表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小品

リタとサラとリヒトー

作者: 星野☆明美

リタは小柄で可愛い女の子だ。男どもの秋波にさらされて、ちょこちょこちょっかいを出される。その度いつも私がそばでリタを守っている。

「ちょっと、サラ。あんまり過保護すぎるんじゃないか?」

「いいの。ほっといて」

「恋愛は誰でも自由だと俺は思うんだがなぁ」

「うっさい」

「人のことより、自分の心配しろよ」

「なんで?」

「男女なんて言われて嫌だろう?」

「だって」

私は背が高くてガタイがいいから、せめてお姫様を守る騎士になりたいのよ。

リヒトーは首をふりふり、私に意見するのをやめて、バスケ部の練習に戻った。

「サラ!」

またしつこいのに絡まれながらリタが逃げてきた。

「しっしっ」

「なんだよ、やる気か?」

「およびでないの。リタが嫌がることしないで?」

「嫌がってないよなー、リタちゃん!」

「あの、嫌、です」

「なんだよー」

ぶうぶう言いながら男の子がはけていった。

「そんな風にいつもちゃんと自分の気持ち言えばいいのに」

「サラがいてくんなきゃ言えない!」

「なんで?」

「わかんない」

「こいつー」

こちょこちょ。きゃはははは。

多分、私たち、お互いに依存している。

「サラ、リタ、帰ろうか?」

リヒトーが着替えてやってきた。

暗い道を女の子だけで帰ると物騒だから、ってリヒトーがいつもついてきてくれている。

リヒトーはリタには紳士的だから、安心。

「リタはサラに邪魔されて恋愛できないんじゃないの?」

「むう」

リヒトーったら余計なことを。

「いいえ、いつも助かってます」

「ふむ」

そうよね、そうだよね。

「むしろ、私の方がサラの恋愛邪魔してそうで……」

「そんなことないよ!」と即座に私は叫ぶ。

「いや、そんなことあるんだよなこれが」

「えっ?」

どういう意味?

「そうですよね、私ダメだなぁ」

なんでリタがそう言うの?


翌日、リタが私に、リヒトーのことが好きだと告白した。

私は……。

リタとリヒトーに幸せになって欲しい。

あれ?

ぼろぼろ涙が出てくる。なんで?

「やっぱり。サラはリヒトーが好きなのね」

「ちが、」

「違わない」

リタが私の両頬を手で包み込み、下から見上げるようにして言った。

「宣戦布告!どっちが勝っても恨みっこなし!」

強い口調で、ビシッと。

気高い騎士だった私はへろへろになって、心ここにあらず、となった。

3人で帰る時気まずくて気まずくて。

「どうした?」

「私がリヒトーが好きって言ったら、サラの様子がおかしくなった」

「なんじゃそら」

「私、リヒトーも好きだけど、サラも大好き!」

リタが私の手を握った。

「俺だって二人とも好きだぞ」

「そんなんあり?!」

カバンをリヒトーが取り上げて、空いた方の手を握った。3人で手を繋いで歩いて帰る。

「私ら、小学生かあああああああ!」

私の叫びが虚しくこだました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ