第11話 処刑
書いている時のノリと勢いでどんどん予定が崩れていく…
これからは週一ぐらいを目指して頑張ります。
自然豊かな緑の森は紅き炎に包まれ、青き大空は漆黒に染まり、山は無残にも崩れ去り、家族と過ごした我が家も、既に……
ということは無く、2年前(俺からすれば数日)と変わりない、至って普通の平和な世界が広がっていた。
「あれ?なんか思ってたより大丈夫そうだな」
「そうみたいだね…」
「……」
「……」
「……」
「あ!お父さんとお母さんは!?」
「あっ!そうだった!」
「でもどこにいるんだろ…」
「とりあえず家を探してみよう」
「うん!」
〜数十分後〜
「いたか?」
「ダメ、こっちにはいなかったよ」
(くそっ…どこにいるんだよ)
「も、もしかして、お父さんとお母さんはもう…」
「そんなことないって!」
(くそっ…本当に何かいい方法は無いのか…)
「あ」
「どうしたの?お兄ちゃん」
(感覚強化忘れてた…)
というわけで【万能感覚超強化】を起動してみると。
「あ、いた」
「えっ!どこ!?」
「こっちだ!」
と、シャノの手を引いて家の外に走って行く。
父さんと母さんの反応があったのは、割とすぐ近くの倉庫だった。
〜数十分後〜
「いや〜まさかクレルが生きていたとはな…」
「本当に…本当に良かったわ…」
父さん達はかなり驚いているようだ。
「父さん達こそ大丈夫だったの?」
「ん?大丈夫っていうのは?」
「いや、異世界からの侵略者が来たみたいだったから」
「異世界から!?」
と、かなりオーバーリアクションの父さん。
「なるほどねぇ〜…だから見たことのない材質だったのね」
何故かすごい落ち着いている母さん。
「で、そいつは今どこに?」
「ん?ああ、アイツならそこに」
と言って倉庫の奥を指さす父さん。
そこには、白い正六角形の面が青い線を繋ぎ目にして、大量に組み合わさったような人型のヤツが、結界の中にいた。
「コイツが…」
「異世界からの侵略者…」
「気をつけろよ、そいつまだ生きてるから」
「なんでトドメを刺さないの?」
「いや〜そいつバカみたいに硬くてな、傷一つつかないんだよ」
「へぇ〜」
(コイツそんなに硬いのか…とりあえず【鑑定】)
自律魔道兵器・真祖の魂
機械・吸血鬼
レベル1・180
体力8000・37850
筋力5000・0
魔力3000・28560
《スキル》
【魔導砲Ⅴ】【魔力操作Ⅹ】【魔力強化X】【オリジナル:絶対不変】
《称号》
真祖
(うわぁ〜…)
どうやら侵略者(機械)に、肉体を持たない真祖の魂が宿ってしまったらしい。だからレベルやステータスがおかしいことになったようだ。
(いくつか気になるスキルがあるんだよな〜)
(…)
(……)
(あれ?鑑定できない…)
自分のステータスを見た時は、スキルの内容も詳しく見られたのに、どのスキルも称号も詳細を見ることが出来なかった。
(やっぱり、そう楽にはいかないか…)
「母さん、ちょっとコイツを触ってみたいんだけど」
「いいわよ」
と言って結界を維持している魔法陣を書き換え始めた。しばらくして、
「これで外側からなら通れるようになったわよ」
(凄いな。こんな一瞬で書き換えるなんて)
「ありがと」
早速、結界の中のやつに触れてみる。
『侵略者との接触を確認しました。【称号:処刑者】より【処刑】が解放されました』
(またヤバそうなヤツ来たー)
【処刑】処刑者の称号を持つものだけに許されし、侵略者を処刑するためだけの力。一日に一度だけ、完全に動きを封じられた侵略者のみに使用可能。威力は使用者の魔力に比例する。
(なかなかいい感じだな…。あ、そうだ)
「シャノも触ってみなよ」
「うんっ!」
結構興味があったらしく、ずっと俺の隣にいたので、とりあえず言ってみた。ということもあるけど、神が言うには、【処刑者達】というシリーズの称号は、最初の方は、ほとんど同じ条件で新しい機能が解放されるらしい。
「さ、そろそろ戻りましょ。クレルの復活祝いをしないと」
と、母さんが言ってきた。
(復活祝いってなんか変だな)
「よーしっ、そうと決まれば肉だな、肉!」
と言って勢いよく立ち上がった父さんは、
「ちょっと街まで行ってくる」
「じゃあ皆で行きましょう。クレルのステータスチェックもしないといけないでしょ?」
(ステータスチェックか、無いと思うけど、もし気づかれたら絶対に面倒な事になるよな…)
「そうだな。じゃあ家族皆で行くか!」
「先に帰って準備してくるわ」
「あ、わたしも〜」
と言ってシャノと母さんは家に帰って行った。
「よしっ、じゃあ俺達も行くか!」
「ちょっと待って。一つ試してみたいことがあるんだけど」
「何をするんだ?」
「もしかしたらコイツを殺せるかもしれないんだ」
(せっかくだから試してみないとな)
「ほぅ…」
殺せるかもしれないって言った瞬間、父さんの目付きが変わったな。
「やってみていい?」
「いいぞ。やってみろ」
「どうなるか分からないからちょっと離れててね」
「お、おう」
と、戸惑いながら後ろに下がった。
(本当にどうなるか分からないからな…)
侵略者に右手を触れて、
「よしっ…【処刑】!」
魔力がごっそり持っていかれたと思ったら、触れていた侵略者の足元を中心として、漆黒に輝く(?)魔法陣が展開された。
「な、なんだと…!」
と、あまりの魔力量に、父さんは後ずさった。
(魔法陣を展開するだけでこんなに持ってかれるのかよ…これじゃ魔力不足で発動できないんじゃねーか?くそっ…)
『【処刑者の翼】とのリンクが可能です。リンクさせますか?』
(なんかよく分からんが頼んだ)
『【処刑者の翼】とのリンクを確認しました。【処刑者の翼】の機能が一部解放されました』
その瞬間、魔力が全回復した気がした。どうやら、翼とのリンクによって、翼を魔力タンクとして使えるようになったみたいだ。
万象を砕き、万物を破滅へと導く一条の光。
その闇をも呑み込む漆黒の光は、大地を揺るがし、天をも穿いた。
今回は、割と頑張って中二(?)感を出してみました。
これからはもっとたくさん出していけるように頑張りたい。(出来るのかな…)
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