表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界浪漫の処刑者達  作者: 旗裂 真尋
第一章 万能系陰キャ、異世界に降り立つ
15/24

第15話 幽々たる者

今回はシリアス要素が多くなった気がします。

そうなるとどんどん後始末が大変になる訳で。

そろそろ投稿ペースを元に戻したい…

「よし。使ってくれたか」

 黒い世界の中で、1人の男がそう呟いた。

「これでもう廻す事も無いと思いたいが…」

(まあ、何が起こるか分からないからな)

「用意しとくか…」























 【覇王の棺】が、無理矢理こじ開けられる事で、少しずつその中身が流れ出ていく。

(なるほど…な。このせいで死んだ…のか…)

 強力な魔力の嵐に晒されながらも、脳に大量の情報が送り込まれてくる。増幅された大量の魔力が、自身の身体を通って魔法陣に吸い込まれる。そんな状態で、例え魔力の扱いに優れた吸血鬼と言えど、そう長く持つ訳が無く、既に吐き気と頭痛、それに目眩にも襲われて、地面にうずくまっていた。

(もう少し…もう少しで…)

何も考えられない程の頭痛に、顔を歪める。

(もう少しで…俺の…)

全身のありとあらゆる物を抉り返されるような、今までに感じた事の無い苦痛。

(俺の…本当の記憶が…)

ほんの少しの光に向けて右手を伸ばす。

(もう…少し…なのに…)

必死に歯を食いしばる。

(これ以上は…もう…持たない…!)

鼓動が速まり、脳に響いてくる。

(だ…駄目…だ…)

色んな記憶が蘇る。家族と過ごした暖かい時間。シャノと過ごした楽しい時間。  

(これ以上続けたら…)

 前世とは違う、生きる価値があると思えた日々。毎日が楽しく、明日に希望を持つということを実感できた日々。

(戻れなくなる…!)

 ただ盲目的に生きるのでは無く、自らの意思で、自らの望みの為に、全力を尽くすことの出来る、この世界に。

「なんっ…!」

 顔を上げると、そこには敵が放った視界を埋める程の魔法や、矢が目の前に迫っていた。







〜???〜

『世界に対する虚偽を観測。対象の抹殺を検討』

『対象に【処刑者】を確認。抹殺の中止を提案』

『抹殺の中止を容認』

『代わりに罰を与える事を提案』

『【処刑者】以外の【処刑者達】の剥奪及び幽々たる者(ヒカリナキモノ)の付与を提案』

『各称号の剥奪を及び、称号の付与を容認。

【創造者】【暗殺者】【狙撃者】【賢者】【聖者】の称号を剥奪。

【創造者】の剥奪に失敗。

【創造者】の使用記録をロード…完了。

【称号:幽々たる者(ヒカリナキモノ)】を付与…完了』














 その瞬間、光の壁が現れる。万物を守護する守護者の盾が。盾の向こうでは、幾度となく爆発が起こり、大量の魔法が盾によって防がれている。

「お兄ちゃん!」

 声が聞こえる。

「シャノ!?」

 いつの間にか魔法陣は消え、俺を襲っていた苦痛も消え去っていた。

「大丈夫!?お兄ちゃん!何だか凄く辛そうな顔してたけど…」

「大丈夫だ。今はもうなんともないから」

「本当?本当に大丈夫なの?」

「ああ、本当に大丈夫だ」

「なら良かった」

 シャノはホッとした様子で胸を撫で下ろした。

「こんな可愛い妹に心配をかけさせるなんて、兄貴失格だな」

「そんな事ないもん!お兄ちゃんはいつだって私のお兄ちゃんだもん!」

「ふふっ」

 思わず笑ってしまった。

「なんで笑うの!?」

「いや、怒ってるシャノがあまりにも可愛いかったからつい」

「もー…お兄ちゃんの意地悪」

 顔を膨らませるシャノ。

「ごめんごめん。この埋め合わせはちゃんとするから」

「じゃあ、今度またホットケーキ作って!」

「分かったよ。約束だ」

「えへへー」

 ニッコリと笑顔を浮かべるシャノ。

(本当に可愛い妹だ…)

 優しく頭を撫でながら、シャノに話しかける。

「じゃあ、ちょっと行ってくるよ」

「うん。気を付けてね」

「おい!本当に大丈夫なのか!?」

 走ってきた父さんが話しかけてくる。

「うん。大丈夫。父さんの方こそ大丈夫?」

 普通の人間があれだけの魔力を浴びたらヤバそうだけどな。

「馬鹿言え、俺はこの程度じゃ何ともねえよ」

 と言いつつも、かなりしんどそうだ。

「じゃあ今度こそ行ってくる。シャノはちゃんと家を守っておいてくれよ!」








〜イギリシア・ショウフラン〜

 俺は冒険者ギルドの、ユラアーシ王国セカンワールウォード支部のギルドマスターをしている、イギリシア・ショウフランだ。今は、俺の大親友である、クレイヤ・レイ・グレイの要請を受けて、王国所属騎士団と、同じく王国所属魔道士団数十人と共に、彼の自宅へと急いでいる。先程、彼の自宅の方からとてつもなく強大な魔力が発せられて、セカンワール領の住民や王国所属軍が大騒ぎになっていた所、彼からその影響でスタンピードが起こったとの連絡が入り、すぐさま王国所属軍に協力を依頼して、今まさに彼が作ったという転移用の魔法陣を起動し、現場に到着する所だ。

 魔法陣の魔力に包まれ、思わず目を閉じる。光が止むと、山のここよりもう少し登った辺りで、物凄い儀式魔法が展開され、その魔力がかなり離れたこの場所にもビリビリと伝わって来る。誰がやっているのかは知らないが、とても人間が行えるとは思えない魔力量だ。

「ギルマス…これは、かなり不味いんじゃないですか?」

「あぁ、そうだな」

 王国軍は怖気付いたのか、皆戸惑っている様だ。貴族出身の者の中には泣きながら「俺は行かない!」と、駄々をこねている者もいる。

(これだから温室育ちのガキは嫌いなんだ)

「…どうします?」

「わざわざ聞く必要あるか?」

「ですね」

 と、後輩が苦笑する。

「これよりこの魔力の源へ行く!全員俺に続けー!」

「「「「「ウオォォォォ!!!」」」」」

(本当に、何が起こっているんだ?)


























〜???〜

「処刑者…か」

 広い部屋の最奥にある玉座にいる者が、そう言った。

「調査は如何しましょうか」

「頼む。今はまだ脅威とは言えんが、何をやらかすか分かった物じゃない」

「承知しました」

「くれぐれも、我々の存在を悟らせるなよ」

「仰せのままに」

(さて、何をやってくれるのか…)

「楽しみだ」

次回は多分戦闘になります。遂に戦闘です。一度諦めた戦闘です。今度はもう逃げない!



誤字脱字報告や感想、評価やブックマークもお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ