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愛犬を愛しすぎたら、人間になって愛を伝えに来ました  作者: 鳶雫
三章 きっと…この気持ちがそうなんだ
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(2)

リリイと遊んでいると、父さんが帰ってくる。リリイとひまわりは飛んで行って「お帰り!」と挨拶をしている。父さんの「よしよし」という声と共にリビングに入ってくる。

 「リリイの主人が見つかったよ」

 「本当か!複雑な気持ちだ~…。」

 誰からしてもそうなんだけど…帰ってきたときに「お帰り!」って飛んでくるのは可愛くて仕方ないんだろうな。僕だって寂しい。

 「主人は誰だったんだ?身近な人だったんだろう?」

 「そうだね、クラスメイトだったよ」

 「いつリリイは帰っちゃうんだ?」

 「明日かな」

 「早いよ~…」

 膝の上にリリイを乗せて撫でながら肩を落とす。僕以外は皆、犬が好きじゃないと思っていた。でも、違うんだ。ひまわりが死んだあの日、皆悲しんでいたんだな。涙を流していないから悲しんでいないわけじゃないんだ。

 「そういえば、帰りに服を買ったんだ」

 「え?誰の?」

 「リリイの」

 「わんわん!!」

 「おお、そうかそうか!」

 おい…僕が買ったやつ…どうすんだよ!!明日届くから早く寝て待ってようと思ってたのに…。でも、大丈夫か。お別れ会だし、いっぱいあった方がいいだろう。

 「どうだ、これ!」

 「それ…買ってきたの?」

 「ダメか?」

 ピンクのひらひらのついたワンピースっぽい派手に可愛い洋服。きっとニコニコしながら買ってきたんだろうな…ちょっと変質者っぽくないか?

 「リリイ、着れるか~?」

 「わんわん!」

 「ほら可愛い!」

 反面教師で冷静になれる…いやね、確かに可愛いけど。猫可愛がりって怖いな。正気を失っているように見える…。まさか!僕もこんな感じだったのか…!僕は母さんをすごい勢いで見る。母さんは頷いていた。

 ショックだ…どっちにしろ寝ようと思っていたし…寝よ。明日クラスメイトに会う時、どんな顔して会えばいいんだよ…。

 「ひまわり…寝よう」

 「うん!わかった!」

 「おやすみ」

 一声かけてひまわりと一緒に自室に戻った。父さんは未だにリリイに夢中だった。

 翌朝、散歩に行って朝食を食べてる時に、荷物が届いた。すごい早かったな…荷物を開封してリリイに着せてあげる。サイズはぴったりだった。

 リリイとひまわりとなんだかんだ過ごしていたら、太鼓の音が響きだす。犬って…大きい音がするとダメだったよな?少し大きめの神社だから…そこまで大きい音ではないだろうし、大丈夫だろう。リリイを抱きかかえて、ひまわりと一緒に家を出た。

 近所の神社は徒歩十分ぐらい。歩いている最中に連絡をする。リリイの主人の方はもう着いているらしい。車か何かで来たんだろうな。

 「どう?太鼓の音がすごいでしょ?」

 「たいこ?」

 「どんどん!って音しない?」

 「する!」

 「それが太鼓だよ」

 「おぉ!」

 どんな反応?!あんまり興味ないかな?音を聞くだけでも結構楽しいと思っていたんだけど…僕だけなのかな?

 神社の入り口に着いてあたりを見回す。そういえば…顔を知らないような…。どんな人が主人なんだろうか?賢い人なのかな。そんなことを考えていると、声を掛けられた。

 「麻木さんですか?」

 「そうです、リリイのご主人の…?」

 「そうです!」

 「わんわんわん!!」

 「あってるって!」

 「え?どうして?」

 「なんでもないんです!」

 ひまわり!余計な事言わないで!皆が知ってるわけじゃないんだから!僕らだけの認識だよ!

 「リリイと…この服をどうぞ」

 「え、いいんですか?!」

 「いいんです、家にあった物を気に入ったみたいなので!」

 「ありがとうございます!いくら支払えば…」

 「いえいえ、生きていただけで良かったので…では!」

 ひまわりを引っ張ってその場を去る。入口から少し遠ざかったところで一度二人で落ち着く。

 「ひまわり?全員が全員、犬とは喋れないんだよ?」

 「そうなの?」

 「そう、だから能力は秘密にしてね」

 「わかった!」

 ばれてもいいけど…面倒なことになりかねないし…面倒ごとに巻き込まれるのは嫌だからね…。

「じゃあ、お祭りを見て回ろうか」

 「うん!いこ!」

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