(5)
そろそろ帰る時間か。あと一つぐらいは乗り物に乗れそうなんだけど…何がいいかな?ひまわりが乗ってて楽しそうなやつって…なんだろう?
「あれはなに?」
「あれって何?」
ひまわりの指さした方向を見る。観覧車か!印象的には夜景を見るのが綺麗ぐらいしか思いつかないけど…高いところとか好きそうだし、行ってみようか。
「観覧車だよ、乗る?」
「楽しい?」
「楽しい…かな?どっちかって言うと…綺麗かな?」
「のってみよ!」
「じゃあ、行こうか」
観覧車はやけに空いていた。不安定な足場を二人で乗り越えて、そのまま観覧車に乗り込む。
「ぐらぐらする!怖い…」
「大丈夫だよ?前を見てて?」
「わかった…」
うん、前を見ててとは言ったけど…僕の顔を見てほしかった訳じゃ無いよ?僕はひまわりから視線を外す。
観覧車の窓から見える景色は綺麗だった。夕日に照らされて、何から何まで、小さくなっていて自分自身が大きくなったような感覚になる。夜じゃなくても…綺麗だと思えるんだ。
「わぁ!すごい!!」
「すごいでしょ?」
「うん!きれい!」
「今日は楽しかった?」
「うん!すっごく楽しかった!」
「また来ようね」
ひまわりは僕の手を放して外を見ている。その横顔は夕日に照らされて、景色と同じぐらい綺麗だった。
観覧車はすぐに終了して、二人で降りる。ひまわりは目に見えて分かる程、気分が上がっていた。
「よし、帰ろうか」
「帰る!」
ひまわりが楽しそうな顔でこっちを見ている。僕まで気分が上がってくる。嬉しいな…こんなに楽しんでくれるなんて。父さんに一応感謝しないとだ。
電車に揺られて二人で帰る。二人で並んで座っていたら、ひまわりはうつらうつらしていた。きっとはしゃぎすぎて疲れたんだろうな…なんて考えていた。
「ここは…何処だ?」
「う~ん?わかんない!」
「そうだよね…?」
いつの間にやら僕も寝ていたようで、起きた時には知らない駅の名前をアナウンスしていた。
なんでだ…いい感じで締まったと思ったのに。すっかり真っ暗だし、どうしようかな?とりあえず、母さんに電話しておこう。
「母さんが迎えに来てくれるって」
「ほんと?!良かった!」
本当に良かった。まだ19時ぐらいだったし…遅い時間じゃなくて助かった。というか…どんだけ乗り過ごしちゃったんだ?
スマホで距離を確認すると、30km程最寄り駅から離れていた。歩いて帰れる距離でもないか。




