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16話:オーガフルボッコ

 前回のあらすじ。

 オーがの根城でウィリアムとぽちが大暴れを開始した。

 目に見えてハイ・オーガたちは尻込みしていた。数の差で圧倒するはずが、2人は反則的な強さでモノともしない。

 勝ち目のない戦いだと、魔物でも悟るほどの戦力差。

 更にハイ・オーガたちに追い打ちを加える出来事が起きた。



「『フレイム・ピラー』!」



 部屋の出入り口付近で固まっていたハイ・オーガたちがまとめて火中へ消えていった。



「はは、きやがったな!」



 彼は見慣れた2人組が人工聖霊と大盾を携えて乱入してきたことに歯を見せて笑う。



「エポック、私が盾となる。高火力でこいつらを無効化するんだ! ウィリアムたちには当てるなよ!」

「任せてくださいッス! あたしの人工聖霊ちゃんの火力はウィリアムさんにも引けを取らないんッスよ! 『スフィア・ノヴァ』!」



 人工聖霊から放たれた火球がハイ・オーガは3匹まとめて飲み込んだ。

 部屋を覆い尽くすほどハイ・オーガの集団はエポックの操る人工聖霊の前に見る見るうちに減らしていった。

 ぽちの方も弓矢持ちをほぼ殲滅し、広場に出てこない残党を各部屋を回りながら倒して戦いは終わった。



「よくここがわかったな」



 剣についた血を払いとりながらウィリアムがパトリシアとエポックの2人の声をかけた。



「そこまで遠い場所ではないと思っていたからな」

「ウィリアムさんのことだから騒がしい方に行けばいるかなぁって、パトリシアさんと話してたら、その通りになったッス」



 ぽちが壁の通路から軽快に飛び降り、パーティメンバー全員が再集合することが叶った。



「さて、4人無事だったしもちろん上を目指すだろ?」



 パトリシアの質問にウィリアムは首肯する。



「ああ、何はともあれってやつだ」



 彼はハイ・オーガの死骸が散乱している広場から階段を上ろうと足を踏み出し、



「あ、忘れてた」



 ウィリアムが唐突に足を止め、振り返る。

 パトリシアとエポックは首を傾げた。



「おい、ぽち」



 視線を飛ばすとぽちは2人の前で頭を下げ、彼女らには背の低い彼女の後頭部が見える。



「ぽちはご主人様の指示を無視してお2人と逸れて迷惑をかけました。ごめんなさい」

「なんだ、そういうことか」

「気にしてないでッスよ。だってぽちちゃん、ウィリアムさんのこと大好きでスもんね」

「はい。ぽちはご主人様のことが大好きなのです」



 どこか誇らしげに肯定するぽちだった。

 ウィリアムはあまりにもあっさり許す2人に眉間にしわを寄せながら、渋い顔をする。



「いいのかそれで……」

「まあ、今回のウィリアムの指示は私も問題があったと思うぞ」



 パトリシアがぽちの肩に手を置いて、彼女を擁護する姿勢を見せた。



「あん?」



 ウィリアムは彼女の言葉に首を傾げる。



「私は誰も欠けずに古代遺跡から出たいと思っている。



 リーダーの指示だから、あの場は従ったができればこの件について1度話したいと思っていたところだ」



「俺が前の奴を優先してフォローしろって命令したこと言ってるのか?」

「そうだ。現に今回、ぽちがウィリアムの元に行かなければお前は1人なっていた。

 いくらウィリアムが強くとも古代遺跡での単独行動は無謀だと思うし、他の3人を生かすために1人を切り捨てる方針は避けたい」

「時には1人を見捨てることになっても、残った連中は何が何でも生き残った方がいい。でないと全滅だ。これは例え俺が見捨てられる1人でも変わらない」

「ウィリアムの言い分もわかる。だから、折衷案だ。

 予めペアを決めて、緊急時やどうしても分断せざる負えない時に一緒に行動する取り決めをするべきだと思う。これはエポックとも話していた。」

 ウィリアムがエポックに視線を向けると彼女は頷いてパトリシアの話に同意していることを示す。

「もしも、全滅の危険性があるのならウィリアムの案を採用する。私のために皆が死んでしまう、と考えたら死んでも死にきれないからな」

「……ぽちは誰にも死んでほしくありません。大好きなご主人様はもちろんですが、パトリシアさんもエポックさんもぽちが奴隷でも優しくしてくれました。ぽちはみんなが生き残る方法がいいです」



 弱々しくも、ぽちは明確に自分の意見を言う。



「つまり、この話に関しては1対3か」

「そうだ、みんなで生き残りたいと、みんなが思っているんだ」

「……わかった。負けだ」



 両手を上げ、負けたと体を使って表現する。



「ペアは俺とぽち、パトリシアとエポックが基本的な組み合わせだ。それでいいな?」



 3人は頷いた。その顔に不満は一切ない。誰もが納得した表情をしていた。



「話がついたとこで上に行くぞ。ぽち、斥候として先行しろ」

「はい」



 いつもよりも少しだけ、足取りの軽いぽちが上の階へとしなやかに踏み出した。

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