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もう一度重要な部分だけをミアが繰り返して再生する。
『あなたがここにしか居場所がないというのならここに入り込みます』
「いやぁ、これを聞かしたら二つ返事で了承してくれたよ。流石は化け物に惚れた英雄さんだね。言うことなすことかっこいいよ」
「うわぁ、さすがに引きますよ。ボス」
そのセリフにはボスLoveのサーシャさえも怖がるだけの重みがあった。
「それでアメリアさんは」
「今は買い物中だね」
「厄介払いですか」
「そうとも言うね」
ミアが絶対にそうとも言わないことを言いながらいくつかの武器を取り出す。
「これは私達『死神』にいつも支給されている武器だよ」
それは何度もメイソンが目にしている武器だ。
「短距離狙撃銃に、短機関銃、それとナイフですね」
メイソンがナイフを鞘から出す。
「……恋のキューピットの」
「いやぁ、せっかく作ったし使ってもらおうかなってね」
少々不満そうに武器類をバックにしまう。
そしてそれを部屋の隅に置き、扉に手をかける。
「アメリアさんはどこに?」
「この端末に地図が入ってるからそれを見ればわかる」
メイソンが通信機を受け取り、感慨深そうに見つめる。
「自分が『神政主義』に所属していることを実感したかい?」
『神政主義』の通信機は『共産主義』の物よりも小さく、そして高性能なのか画面が綺麗だった。
だが、その違いが『共産主義』軍を懐かしくさせる。
「それで行ってどうする気なんだい?」
「仕事をするんですよ」
とだけ言い残して部屋を出ていく。
「なるほど、『荷物持ち』、ね」
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「うへぇ、寒い寒い」
「結局俺たち南極から北極までこの半年で渡っちゃったんだな。地球半周だぞ」
「学生兵なら地球一周くらい出来るんじゃねぇの?」
「出来るだろうけどやるなら赤道と平行が良いな。垂直なんて楽しくもなんともない」
「でもどうせ大西洋辺りでドンパチやることになるんじゃねぇの?」
「やめろよ。そんなこと言って本当になったらどうすんだよ」
「なるわけねぇだろ」
「それもそうだな」
ははははははははは、
と、笑うがやっぱり起こりそうなので仕事に集中することにする。
「あ、これだけ氷があるんだったらシャーベット作れるんじゃねえの?」
「いや、かき氷が作れるな」
「かき氷?」
あ、3分で集中途切れたな。
「氷を細かく削って食べるんだよ」
「へぇ、面白そうだな」
「面白そうですねやってみますか」
突然話しかけられた2人が右横を見るといつの間にか忘れられていたマイラが何処で使うのかカンナを持って立っていた。
さあ、もうここまで来たら『資本主義』の馬鹿どもは止まらない。
大きい氷をノコギリで切り出してきてカンナをかけて削り出す。
「おい、これそのまま食うのか?」
「いや、シロップをかけて食べるんだが今はないな」
「ジャムはどうですか?」
「「それだ!」」
大急ぎでジャムを取ってきてかき氷(即席)に乗せてスプーンで一気にすくって口に放り込む。
「くああああああああぁぁぁ」
「つぅ、キーンってなった、キーンって」
「何やっているんですか」
大きなスプーンで大きくすくったかき氷を1口で食べて頭をやられた馬鹿どもが頭を叩く。
まあ、氷点下の北極でかき氷なんて食ったらそうなるだろうな。
ただ、カイトとの話のネタ用に日本の文化を学んでいたマイラは口の中で溶かしてから食べているのでキーンとはならない。
「うおおおおぉ、くああああああ」
「シャクシャクシャクシャク、つあ、またキーンってなったキーンって」
頭痛のようなものが治る度にかき氷をかきこんでキーンとなる。これを繰り返している2人を見るとさすがのマイラも不安になってくる。すなわち
「ふ、2人共、もしかしてそれが正しい食べ方なんですか?」




