(6)
リリイとお風呂に入る。ひまわりも一緒に入ってこようとするけど、それだけは止めた。だってさ…服も脱ごうとするんだ。何か不服そうな顔をしていたけど…まぁ、仕様がない。
風呂から上がるとひまわりの姿が見えない。多分…風呂に入れ違いで入ったのかな?
「母さん、ひまわりは?」
「拗ねながら風呂に入りに行ったわよ?何かしたの?」
「何もしてないけど…」
何をそんなに不満に思っているんだろう。別に拒絶しているわけではないのにな…。水着とか着てくれるなら…一緒に入ってもいいかもね。
ひまわりは風呂から上がっても不服そうな顔をしている。口を尖らせて、頬を膨らませている。そんな絵にかいたような拗ね方する?!
「ひまわり?前にも言ったよね?」
「リリイと入った…」
「え?」
「リリイはメスだよ?」
拗ねてるというか…嫉妬してるのか。ひまわりは人間の姿をしているから、一緒に入れないのであって…?あれ?違うな…なんだこの気持ち。別に人間の姿をしていたって、気にしなければ…?うん?良くわからない。
「ごめん…僕も良く分からないや」
「くぅーん」
「こい?こいって何?」
「わんわん!」
「れんあい?寄人!れんあいって何?」
恋愛…?え、僕はひまわりの事を好きって事?いやいやいや、え?だって、元愛犬だよ?それが人間になったからって…。どこに行くのも、何をするのも一緒にしていただけだから。
「恋愛って、好きな人同士がずっと一緒に居る事…かな?」
「じゃあ、寄人とひまわりの事だ!」
「わん!」
うん?でも、そうとも言えるけど…。なんだ、この言葉にできない気持ちは。こうやって言われて、僕は喜んでいるんだ。でも、素直に喜べない。
「もし、そうだとしても、風呂には入れないからね?」
「む~。難しいよ!」
恋に対する好き、家族に対する好き…何が違うんだろう。恋をしたことがない僕にはわからない。
「僕もうまく説明できないけど」
頭を抱えている僕を見て、ひまわりも頭を抱える。さらにリリイまで何故か頭を抱える。何だこの状況…。このカオスな状況を誰か打破してくれ…。
ご飯を食べて自室で一息吐く。恋とか愛とか…難しすぎる。僕にとっては無縁だと思っていたし。こんな状況が訪れるとは思っても見なかった。
「はぁ…。」
ひまわりは僕にどうさせたいのか。僕があまりにも悲しんでいたから目の前に現れた、そう思っていた。けれど、今は普通に人間としての生活を楽しんでいるように見える。それはそれで嬉しいんだけど…。
「恋…ね。」
僕の知識があまりに浅いから…でも、否定したいんだと思う。家族に恋をすることはいけない事という認識があまりに強いから。それと、元犬だし。
「ダメだ…やめよう」
考えれば考えるだけ無駄か。別にそういう経験があるわけでもないし。こんな経験人生で何度もない。何度もあってたまるか!!何度もないなら…今はいいのかな?今だけは…。




