第17話 動き始めた世界
またストーリーがひっくり返りました…
まあ、ノリと勢いは保ったまま頑張ります!
秦「今回は流石にあからさま過ぎたかな…。ま、いっか」
とてつもないエネルギーが放たれ、残ったものは一直線に抉られた地面だけだった。
「やった、のか…」
フラグだとかそんな事は考える余地もなくそう言った。力無く地面に倒れ込み、深呼吸して呼吸を落ち着かせる。
「はぁ…はぁ……すー…はぁ〜…」
(何とか、落ち着いて来たか…)
とにかく危機は去った。
「今はもう、それだけで十分だ…」
〜クレイ・レイグレイ〜
信じられない光景だ。自分の子供たちが、こんなにも強くなっているなんて、全く知らなかった。
「そうだ、今はそれどころじゃなかった!」
急いでシャノとクレルの元に駆け寄る。
「二人とも大丈夫か?」
「うん…私は、大…丈夫…」
完全に魔力切れみたいだ。
「魔晶石あるけど使うか?」
と言って魔晶石をシャノに渡す。
「うん…ありがと」
(よし、これでシャノは大丈夫か)
クレルも倒れてはいるが、ちゃんと息もしているので、大丈夫だろう。
「ふ〜…これで一件落着。か〜」
「クライヤ!」
「イギリシア!」
遠くから親友が走って来た。
「どうなってるんだ?あの魔法!あんな量の魔力を一体どうやったら制御出来るって言うんだ!?」
「そうだよな。そうなるよな…」
「いや、言えないなら無理に言わなくていいんだが」
「そうじゃないんだ。俺にも分からないんだよ」
「ああ、シャノリアちゃんか。そりゃあ…」
「違うんだ」
「え?違うってどういう事だ?」
「アレをやったのはクレルだ」
「クレル…?でもあの子は確か7年前に」
「生きてたんだよ。しかも、真祖として」
(言おうかどうか迷ったが、イギリシアなら大丈夫だろう)
「真祖!?あの吸血鬼の?」
「そうだ」
「何処にいる!?」
「ほら、そこにシャノと一緒にいるだろ」
「そうか。あの子が…」
そこでお互いに黙り込んでしまった。
「この事は誰かに言ったのか?」
「いや、誰にも言ってない。だからこの事は内密にしておきたいんだが」
「勿論だ。というかそうしないとヤバいだろ。こんな事がもし周りに知られてみろ。全ての国が全力でこの国に突っ込んで来るぞ」
「分かってる。だからお前に言ったんだよ」
「恥ずかしい事言うなよ…」
そこに一人の男が歩いてきた。
「お取り込み中失礼します。私は王国魔道士団第13中隊長の者ですが、少しお伺いしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」
どうやら、名前を言わないないってスタイルは昔から変わっていないようだ。
「はい。なんでしょうか?」
一応きちんとしておく事にしよう。
「先程の大魔法の発動は、あの魔道具で行ったという事で間違い無いですね?」
「ええ、その通りですが」
「では、国家に対する脅威として、あの魔道具は押収させていただきます」
「何っ!?」
「貴様ッ!どういうつもりだ!?」
「どういうつもり、ですか…我々は当然の事をしただけですよ?」
〜神域〜
真っ白な世界に、金髪の少女が一人でポツンと座っていた。
「【幽々たる者】か〜。今までこんな事無かったのに…なんでいきなりこんな事をし始めたのかな…」
「う〜ん」と、しばらく唸っていたが、不意に顔を上げた。
「もしかして、自我が回復してきてる?だとしたらこの判断にも納得がいく。いやでも、入れ替わってからもうかなり経ったはずなのに、なんでいきなりこんな…」
そこで少女は、一つの結論に至った。
「まさか、今回でようやく介入出来るレベルに達した…?だとしたら今までの分はどの道無駄だったって事!?」
今までに何度も何度も送り出して来たのに、それが全て無意味だった。
「そんなの嫌だよ…酷いよ、こんなの…」
「はぁ…」
そこで大きくため息をついてこう言った。
「今度こそ約束、守るからね。お兄ちゃん」
〜???〜
黒い世界。真っ暗という訳では無いが、光りはどこにも存在しない。その世界には、一人の男がいた。
「まさか世界から外されるとはな…流石にこれは想定外、というかアイツらもいきなりどうしたんだ?ようやく介入出来るようになったからって、何故いつも通り処分しなかったのかね〜…」
「後は外されてるけど、次ちゃんと残れるのかどうかだよね〜…」
(まあ、何事もやってみないと分からない…か)
〜???〜
「これが、今回の調査結果です」
玉座に座る白髪の少女に、一人の男が跪いて書類を渡した。
「うむ」
書類の束を受け取った少女は、それをペラペラとめくっていく。十数枚めくったところで、ピタリとその手が止まった。そこに書かれていたのは、巨大な黒い魔法陣。けれど、その魔法陣の情報はほとんど書かれていない。
「これは?」
「超大規模な儀式魔法だったのですが、発動から数分も経たずに突如消滅しました」
「消滅?これだけ大規模だと魔法の痕跡も残るはずだが…」
「全く残っていませんでした。それどころか、魔力の痕跡すらも一切無く、まるで何も無かったかのように消えていました」
「痕跡すらも残さずに消えた…こんな事は今まで一度も無かったのに…」
「今回は何かが変わるかもしれないと?」
「恐らく、ね」
そしてお互いに黙り込んだ。が、その沈黙は玉座の少女が破った。
「ていうか二人の時はその変な喋り方やめてって言ったじゃん!」
男は少し戸惑った様子だったが、すぐに笑顔でこう返した。
「分かったよ。だからそう怒るなって」
すると少女は満足げに頷いた。
「うんうん。それでいいんだよ」
「お兄ちゃん」
これにて多分第一章終わりです!
多分…
伏線っぽい物をばら撒きまくったので、二章は平和にいきたいですね。
いけるのかな…
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