24.ルース
禍々しい花は満ち、雪のさらに深くなった教会に戻る。
扉をあけたらクロウが抱き付いてきた。
「おかえりルース、待ってたよ!」
嬉しい、が、寒いしつめたいし歯がガチガチと鳴る。
「ただいま」
そんな挨拶でさえ、クロウが死ぬ前はしていなかった。
「あのねルース。
僕ルースにお願いがあるんだ」
「何だ、クロウ」
クロウは俺から離れ、教会のステンドグラスの下で羽根を広げる。
「ルースも気付いていると思うけど、この異常事態は僕が僕を殺そうとしているから起きている。
僕が僕を傷つけた分を、他のものたちが埋めているんだ」
「……あぁ、気付いてた」
だからクロウと一緒に生きたいのだと説得していた。
クロウがそう思ってくれれば、俺とやり直そうと思ってくれれば、破壊は止まるのだと。
「でもねルース、
僕は、生きる気なんて、ない。
傷を癒す気なんて、ない。
君ともう一度なんて出来ないよ」
そうか。
考えないようにしていた。
もしかして受け入れられないかもしれないって。
……言葉が出ない。
クロウが死んだら、俺も死ぬしかないのに。
「けどそれじゃ埒があかないでしょ。
だからねルース。
僕は今自分に向けている攻撃性を君達に向ける」
「お前
馬鹿な。クロウがそんなこと出来る訳ないだろ」
「僕だって切羽詰まってるんだ!
ずっとひとりで生きなきゃいけないと思っていた。
ルースは居たけど、ルースは僕を守ってくれるけど、
ルースは僕だけが心の支えだから変なことをしたら死んじゃうかもしれない。
僕が守らなきゃって思ってた!
でもルース、他のみんなは簡単に他の人に助けを求めるんだよ
ルースだって僕が死んでから知ったでしょ
ただ側に居て助けてくれる人が居ること」
それは、そうだった。
確かに独りではなかった。
翠を拾い、ラズを手にかけ、未暗に怒られて
ずっと側に人が居た。
「あぁ
ごめんな。お前だけ置いてきて」
「そうだよ。やっとわかったねルース。
だから僕は君に置いて行かれた恨み、
僕をかえりみなかったこと、
僕なしで生きられなかった君の弱さ
全部責めて攻撃する。
さぁ、最終決戦だ」




