そんな、昔から兄妹みたいなものじゃない?」

 「え、こんな年まで一緒に風呂入るの?」

 流石に聞いたことない…年齢が離れていれば入るかもしれないけど、近しい年齢の兄妹とかなら流石に一緒には入らないよな…。ひまわりは見た所一緒ぐらいの年齢に見えるし…。父さんは凄い笑っていた。もう、酒飲んでるのか。

 「寄人よ、男になったな」

 「何?」

 「いや、なんでも?」

 「意識しちゃうでしょ、流石に。」

 「それもそうかな?」

 うん、分からん。父さんの事を理解できた事は一度もない。ずっと一緒に居るのに、理解できない。う~ん…でも、風呂ぐらい一緒に入ってあげた方がよかったのかな?駄目だ…悲しい顔をしているひまわりを思い浮かべちゃうな…。

 ひまわりが風呂から出てくる。僕の心配は全く無意味だったみたい。ひまわりは満面の笑みで嬉しそうにしていたから。はぁ…大変だ。子犬だった時よりは全然…か。人間の言葉を喋ってくれるし。

 トイレのトレーニングも出来てないから、そこら中にしちゃうし。いろんな物を齧っちゃうし、拾って来て食べちゃうし、いたずらしちゃうし…。懐かしいな…。

 「僕はもう寝るよ」

 「え?ひまわりはどうするんだ?」

 「あ…そうか、どうしよう?」

 「寄人と一緒に寝る!」

 「うわぁぁぁ!」

 いつの間に隣に…。怖いって!すり足で移動してるのか?犬って足上げて動くような…?あ!爪が引っかかる音がしないのか!なるほど…!って、感心している場合じゃない!

 僕の奇声で母さんがこっちに来る。ごめん、そういうつもりじゃなかったんだ。ただ驚いただけ。母さんは不思議そうにしていた。

 「何があったの?」

 「僕が驚いただけ」

 「そう…それで一緒に寝てあげるの?」

 「う…」

 ひまわりが横できらきらした目で見つめてくる。断りづらいじゃないか、そんなの。一緒の布団で寝るわけじゃないし…まあ、それぐらいならいいか。

 「う」「寝る~!」

 おい…僕に決定権があるわけじゃないのか。しかも声遮ってくるし…勢い良すぎて可愛いな…って違う違う!そういう意図はないから!本当にない、と言えるだろうか…。なんでこんな事を葛藤しなきゃいけないんだ!

 「じゃあ、布団敷いてあげるわね!」

 「うん!」

 「ひまわり、先に上に上がってて?僕の部屋分かるでしょ?」

 「分かった!」

 素早い動きで瞬く間に居なくなった。一応、確認だけはしとかなきゃいけないだろう。僕が家の中にひまわりを入れてしまったから。

 「ねえ、良かったの?」

 「何がだ?」「どういう事?」

 「ひまわりは今後ずっといるかもしれないけど」

 「う~ん?いいんじゃないかしら?ねぇ、パパ?」

 「大丈夫だろ、会社リストラされない限りはな!」

 「ははは…」

 怖いことをサラッと…でも、寛大な両親で良かった。心の底からそう思う。受け入れなかったら…あのままひまわりはどうなっていたか分からないから。

 「ありがとう、おやすみ」

 僕はリビングを出て階段を上る。自分の部屋の扉を開けると、ひまわりは僕の布団の上で寝ていた。ああ、昔と変わらないな。一緒にずっと寝てたもんね。僕はひまわりの隣に行って目を瞑った。


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