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虹の国   作者: 中原
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緑の髪の人が白髪の人のストラを引っ掴んで私に投げた。

否、くれた。

「ラズ、確かに人道的じゃないぞ」

私はとりあえず布を巻いて大事な所を隠す。胸が全くないなぁこの身体。

「適当な、じゃなかった適切な魂が入る筈だったんですが。申し訳ありません。貴方のお名前は?」

「私は中学二年生の春華です!

金髪じゃないし私女の子でしたしこれ何?」

夢にログインしてしまった?

頬をつねっても自分じゃない皮膚感覚がするだけだ。

私こんなにほっぺた薄くない。

最近少し下がってきてた視力も良くなってる。

見えてるものが、おかしいけれど……


「中学?

中央学校の二期生なら今240歳ぐらいだよねぇ。

でも君」

「多分それじゃないと思います」

緑の髪のキラキラに聞かれて答える。

「うん。魂の色が違うもの。

リリファぐらいブレてるね。

ごめんね、まずちゃんとした服を……」

「何やってるのよ貴方達――!!」

赤い髪のお姉さんがハリセンで二人の頭をひっぱたいた。


速すぎてよくわからなかったがどうやら颯爽と現れたお姉さんは上着を脱いで私にかけたらしい。

お姉さんの黒のタンクトップが眩しい。

私は白い軍服のような服に袖を通した。

胸元の止め具がどう見ても革のような素材なのにマグネットみたいにくっつく。

深く考えないことにした。あとは洋服っぽい作りだ。


「私達で紫水を殴って魔物討伐させればいいだけじゃない!

何よ年端の行かない女の子に頼るなんて!」

うんうん、そうだそうだ。

事態は飲み込めないけれど何だかそうな気がする。

「だけどこの中で紫水を殴れるのは未暗だけじゃない。

未暗だって一度戦って負けているんだし。

そもそも未暗をそんな危ない目に合わせたくないから

巻き込みたくなかった

とラズが言ってます」

「?」

「言ってないです

が大体そんな所です。

未暗、魔王の悪影響は計り知れなく、浸食は早い。

紫水が寝返った以上私達は手段を選んでいられません」

「……叱るのは後にします。

とにかく今は」

「服だよね」

「服よ」

「衣装室に案内します。こちらへ」

ずっと無表情な白髪の人に案内されて謎の研究室を歩く。

さっき緑の髪の人がスリッパをくれたので一応素足ではない。

立つとわかる。この身体背が高い。

未暗さんと白髪の人が同じくらいの身長で、この身体もそれと同じくらいかな。

元々の私の身長が150前半だから165くらいか。

緑の髪の人は私達より頭ひとつ分くらい高い。

けど時々視界から居なくなる。


「こちらです。

未使用の下着などもありますので申し訳ありませんがお願いします」

目が虚ろな白髪の人に促されて一人で衣装部屋に入る。

そう言えばこの身体誰のものでどっちなんだろう?

女の子ではないけど男の子でもない。

部屋にはフリフリのスカートからハーフパンツに麦藁帽子まで何でもある。

私は適当な下着をみつくろって着る。さすがにここまでぺったんではブラジャーをつける方が痛いのでは。

……何だか心許無いが、やめよう。

鏡があった。

よく見て見るとこの身体はかなりの美少年(風謎の身体)

だけど、涼しげな容姿だからふりふりのスカートとかは似合わなそう。

普段地味な格好をしている分いつかふりふりのスカートを着たいと思っていたけどその野望を果たすのは敵わなそうだ。


困っていると突然おまかせ選択というボタンが現れたのでポチッとすると動きやすそうな格好になった。

半パンにノースリーブに肩の出た上着。誰の趣味なの!?

まぁいいか。

この身体は暑さや寒さを感じにくい。

夢の中だからだと思うことにした。

本当は別の何かなんだろうな、ということは気付いている。


「着替え終わりました」

「あぁ、いいんじゃないかな」

「春華ちゃん、女の子でしょう。

その格好で良かったの?」

「あんまり似合わなかったのでおまかせしたんです」

「便利でしょう。あれ」

ラズさんは固い頬のまま目を伏せるが少しだけ鼻が高くなっている。

あの機能をつけたのはラズさんなのね。

……ここ私の世界じゃないな。


ラズさんの研究室という所から

王様の執務室に移動した。

ふわふわ漂ってる時に見た所だ。

テーブルを挟んで二人ずつ向き合えるソファーがある。

私とラズさんが向き合って、ラズさんの左手側に未暗さんが座る。

翠さんがお茶を入れてきてくれた。

「急に呼んでしまって申し訳ありません春華さん。

実は魔王が復活したんですがうちの王様が逃げたんです」

「逃げたならまだいいけど魔王を助けに行ったのよね」

「助けるならまだいいけどあの人の優先順位、魔王が一番だから人間達の国が先に滅ぶね」

「滅ぶ?」

魔王とはそんなに恐ろしいものなのか。

「魔王は他の生命力を吸い取り続けるんです。

殺そうとした所で周りからもっと吸うだけ。普通には戦えない」

「千年前は森を半分枯死させるだけで済んだみたいだけどね。

それはルー…… 紫水様が殺したからだ。

魔王はね、紫水様にしか殺せないんだ。

紫水様っていうのはうちの王様。

魔王討伐の他にも色々すごいことが出来る」

「化け物ね」

「こら未暗。

紫水様は人間と妖精のハーフだよ。公にはされていないけどね。

でまぁその紫水様の身体のコピーが君の身体。

血が同じならこの剣で魔王を殺せるからね」

翠さんは虚空から赤い刀身の剣を取り出した。

「どう見ても血塗られた剣」

ファンタジーも実際目にすれば生々しい。

「その血塗られた剣で魔王を殺して欲しい。

我々の願いは切実です。

だって民が死んでしまう。

けれどそれを押しつける相手が、幼い少女だとは予想してなかった」

ラズさんは苦しげに胸元を押さえる。

ラズさんの両手にかせられた長い鎖が音を立てる。

「紫水は何を考えているの。

あれでも一応王様として国を愛しているのだと思っていたのに」

「紫水様のお考えを理解するのは難しいよ。

現状、一番親しいだろう僕の予想だけど。

良ければ独りで魔王を何とかする方法を考えている。

悪ければきっとこの国のことなんて忘れて悪意なく滅ぼすと思う。

僕の予想は悪い方に近い。あの人は昔からそうだった。

魔王が居ればそれでいいんだ」

「どうしてそんな大切な相手を紫水さんは殺したんですか?」

「普通に考えれば、魔王が闇落ちしたからよね。

元は妖精だったと紫水から聞いたことがあるわ」

「……」

翠さんはテーブルの何もない場所を眺めながら自分の淹れたお茶をすすっている。

「それなら、紫水さんは魔王を妖精さんに戻しに行ったのでは?」

「それなら一番いいんだけどね。うん、あの人がまともなら……」

「かもしれない、ということを論じても仕方ないでしょう。

我々には時間がありません。

そして魔王だって、冥界にあるものを無理やりこちらに持ってきたんだ。

死んでいるのが自然な者です。

妖精に戻すことなんて、出来ないでしょう。

だからさくっと殺したいんです、早く」

「ラズ、生き急ぐのは貴方の悪い癖だけど、そんなに見ず知らずの魔王を殺したがるような人だったかしら」

「どちらかと言えば虫も殺せないよね」

「……」

ラズさんは目を伏せる。

訳もわからず異世界に召喚されたら魔王討伐に出発するのがセオリーなのに会話シーンで何ページ消費するのかしらこのお話。

「それは私が魔王を復活させたからです」

「え?」

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