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メイソンを先頭に2人が艦内を進んで行く。
「場所はわかるのか?」
「何となくですが予想は着きます」
傾きを操作しやすくするために重心は出来るだけ中央に寄せられている。
海中での横転は復帰が難しいからだ。
「確かにあったな。驚いたよ」
「私はほんの数秒で護衛を片付けたことに驚きですよ」
メイソンが目を向けた先にはさっきまで護衛だったはずの人間が転がっていた。
「だいたいスタングレネードを使って怯ませたところを襲っただけだ」
「わざと銃声を鳴らして注意を引いてからスタングレネードを使うなんて習いませんでしたよ」
「後ろで爆発するのと目の前で爆発するのでは効果が全然違うからな。それに屋内戦は仕事柄慣れているんでね」
そう言いながらアメリアが球体の各部に爆弾を設置していく。
「原発の囲いって相当強固ですよね。そんな爆弾なんかで破壊できるんですか?」
「別に爆弾で壊す訳じゃないさ。そんなことが出来るなら中からの圧力で既にお陀仏だよ」
「ならどうするんですか?」
「これを使うんだよ」
アメリアがコンコンっと叩いたのは制御棒だ。
「暴走した時用の制御棒。これを壊せば原子炉が暴走した時に止められず爆発する」
「なるほど」
「元から衝撃に強く考えられて球体状になっているんだ。工夫しないとな」
制御棒全てに爆弾と無線信管を取りつけたアメリアが一度部屋の外に出てから起爆する。
「あとはこの制御装置を壊せば原子炉は電子レンジに入れた卵のように時限式の爆弾になる」
制御装置のスイッチやレバーをデタラメにいじくる。
「さあ、あとはルード・フォールンを殺すだけだ」
最後に小さくちぎったプラスチック爆弾に信管を挿して制御装置の上に置いておく。
そして部屋を出てから爆発させる。向かうのは最も逃げやすく、唯一扉の前に兵士が立っている中央あたりの部屋だ。
「しかし考えれば考えるほど可哀想ですね」
「ルード・フォールンか?確かにそうだな。神に反逆するのではなく世のため人のために開発したんだ。だが信仰心によって罪とされた。だが私らは私らの正義で裁かなくてはならない。仕方の無いことだと割り切ってくれ」
「分かりました」
その後も扉の前の兵士を2人まとめてグレネードで赤い花火にしたり扉を強引に蹴破ったりしたがルード・フォールンの前までたどり着いた。
「久しぶりだな。博士様」
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ここはルードに与えられた部屋だ。内装は質素でベッドしかなく、ルードはベッドに腰掛け、兵士は立っている。ほんの2、3分前、この潜水艦に乗り込みこの部屋に案内された。
「こうなることはわかっていた」
「いきなりどうしました?」
ルードが目の前にいる監視の兵士に話しかけた。
「『死神』鎌が私の命を狙いに来たようだ」
「『神政主義』の暗殺部隊ですか、よくここまでたどり着きましたね。しかしこの潜水艦は特殊ですからね息が出来なくなって死んでいるんじゃないですか?」
「そんなわけが無い。彼ら、いや彼女らは必ずここまでたどり着くよ」
「なぜ言いきれるんですか? 確かに屋内戦は苦手ではありますが人数の差が違いますよ」
「君たちが人数の差を誇るのであればあれは経験と装備を誇るだろうよ。あれは何百人も殺してきたスペシャリストだ。すぐにたどり着くだろう」
ルードがため息をつく。だがその表情に絶望の色はない。
「口調の割に余裕そうですね」
「覚悟の問題だよ。元々死ぬ覚悟で開発していたものだからね。あれに殺されるのなら本望だよ」
「死にたいというのですか」
「『神政主義』ではね、神敵は歴史に残るんだよ。それだけの事をしているからね。そして私はあれを作った人間でもある」
「それだけの事をすれば満足と」
「その通りだ」
そういった直後、遠くの方で爆発音がした。
「来たぞ。神を信じつつも地獄に落ちる覚悟を持った『死神』だ」
「──っ!」
護衛が部屋を出て鍵をかけていく。
「無駄なことはしない方がいい。あれには勝てやしない」
部屋のすぐ前で爆発音がしてさっきまで雑談していた兵士たちの声が聞こえなくなる。そして1人の女と1人の男が入ってくる。
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「久しぶりだな。博士」
「ああ、久しぶりだな。覚悟は出来ている。一思いにやってくれ」
その言葉にメイソンが驚く。
「死ぬことに恐怖はないんですか?」
「恐怖はあるさ。誰だって死にたくはない」
「ならどうしてそんなことを」
したんですか?
というメイソンの言葉をルードが片手で抑える。
「どうして、か。私達学者というのはだね。未知というものに土足で踏み入り粗探しするのが好きな人種なんだ。それが星であれ、生物であれ同じことだ」
「そして最終的には神の領域も探検してみたくなった。そうだろ?」
「その通りだ。私も『神政主義』の人間だ。神に対する信仰心というものを持っている。しかし、信じているからこそ調べてみたくなる。何か使えるものが無いかとかね。その結果がオリハルコンだよ」




