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カイト&メイソンの軍事交換日記  作者: 龍鳴 竜
3日目 海の上で爆弾パーティByカイト
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3ページ目

「その横棒を握ってねじるんだよ」

「こうか?」


 カイトが言われた通りにねじってみるとうぃぃぃんとプロペラが回った。


「あ、出来た出来た」

「それじゃさっさと終わらしますか」


 マイラとカイトが黙々と作業を進める。だがカイトは黙々と作業を続けていけるような性格ではない。


「なんか内職してる気分になるな」

「軍艦の船底に爆弾を取り付ける内職なんてものがあったらそれこそ世紀末だと思うのですが」

「でも軍の仕事って基本的に銃持って弾幕の中を走り回るか内職じゃね?」

「確かにそうですね」

「だいたいライフルとかのマガジンに玉詰める作業って兵士にやらせる仕事じゃない気がするんだよなぁ」

「金がかかるとかいう理由で専用の機械も導入してくれませんからね」

「そりゃあ人件費の方が安いだろうし、暇してる兵士にやらせた方が楽なんだろうけどよ」

「それを言ったらこの爆弾に使ってる電磁石もうちら(工兵)が作ったんですよ」

「大変だねぇ」

「工兵やってて初めてですよ。鉄心に銅線巻いてコイル作ってバッテリーと組み合わせて粘土がつきやすいように紐もまいて、ほんと大変でしたよ」

「これだってグレネードランチャー的なものでポンってやったら張り付かないものかね?」

「くるくる回って平面の側が上手くくっつかないんじゃないですか?」


 はぁ、とカイトとマイラがため息をつく。しかし、戦場はため息する暇すら無いようだ。


「お前らさっさと設置終わらせろよ。そろそろタイムリミットだぞ」


 うっそだろやべぇ、とカイトが大急ぎで爆弾を仕掛ける。

 タイムリミットというのは文字通り爆弾が爆発するまでの時間だ。

 今回の作戦では一斉に爆発させないと効率が悪い。そのため普通は無線で起爆させるのだが敵の混乱を誘うため爆発直前にチャフをばらまくので無線は使えない。

 そのため時限式になるのだがこの時に映画などでよく見る何分立ったら爆発するような爆弾にすると設置する際に時間設定が大変面倒臭い。なので1700のように爆発する日時を決めることにより全てを同時に爆発させるのである。

 ただ、早すぎると仲間を巻き込むし、遅すぎると味方の軍艦がやられてしまう。

 そのため作戦立案時になんかよくわからない難解な計算によって出された日時が決められている。


「というか結局砲撃するならさっさと潰してしまえばいいのに」

「んな事言っても上手くいってねぇみたいだぞ。連射力に極振りした機関銃が甲板にいくつも着いてるせいで甲板近くには一発も当たってねぇみたいだぞ」

「随分と上だけを守ってるみたいだな。何かあるのか?」

「さぁ知らねぇな。というか上が無理なら下を狙えばいいんじゃね?」


 そんな雑談をしていると完全防水仕様の通信機からシャルロットの通信が来た。


『海面でぷかぷか海水浴を楽しんでいる兵士たちがトマトのように死んでもいいのなら、がら空きの船底近くを狙ってもいいのよ?』

「いやいやいや、まだ死にたくねぇからそのまま上だけを狙ってもらえかなぁ」

「というか相変わらず盗聴好きだな」

『はいはい、死後は謹んで静かにしてちょうだい』


「(あれ? 私語の漢字がおかしくないか?)」

「(俺的にはセリフの漢字が理解出来るお前の耳がおかしいと思うんだが)」


 いやぁ、絶対俺たち死んだことになってる気がするんだけどなぁ

 と、不安そうなカイトをガン無視してレオンが腕時計を見る。


「おい、カイト、そろそろ時間だぞ」

「んじゃぁこの特等席で綺麗な花火を拝ませてもらおうかね」


 カイトが真上を見上げる。


「結局このゴム版の使い道も分からなかったなぁ」


 レオンがカイトのセリフに違和感を感じる。


「あれ? うちの軍艦にこんなもん付いてたか?」

「あれ? いや『共産主義』の軍艦だけのはず…」


 レオンとカイトが一緒に右を向くと半球状の鉄の物体が船に張り付いていた。

 それは何やら自分たちが設置していた爆弾に似ているような気がしなくもなくて…


「おいっ、ここ『共産主義』軍の軍艦じゃねぇか、やべぇ早く離れないと」

「おい、後どれくらい時間残ってた?」

「後2分もないぞ急げカイト」


 うぉぉぉぉぉぉ、と男二人が全力で船から逃げる。


「あれ?」

『どうしたんだ、マイラ』

「チャフってこんなけで大丈夫なんですか?」


 味方の軍艦から撒かれたチャフは今回用意された分の半分くらいしか撒かれていなかった。


『ああ、最初に重めのチャフを撒いてその後に普通のチャフを撒くのよ』

「えっ、でも重めのやつって直ぐに落ちますよね。意味あるんですか?」


 シャルロット達が言っている重いチャフというのは真っ直ぐに地面まで落ち、その上を何かが通ったり、風が吹いたりした時に舞い上がり、敵兵の妨害をするという地面に落ちた時にしか風の影響を受けないように作られている特別なもので、長時間滞空することよりも、敵兵のピンポイントな妨害を目的としたチャフだ。

 しかし、いくら舞い上がりやすい形をしていて、海面近くは風が強いといっても海面に落ちたものがそんな簡単に舞い上がるわけがない。


『爆風に左右されずにいてくれたらいいわけだからね。普通のチャフじゃ爆風に散らされてしまうし。それに爆風が落ち着いて、普通のチャフを散らせるようになったら用済みだから、ほんの数秒ほど滞空してたらいいんだよ』

「なるほど、そうなんですね」

『ああ、それとカイト達が何をしているか知らない? 音声を拾っても水の音と威勢のいい掛け声しか聞えなくてね』

「カイト達なら『共産主義』の軍艦の近くで全力で泳いでますよ。小型スクリューとバタ足をフル動員させて」

『あいつらは設置が終了したら直ぐに離れろという命令が頭から抜け落ちてるの?』

「さぁ?」


 そして話題のカイト達が100メートルほど逃げたところで周りをぐるぐる回っていた『共産主義』軍艦たちの足元が轟音とともに爆煙に包まれ、海面に大きな波紋が広がる。そして爆風によって大きな波が作られる。

 カイト達はまず、大きな音と衝撃波に耳と脳にダメージが加わり、放心状態になったところで高波に揉みくちゃにされた。


「くっそ、なんでこんな目に遭わなきゃならないんだよ」

「知らねぇよ、でもこれでこの作戦も終わりだからな。これで少しの間は休暇が貰えるぞ。良かったな学生さんよ、勉強が捗るぞ」

「その前にまずはレーションでパーティだよ。こんな大変な作戦を終わらしたあとに即勉強ができるほど優等生でもないんでね」



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