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「あれ? なんか武装船が泊まってませんか?」
「テロリストだとよ。そんで俺らは悪い子を叱る役目を仰せつかった先生様だよ」
「なんで休暇中まで仕事してるんですか! ブラック企業じゃないんですから泳ぎましょうよ!」
「十分ブラックだよ! 俺だって今更こんなことをしたいわけじゃねぇんだ。カイト、あれの名前とか色々わかったぞ」
「んで、結局なんだったんだよ」
「あいつら、ベトナムから『資本主義』を追い出そうとする勢力の実行部隊だ。裏で『共産主義』と繋がっていて『共産主義』製の武器を使ってるみてぇだな」
「それでどうやって倒すんですか? まあまあ武器持ってますよ、あいつら」
マイラが双眼鏡を覗きながら答える。
「とりあえず狙撃でも魚雷でもいいからあいつらの動きを止めねぇと。あっちの武器は旧『共産主義』軍のそれもよく手入れされてねぇもんだ。こっちの最新式で弾幕張ればなんとかなるだろ」
「いや、どうやらそんなことをしなくても問題ないみたいだな」
「あ? なんでだ?」
カイトが黒くて四角い箱のようなものを小型のコンテナから取り出す。
「見ろよ、ステルス魚雷だ。これがあれば空母の1隻2隻潰せるぜ」
「今の空母は対爆仕様になっていますがあの船は普通のはずです。さっさと撃って沈めちゃいましょう」
「よし、カイト、その黒い打ち上げ花火セットしてくれ」
カイトがステルス魚雷を甲板にある魚雷発射管にセットする。
「OK、船が小さいから1つずつしか撃てねぇが1つで十分だ」
ライトが手を銃のような形にして敵船に向ける。
「さあ、せっかく海に来たのにバカンスを邪魔するクソ野郎共、俺らの恨みの篭もった花火を受け取りな」
甲板から打ち出された黒い塊が着水し、敵船に向かってぐんぐんと進む。
「いやぁ、やっぱり最新式はいいですね。『共産主義』軍相手ならあまり使えない武器でもテロリスト相手だとこんなにも上手くいくもんなんですね」
魚雷は敵船の土手っ腹に直撃し、大きな穴を開ける。突然の浸水にビビったテロリスト達が海へと飛び込んでいく。
「なぁ、なんであんなにも勢いよく飛び込んでいくんだ?」
「あ? 船に穴が空いて沈み始めたら普通脱出するだろ」
「相手は自爆覚悟のテロリストだぞ? 実際地雷を抱いて戦車の前に突っ込むなんて言う原始的な方法でうちの戦車が2つほどやられてる。そんなテロリストが1度も打ち返さずに脱出するか?」
「テロリストの考えはわからねぇな。この距離を当てられる武器がないんじゃないのか?」
レオンの憶測にカイトが首を横に振る。
「よく見ろよ。対戦車ミサイルに魚雷がしこたま乗ってるだろ。元々武器や爆薬を運ぶ用の船だったんだよ。あの中に積んでる武器が1つもこっちを向いてこないのはおかしいだろ」
その言葉に反応したのはレオンではなくマイラだ。
「ちょっと待ってください。あの中に爆薬が乗ってるんですか?」
「ああ、見た感じそうだと思うぞ」
「あの船の燃料に引火して爆発を起こすまでそう時間はないんですけど爆薬を積んでるんだったらやばくないですか」
レオンとカイトが顔を見合わせる。
「おい待てよ、まさかあいつらが逃げ出したのは誘爆を恐れてって言うのか?」
「ああ、その可の──」
カイトのセリフが途中で途切れたのはテロリストの船が突然爆発し、大きな水柱が立ったからだ。
「おい、カイト、何してんだ。早く何かに掴まれ!」
「流されますよ!」
爆発によって生まれた高い波が船に向かって進んで来る中カイトは何かを蹴り落としていた。
「早く掴まれ! 波が来るぞ」
「ちょっと保険をかけただけだ。来た!」
嵐の時のような波に船が揺さぶられる。
魚雷発射用に船を横に向けていたせいで通常よりも大きく揺れ、横転する。
「うっそだろ?」
そのまま叫びながら波にもまれる。
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「な? 保険あった方が良かっただろ?」
「まさか救命ボートを落としていたなんて、さすがですね」
カイトがゴムボートに乗り、ビキニのマイラはゴムボートには乗らず、しがみつきながらいくつかの機材を集めている。
「ぷはぁ、ほんと、お前がいてよかったよ」
同じくレオンがゴムボートにしがみつく。そんな良かった良かったみたいな雰囲気をぶち壊すように通信機から悪魔の声が聞こえる。
『ああ、聞こえる?どうやらテロリスト達は爆弾と一緒に幹部のお偉いさんもリゾートに連れていきたかったみたいでね。上がその幹部を捕らえるなり殺すなりして欲しいみたい。ちょっと行って捕まえてきて来てくれる?』
「そんな『コンビニ行ってくれる?』みたいなノリで言われても今ゴムボートの上ですよ。敵さんが武器無しで海の上に浮かんでいるからって顔も知らない幹部とかどんだけ時間と労力がかかると思ってるんすか」
『あら、ならいいわよ。今日の夜ご飯はBBQにする予定だったのだけどその分の火力をそっちにまわしてあげようか?』
「結構です。上官様!」
『ならさっさと幹部捕まえて帰ってきなさい。上に報告しないと美味しく食べられないからね』
そのままシャルロットは通信を切った。
そして残ったのは燃えている2人の男と疲れたような1人の女、それとゴムボートである。
「それで、どうするんですか?」
「そんなもんそこら辺からスタングレネード探して放り投げるしかないだろ」
「それならライフルについてるはずだぞ」
「なんでライフルにスタングレネードが?」
「船で戦う時にグレネードで船に穴開けて敵さんと一緒に海の底、なんてのは嫌だからな。スタングレネードに換えてきたんだよ」




