過去は物質に結実し未来は他者の自由意志の存在を確信する事により生じる論証
過去が人間の内面に由来し、人間は感覚を通じて他者をアプリオリに精神のある者としては見ず、人間は内界と外界を隔てる境界の少し内側で初めて現在を生きる。人間は物質から成る諸機関から構成され、全身の境界の内側に更に器官ごとの境界を抱え、無限に分割した最果ては有機物となり分子となり原子となり電子、素粒子、あるいはひも。その成り立ちは本質的に物質であり、アプリオリとして人間は人間を自然現象と区別しない。アポステリオリに内面に蓄積する記憶という生理現象と欲求というどんな原始的動物でも所持する単純な行動原理を積み重ね、ただ数の莫大さによって複雑化しているに過ぎない。ところで、人間一人は過去と現在までしか所持しない。全く一人の部屋の中で生涯を過ごせと命じて閉じ込めては、自身の過去と現在に区別が付けられなくなり、いずれ意思の無い肉体になるであろう。未来はその者に何も与えない。これは自然のある無人島の中に置き去りにしても同じ事である。自然は四方天地を建材で囲まれた部屋の中と違い一年を通じて振る舞いが変遷するが、しかし二年目以降は過去の事象の繰り返しである。日差しが弱い強い訪れる嵐の多寡はあろうが、無人島での生活に慣れて過ごす内、自然がもたらす未来は過去の記憶から懸け離れず、星辰日月も雲も観察によって日常の振る舞いを教える用具に過ぎなくなる。これは部屋に押し込められた者が食事を持ってくるだけの口も利かない相手に何の変化の期待もしないのと同じように、未来を物言わぬ用具として扱うのと同じで、結局に未来は無い。だが、他者が訪れればどうであろう。他者はまた己の現在と過去しか持たない。その者もまた一人では未来を持たない。一方の部屋の中にいる者は、訪れる者が部屋の扉を開けるまでは、その訪問を知らない。人間は優れて複雑な機械ではあるが、全身を自ら所有し権力を持つがゆえに、何も予想外の事は無い。自らの欲求を把握し、腹がすけば食べ、体が痒ければ掻き、眠りたければ眠る。この欲求もすでに所有されているがゆえに、時間の観念は生じても未来についての考えは及ばない。何も知らされず部屋を訪れる者もまた、部屋の中に何があるのかを知らない。建物に通されてただ道筋を辿って先にある扉を開けて立ち入れと命じられた時、従う者は未来を他者に決定づけられやはり未来を用具とする。建物の中を歩き扉を開けた瞬間に、己の過去を所有しはするが他方の過去を所有しない二人がそれぞれ遭遇する事になる。部屋を訪れる者が扉に近づく時、部屋の中の者は何もかもが予期される時間の臼に挽かれ続けている。部屋の中の者がただ無為だけを友にまどろんでいる時、部屋を訪れる者は歩みの為に時間を費やすが扉に辿り着くまでの行程は予期されていて、思考を用いてまで関心を払う必要が無い。ところが扉を開けた瞬間、部屋の中と外でそれぞれ未知の認知が生じる。両者は互いに未来を持たないが、予期しない遭遇にそれぞれ驚き、驚く他者を見て互いが相手を予期していなかったと悟る。この驚きと悟りの流れは、過去の経験に由来せず生じたアプリオリな観念の連合である。この連合はしかも、互いを知らない二人の遭遇に端を発して完了するまで遂に二人の同時の認知に根拠を持つ。これが未来の在り方であり、時間を時間たらしめる根拠となる。ここに、過去は一人より由来するが同時に他者の存在からして未来そのものである。この可能性を常に成立させるのが一人の存在の境界に存在する現在である。対話が先立たず全く何も意思を読み取らなくても、それぞれは自由意志により全くの沈黙の後に別れるかそれ以外を選択する事になる。先に人間は肉体の全体から個別に向かって全くの最小に至るまで物質でありどこまで行っても過去であると述べたが、一方全くの最小から肉体の全体に逆行する流れは自ら発して他者と止揚して生じる未来との根源である。部屋の中にあったのが石ならば、訪れる者はただ石を見つけて関心を向けるが、石は訪れた者に関心を向けない。訪れる者が石に興味を持って期待を寄せても、石の中には最小と最大を区別する器官は無い。石が一方的に未来を与えられるばかりで、石を見る者が未来の反射を浴びる事は無い。人間は他者との相互の関係から由来する所より未来を与えられ、これは相互という片務と片務の交換とは区別される、それぞれが独立した存在である所に生じる止揚が時間経過の中で現象化したのであり、この止揚は時間経過の中で動的に在り方を変遷していく。二人が三人、五人、百人と規模を変えるにつれ振舞いは全く違う物になるが、それでも同じ現象である。ここに過去が未来である現在という場において同じ現象であり、ただ現在だけがあるという論と過去と未来が同じ現象の表と裏である論とが矛盾せず一つの論にまとめられる事を以て、時間の本質と結論するに至る。20220603.0013.20221208.1146
雑ぅ。後にこれを推敲して全体をまとめ上げて整合性を吟味する作業があるのか。つらい_(:3」∠)_20220603.0012
無人島の下りを追加、対話が無く分かれても自由意志の存在を論証する下りを追加。20221208.1148