オオカミのいる村
人の気持ちを考える大切さを伝えたい。
大きな目はギラギラしていて
大きな鼻はフンフンいって
大きな耳は悪魔のようで
大きな口は耳まで裂けて
大きな手はシャベルみたいで
大きな足はまるで怪獣
動物たちが暮らす村
嫌われ者の狼
とっても怖い狼
たった一人の肉食獣
郵便屋さんのヤギさんも
魚屋さんのペンギンも
大工さんのキツツキも
みんな狼を怖がります
みんな狼を無視します
村長さんちの豚の子は
ころころまあるい豚の子は
山で狼に会いました
けれども
だけども
無視します
なぜって?
見た目が怖いから
なぜって?
みんながそう言うから
豚の子供は言いましたお前なんか大嫌い
豚の子供は遊びます
山の中を走ります
はしって転げてぐるぐる回って
崖から落ちてしまいます
豚の子供は夢を見る
狼になる夢を見る
嫌われ者の狼は
とっても怖い狼は
とっても悲しかったのです
いつもいつでも独りだけ
山のはずれに住んでいる
豚の子供は聞きましたお前なんか大嫌い
目の前にいるのは自分でした
豚の子供は目が覚めた
崖から落ちた豚の子は
落ちてしまった豚の子は
オオカミさんに抱えられていました
大きな目は遠くまで見えて
大きな鼻はどんな匂いも見逃さず
大きな耳は助けの声を聞き逃さず
大きな口は人を呼び
大きな手は暖かく
大きな足はとっても速かったのです
小さな子ブタは助かりました
とっても小さなブタの子は
オオカミさんにあやまりました
あなたのことを知らないのに
嫌いと言ってごめんなさい
ほんとはとても優しいのに
怖いと言ってごめんなさい
子ブタが大人になったころ
村には一匹、オオカミのお巡りさんがいました。
〈end〉
もともとは絵本を作るならどういう話がいいかということで考えた話です。子供が読んでわかりやすいようにと考えましたが、ちょっと不安です。