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唾棄すべきクソッタレ様へ
一目惚れとかそんな楽しい出来事が怒るほど軍は楽しくないんでね。
というかそんな物語の主人公みたいな人生俺も送ってみてぇよ。
今回なんて海でぷかぷかするのに水着ゼロだぜ?
それも数時間前の話だ!
雨、それは天からの贈り物である。
人は昔から恵みの雨と呼び農業を営むものに取っては紛うことなき恵みである。
砂漠などの乾燥地では雨が降るだけで水不足が解消されることもある。
だが黄色い学生さんは雨がお嫌いなようだ。ここはオセアニアである。
現在、世界は戦時中である。今から80年ほど前にソ連がキューバにミサイル基地を建造、アメリカと全面戦争が始まり、その結果、国連が『共産主義』と『資本主義』に別れて冷戦が激化、二大勢力がぶつかる第三次世界大戦が勃発した。
さらに『資本主義』、『共産主義』の中からキリスト教やイスラム教などの宗教が突然、独立を宣言し、唯一神を進行することで全ての人類を統一するという『神政主義』が出来た。
そして現在の地球は『資本主義』、『共産主義』、『神政主義』、の三勢力が戦争しているわけである。
ただ、『神政主義』だけは自分の領地からあまり出ず、領地の防衛だけに専念している。
そのため『資本主義』と『共産主義』の勢力争いになっているのである。
そして学生さんは先程から釣竿を持って簡易基地の入口で佇んでいる。
「おい、どうしたよ、学生さんよ。雨が入るから扉を閉めてぇんだが」
「いや、せっかく船の上だから釣りしようかなって思ったんだけど」
「この嵐の中でか? 自殺したいんなら他でやってくれよ」
「はぁ、ほんと暇だねぇ」
黄色い学生兵のカイトと正規軍人で情報処理科のレオンが雨の船の上で雑談していると扉の上のスピーカーから幼さが残る声が聞こえた。
『シャルロット・フランセスだ。今この船に乗っている軍人諸君は今すぐミーティング室まで来い、後他の船に乗っている奴らは泳いでフラッグシップまで来い』
幼さは残っているが優しさなどは全く微塵も残っていない。
「おい、あんなことを言ってるけどどうする?」
「そうだな、サボっちまおうか」
「でもな、行かなくて変な役に付けられたら困るのはカイトじゃないのか?」
「そこが難しい所なんだよね」
グダグダ言いながらも結局2人はミーティング室へ向かう。どうやらいつの間にか潜入部隊に入れられていたのがトラウマになっているようだ。
「だいたいなんでこんな湿度が高い場所で男と一緒に居ないといけないんだよ。右も左も男ばっかだぜ」
「確かに女の子成分が欲しくなる時はあるよな」
まあ、何はともあれロリ少将の元へ行かないとな
と、2人して肩を組んでミーティング室の扉を開けると中から細い紐のような物がものすごい速度で襲ってきた。
「なっ、」
「ぐぼぉふ」
レオンの悲鳴が少しおかしかったのは紐の先端が顔面にクリーンヒットしたからだろう。
「なんで鞭なんか持って立ってるんですか?」
「ぐおおおおおおおおお」
「いや、やっぱり上官って鞭持ってるものじゃないかな?って思ってたらいつの間にか鞭を手にしてたわけよ」
「なんすかその謎展開は」
ロリ少将ことシャルロット・フランセスが真っ赤な鞭をビシビシ言わせながら空いてる席を示す。
「さっさと座ってくれる? 時間が無いのよ」
くっそ、鼻が潰れたんじゃねぇのか? とか言いながらレオン達が席に座る。
「さて、面白いものも見れたことだしそろそろ説明を始めるわよ。まず、今回の作戦には特別ゲストが来るの」
シャルロットが部屋の前にあるスクリーンにプロジェクターで1人の女性の写真を写す。
「知ってる人もいるかもしれないけど彼女の名前はソフィア・クリーク、我が軍に大量の銃を納品してる大企業クリーク財閥の令嬢よ」
「でも大企業つっても少将のとこよりかは下ですよね」
モブAが少将に聞く、
「そうね、確かに私のグループの方が100倍ほど規模はでかいけど、問題はそこじゃないのよ。私たち軍に対してもっとも大きな取引してる会社ってことなの」
「それと令嬢が何か関係あるのか?」
「それがあるのよ、レオン。なんでも自分が開発した新武器がどう使われているのかこの目で見てみたいって事らしくてね」
「この嵐の中やって来るってわけですか?」
カイトが嫌そうな顔をしながらシャルロットに聞く。
「嵐はもう少しで出るけど来ることは来るのよ」
カイトから伝染したのか他の兵士にも嫌そうな顔が広がっていく。
「それで、その新武器ってなんなんですか?」
「ビックバンクレイだよ」
「?」
「ニトロ粘土って言ったら分かるか?」
「ああ、あのニトロに特殊な粉をかけたら衝撃で爆発しにくくなって威力も上がったってやつですか」
『資本主義』では基本的に武器の名前は軍でつけられる物と企業が付ける物の2つに分けられるが、軍と企業の共同開発の場合、100%使用される代わりに命名権を軍から買わなくてはいけない。そして企業が買い取る前にある程度軍の中で広まるので今回のように企業がつけた名前が軍の中で広まっていない場合もあるのだ。
「あれ? ニトロ粘土ってことは今回の作戦では爆弾をたくさん使うんですか?」
「そうそう、今回の作戦の説明を忘れていたわね」
シャルロットがパソコンを操ってソフィアの写真から軍艦の写真に変える。
「これが今回戦う『共産主義』軍の軍艦よ。私たちが潰した南極基地の報復に来たみたいね」
「それでどうやってそいつらは潰すんですか?」
「あなた達が前回やった方法と同じようなものよ。爆弾を船の下部に取り付けて爆発させる」
「どうやって取り付けるんですか? 普通に爆弾持って泳いだところで対魚雷用の下向き機関銃で蜂の巣にされるのがオチですよ」
「それがそうならないのよ。何故かこの軍艦には機関銃がついてなくてね、魚雷を撃ち放題なのよ」
みんなが軍艦の写真に注目する。確かに機関銃はついていない。だが船の真ん中辺りに黒いゴム板のような物が取り付けられているがまあ、気になるだけだ。
「なら魚雷で沈めればいいじゃないですか」
「クリークの令嬢が来るって言ってるでしょ。爆弾使ってあげないと喜ばないのよ」
「全くめんどくさいですね」
「でもやらないといけないからね」
カイトとシャルロットのため息が重なる。
「それでいつその令嬢が来るんですか?」
「あともう少しで来るらしいのよ」
「もう、少将の権力で潰せませんか?」
「ちょっと無理かしらね。あそこの銃は性能がいいし」
またまた2人のため息が重なる。さすが軍人、毎日苦労してるなぁ。




