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「なんでライフルにスタングレネードが?」
「船で戦う時にグレネードで船に穴開けて敵さんと一緒に海の底、なんてのは嫌だからな。スタングレネードに換えてきたんだよ」
「なるほど。ならこれのグレネードランチャーもそうですかね」
レオンがゴムボートに乗り込み、マイラが海面を資材に引っかかって浮いてるライフルを見つける。
「ああ、そうだ。ちょっとそれであの馬鹿どもを狙ってくれるか?」
「はーい、とは言ったもののライフルって意外と重いでガボガボガボボ」
「だー、くそ何やってんだよ」
ライフルの重さで沈んだマイラを助けるためにカイトが海に飛び込む。
「はあ、まだ銃は使えませんね」
「いいから目閉じてろ。撃ち込むぞ」
カイトがグレネードランチャーをテロリストたちの方向に向けて撃つ。
スタングレネードはテロリスト達の真ん中に落ちて音と光を撒き散らす。
スタングレネードを受けて平然としていられる人間はいない。皆が平等に体を丸めるだけである。
「さあ、さっさと幹部を手土産にBBQ会場に乗り込もうぜ」
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「いやぁ、良くやってくれたわね。頭撫でてあげようか? 今ならやってあげるわよ」
「必要ないです。というかその見た目だったら撫でられる側じゃないですか? とりあえず今はこの肉を食べることに集中させてください」
カイトがシャルロットに蹴られながらも串に刺して焼いたお肉をこれでもかと言うぐらい口に詰め込んでいく。
「はぁ、男は肉をたくさん食えていいわね。体型を気にしなくていいって羨ましいわ」
「少将ほど気にしてないってだけで太るのは嫌ですよ」
「肉をそれだけ食えるなら一緒ですよ」
マイラも肉を食えない側なのか不満を口にする。
「まあ、とりあえずこれで今日の仕事は終わりだからゆっくり休みなさい」
「今日のって言いましたか今日のって」
「ええ、そうよ。明後日からはまた仕事の日々よ良かったわね」
ああ、俺達の休暇は残り1日か……
と、涙を流すカイトだが涙を流して休暇が伸びるほどこの世界は甘くない。
仕方が無いので肉を飲み込んで思いき叫ぶ。
「うわァァァァァァァァァ」
「「「「「うるせぇ馬鹿野郎」」」」」
BBQを楽しんでいる他の兵士たちにタコ殴りにされる。
「おいおい何やってんだよ学生さんよ」
「なぁおかしいとは思わないか? 休暇中に働いていた勤勉な兵士が海で楽しく泳いでた奴らに殴られるんだぜ?」
「元々お前は女子達の黄色い声援を独り占めするエリートなんだから殴られて当たり前だろ」
「はあ、理不尽だ」
「まあ、いいじゃないですか。明日は私と一緒にスイカ割りとか海水浴とか楽しみましょうよ」
マイラが勇気を振り絞ってカイトをデートに誘う。だがカイトはそんなマイラの気持ちには気づかない。
「そうだな。もうこんだけ戦場に身を置いたんだ。少しくらい錆び付いたっていいはずなんだよ」
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というわけでスイカ割りである。
まあ、あの後花火をしたりとか色々あったのだがシャルロットは9時にはベットに滑り込むので直ぐにお開きになり、全カットである。
「カイト、もうちょい左よ」
「ああ、行きすぎです。もう少し右です」
スイカ割りというのはスイカを置いて目隠しをして周りからの指示によってスイカを割る、遊びのようなものだ。指示しているのはシャルロット&マイラ率いる『資本主義』軍の兵士達だ。
「それとスイカまでの距離が5mくらいなのでもう少し上だと思いますよ」
「違う。あれは4mだ。もう少し下よ」
なんでこいつらスイカ割りに上下とかあるんだ?
と、読者の方は疑問に思っていることだろう。
だがここは軍である。そして軍の娯楽とは戦争で使う道具を使用したものが多い。
例えば海軍などがする甲板から緩衝ゴムを使ったバンジーなどは有名である。
カイト達が所属する第225中隊はというと散弾銃のようなものでスイカ割りをしている。もちろん目隠しをした者に銃なんか持たしたら危ないのでゴム弾だがスイカにヒビを入れるくらいならできる。
「もうちょっとだけ右です。そう、そこでバンッてやってください」
マイラの指示通りにカイトが撃つとスイカのド真ん中に命中しスイカが凹む。
「やったね。ドンピシャじゃん」
「上手くやったなカイト、それじゃ切り分けるぞ」
上手く当たったことよりもスイカを食べれることの方が大切なレオンが大振りのサバイバルナイフで切り分ける。
「うめぇー」
「確かに美味しいですね」
パクパクモグモグと食べていたカイトが突然立ち上がる。
「よし、泳ごうか」
「そうですね」
というわけで突然屈強な男達が海に向かって走っていく。
が、1番前を走る勤勉な学生兵の腰のあたりから通信が入る。
『休暇中済まない。私はルーカス・ミーレス中将だ。これより第225中隊は私の第37中隊とともに行動してもらう。これはシャルロット少将も同意の物だ。2時間後に移動を始める。準備したまえ』
通信機から聞こえてきたのは初老の男性の声だ。それも明らかに自分の権力を誇示したがる面倒臭いタイプの口調だ。
海で泳ごうと思っていた兵士たちが先頭にいるカイトを睨む。
「おい、おめぇのことはよく知らねえが1つだけ言わせてもらう」
「な、なんだ?」
「こんな時ぐらい仕事のことは忘れて通信機おいてこいよ!」
「てへっ」
またまた水のかけあい(拳骨入り)を始めた兵士たちをスイカをシャクシャク食べていた女性兵士達が見守る。
そして素直な感想を漏らす。
「馬鹿みたい」
うん、ボクもそう思うよ。




