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『衛星の方からバッチリとね。どうも屋内に入らず見つけやすい大通りを走ってるみたいね』
「なんでそんなことをする必要があるんだ?」
「追ってきたところを返り討ちにするためにわざと見つけられやすい道を行っているとか?」
『ありえるわね。私たちから逃げ続けるよりも私たちを殺した方が遥かに楽だし。強い方が真の正義とかいう考え方をしているなら私たちを倒さなければいけないことになるわ』
「もしくは『死神』を倒すことで自分が正しいと証明したい、とかですかね」
「あれだけのことを言っていたのだぞ。正しいと思っているだろ」
「思っていないからあんなふうに私たちに話て肯定してもらおうとしていたんですよ。そうでなければ開けた途端に銃撃戦になっているはずです」
実際に開けた途端に撃ちまくった『死神』が少し複雑そうな表情を見せる。
『それで、今は大通りのソフトクリーム屋さんで糖分補給しているみたいね。場所はそこから西に800メートルほど』
「本当に喧嘩売ってるみたいだな」
「あっ、」
いつもある程度冷静に対処していてるアメリアがまるで鬼神のような顔を見せる。
「いいだろう。博士の手によって改造された完璧な生物の力を見せてやるよ」
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『神政主義』での生物学的な研究ははある目的のために行われていることが多い。
それは完璧な生物の作成。すなわち神へと近づくための研究である。
例えば雌雄同体などは個として完成された存在として神の眷属として扱われる場合もある。
同じくして長い時を生きた生物なども神木や神獣として扱われることがある。
不老不死や輪廻転生なども『神政主義』にとっては目標な一つである。
そして生物学者の中にこんなことを考える者がいた。
『この世界に住む生物が持つ能力。それは神の能力の1部であり。その能力を全て1つに凝縮すれば神に近い存在が出来る』
というぶっ飛んだ考え方である。
だがその理論を実践した者がいる。
そう、ルード・フォールンである。
そしてルードが開発した研究を全て体に施した生物がアメリアである。
「どうやって殺すんですか?」
メイソンが大通りを走りながらアメリアに聞く。
「あの二人に突っ込んで殺すだけだ」
作戦とは言えない殺害方法にメイソンが一瞬惚けたような顔になる。
「それで上手く殺せるんですか?」
「恐らくエースはトドメをグランに譲る。グランを傷つければエースは動揺するだろう。つまり、グランさえ殺せればなんとかなる」
ここまで聞いても未だに勝利への道筋が見えない。
だが勝利を確実に見据えたアメリアの目を見てメイソンはアメリアを信じることにする。
「私に出来ることはありますか?」
「私が何かしらの方法でグランに傷を負わせる。そしたらメイソンは動きが止まったリンダに短距離狙撃銃で鉛玉をぶち込んでくれ」
「分かりました」
アメリアが走りながらライフルと短機関銃を構える。
「さあ、恋なんかのために『死神』を抜けたエースに『死』の感覚を思い出してもらおう」
そろそろメイソンは泣いてもいいと思う。
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「ふっ」
ソフトクリームを食べている2人に向かって疾走したアメリアはある程度近づいた所でライフルを横凪に振ってライフル弾をばら撒く。
もちろんそれをアメリアに気づいていたグランが机や椅子をアメリアに向かって蹴り飛ばす。
それら全てをライフルで粉々に砕いたアメリアが、さっきの攻防の間に後ろに回り込んでいたリンダに蹴りを食らわす。
銃と体術、その2つを交互に使いながら2人と戦っているアメリアは2人を圧倒しているように見える。
だが実際は違う。アメリアは銃を惜しげも無く使って2人に攻撃しているのに対してグランはその手に持った拳銃を必要な時にしか発砲せず、弾を節約しながら戦っている。
軍や会社などの組織に属しているものとそう出ないものとのもっとも重要な違いは支援の有無である。
弾薬、銃などそれら全てを自分達で調達しなくてはいけない。
そしてアメリアやカイトは基地に戻れば大量の弾薬がある。
しかし、戦場では組織に属していようと弾薬の補充は出来ない点でグラン達と同じ立場なのである。
「弾が切れたのね」
アメリアが引き金を引いても銃から弾が出てこなくなり銃を投げ捨てる。
即座に腰のナイフに手を回そうのとするがリンダのタックルが当たり、店の壁に叩きつけられる。
「がはっ」
肺から空気が押し出され一瞬息が出来なくなる。
そしてグランが銃を構え、アメリアの胸に向ける。
パンッ
今まで撃っていた小口径の拳銃ではなく50口径という人を殺すには十分すぎる大きさのリボルバー式の銃だ。
その銃口から発射された銃弾は易々とアメリアの体内に侵入し、蹂躙する。
アメリアが倒れ、地面に紅い血溜まりが出来る。
「それ使う必要があったの?」
「化け物だからな。用心して悪いことはないだろう」




